2020年秋号・11月22日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■ 説教準備のためのテキスト研究
「神さまに感謝しよう」 
詩編136:1-9,25-26(朗読25-26節)
伝えるポイント:天地を創造し、霊肉ともに糧を与える神に感謝しよう。

 今回、テキストとして取り上げられている詩篇は抜粋された一部分だが、メッセージ準備にあたっては全体に目を通して味わい、この詩篇がうたっている内容を心に留めておくことが大切である。
 この詩篇は「世界の創造」と「歴史におけるイスラエルの救済」という二つの方向から神の業を賛美することで、「創造の神」と「歴史の神」という神の両面を統合している。世界を創造された神は、人間の歴史に介入して今なお救いの業を行い続ける神なのである。
 この詩篇は各節の後半で「慈しみはとこしえに」と繰り返す讃歌の形式を取っている。その形式と内容から、この詩篇はもともと神殿で祭司と会衆が詠い交わす典礼の讃歌であったと考えられている。

全体の構造は以下のようになっている。
1−3節 神への賛美を会衆に促す
4−9節 神の創造の業への賛美
10−15節 出エジプトによるイスラエル解放の業への賛美
16−22節 荒れ野での導きと嗣業の地の授与に対する賛美
23−24節 10−22節に対応するまとめの賛美
25−26節 1−9節に対応して、被造物に対する神の養いへの賛美と詩全体の締めくくり

 2節の「神の中の神」、3節の「主の中の主」は神が複数存在することを示すものではなく、複数形を用いたヘブライ・アラム語の最上級表現で、「まことの神」「まことの主」という意味。申命記10:17などにも同様の表現が見られる。故に、神の創造の業をたたえる4−9節は、神の唯一性を強調する「ただひとり」から始められている。4−9節では天(5節)と地(6節)、光(7節)、太陽(8節)、月(9節)といった被造物があげられ、対応する25節では植物、動物、人間など「すべて肉なるもの」である生き物全体に視線が向けられている。4−9節でうたわれた神の創造の業は一回限りのものではなく、被造物すべてを養う神の働きが今なお続いている、という信仰が25節によって示されるのである。

 また、この日は収穫感謝礼拝の日なので、その成り立ちと意義をあらかじめ確認しておきたい。農耕生活を営む文化には、古くから地域に関わらず収穫感謝と豊作祈願の祭りが存在する。現在、日本のプロテスタント教会の行事として行われている収穫感謝祭の直接の起源は、アメリカのピューリタン(清教徒)の伝統によるものである。17世紀初め、国教会に圧迫されたイギリスのピューリタンは信教の自由を求めて脱出し、彼らが乗ったメイフラワー号が1620年11月、アメリカのプリマスに到着した。新大陸での開拓は困難を極め、飢えと寒さで冬の間に彼らの半数が命を落としたと言われている。しかしアメリカ先住民族の人々が彼らを助け、気候風土にあった農作物の種を分け与えて育て方を教えたので、次の秋には豊かな収穫を得ることができた。この収穫を神と隣人に感謝して共に祝ったのが、アメリカにおける収穫感謝祭の始まりである。後の1864年、リンカーン大統領が11月の第4木曜日を国の祝日とし、この出来事を記念するように定めたことを踏襲して、日本では11月の第4日曜日を収穫感謝日と定めている。


・「詩篇の思想と信仰 Ⅵ 第126篇から第150篇まで」(月本昭男著 新教出版社)
・「ATD旧約聖書註解 詩篇90〜150篇」(ATD・NTD聖書註解刊行会)
・「よくわかるキリスト教の暦」(今橋朗著 キリスト新聞社)


■ 中高科
「神さまに感謝しよう」 
詩編136:1-9,25-26(朗読25-26節)
伝えるポイント:天地を創造し、霊肉ともに糧を与える神に感謝しよう。

●準備
 この季節を迎えると、日本の各地で収穫の感謝の祭りが行われます。教会においても、収穫感謝礼拝が教会行事として行われます。
 私達は、収穫の恵みを与えて下さったお方は天と地を創造された神様であり、そのお方に感謝をささげる者たちとしての立場を忘れないようにしたいと思います。決して、太陽を神として崇める事がないように教えたいと思います。
 世界各地で行われる収穫感謝祭の日時はそれぞれが所属する群れの教会によって違うそうです。スイス改革派教会は9月頃に感謝祭が行なわれ、イギリスは8月1日、ドイツ福音主義教会では聖ミカエルの日(9月29日)の後にくる日曜日、アメリカでは11月第4木曜日をサンクスギビングディとして守られているそうです。日本においてはアメリカのサンクスギビングディに近い日曜日に行なわれます。ですから、世界を見渡してみると、同じ日に収穫感謝のお祝いをしているわけではありません。しかし、日々の糧を供えていてくださる神様に感謝をささげる気持ちは同じであるといえます。

●説教例
 今日は、私達が生きていく上で、必要な食物を与えて戴いている事を感謝する収穫感謝記念日です。私達、人間が生きていく上で、水も太陽も空気もすべては天と地を創造された神様によって備えられています。秋にとれた果物や食物をもって、神様に感謝の思いをもって神様を礼拝したいと思います。
 キリスト教会で収穫感謝礼拝を行うようになった出来事をお話したいと思います。
 今から400年ほど前の事です。日本においては天下の分かれ目と言われる関が原の戦いが1600 年の出来事ですから、その戦いが終わり、江戸時代に入る頃になります。それから7年~8年頃すぎた1607、8年頃、イギリスの英国国教会の形式主義に反発したピュ-リタンとよばれる清教徒たちが信仰による迫害を受け、信仰の自由を求めて120名ほどの人々が1620年11月11日、メイフラワー号に乗ってアメリカに渡って行ました。アメリカに着いた彼らは船から降りては、良い場所はないかと上陸する場所を探したそうですが、良い土地はすぐには見つからず、岩と砂の荒地であったといいます。そしてやっとプリマスと言う地を見つけて上陸しましたが、アメリカに渡ったほとんどの人は建築や農耕は出来ない人たちばかりだったそうです。そこで白人を探して歩きましたが、出会ったのはアメリカの先住民族だったそうです。しかしそんな中で彼らは林から木を切り出して、教会と住居の小屋を何とか建てたそうです。しかし時は、すでにクリスマスを迎える頃で、冬を迎えた彼らは、飢えと寒さと病気によって半数の人々が亡くなり、つらい時を余儀なくされました。そして、やがて春を迎え、冬の間に親しい友となった先住民達から、とうもろこし、エンドウ、小麦、大麦の栽培方法を教えてもらい、秋になると、多くの収穫があったことから「さあ、これらの全てのものを下さった神様に感謝しょう。雨を与え、光を与え、熱を下さった神に感謝しょう」と教会で、家庭で、収穫感謝の礼拝をささげた事が収穫感謝祭の起源となったそうです。
 私たちに必要な食物(果物、野菜、穀物)を与えて下さっている神様に感謝したいと思います。そして感謝は食物ばかりにとどまらず、日々、生かされていること、主に救われている事など、すべての事に感謝する者たちでありたいと思います。

■ 小学科
「神さまに感謝しよう」 
詩編136:1-9,25-26(朗読25-26節)
伝えるポイント:天地を創造し、霊肉ともに糧を与える神に感謝しよう。

●準備
 聞く子どもたちの年齢層にもよりますが、できれば自分たちに与えられている恵みへの感謝だけでなくて、いろんな状況にある人たちのためにも祈っていけるように促したい機会です。

●説教例
 今日は収穫感謝の日です。収穫感謝の日って、どんな日か知っていますか?今から400年以上前、イギリスからアメリカ大陸のプリマスというところに移り住んだ人たちがいました。プリマスに着いた最初の冬はとても厳しくて、食べ物がなくて寒くて、半分ぐらいの人が春になる前に亡くなってしまったそうです。ですが、近くに住んでいた先住民と呼ばれる人たちが、寒いところでも丈夫に育つトウモロコシや小麦やエンドウ豆の種を分けてくれて、育て方も教えてくれました。おかげで次の秋にはたくさんの食べ物が獲れて、冬を過ごすための準備ができたんです。彼らはまず神さまに感謝のお祈りをしました。そして、助けてくれた先住民の人たちを招いてお祝いのパーティーを開いたそうです。このことを記念して、それから240年ぐらい後ですが、アメリカ合衆国のリンカーン大統領が収穫感謝の祝日を決めました。そして今はこうやって日本の教会でも、毎年11月の4回目の日曜日に収穫感謝の日をお祝いして神さまに感謝しています。もちろん、神さまに感謝するようになったのは、この何百年のことではありません。今日読んだ詩篇は、今から3000年以上も前に、イスラエルの人たちが神さまに感謝して神殿で歌った歌だと言われています。神さまに「ありがとうございます!」と声を上げて感謝することは、人間にとってとても大事なこととして、ずっと昔から続いているんです。
 さて、みなさんは朝ごはんを食べてきましたか?朝は食べてないという人も、昨日の晩ごはんは食べましたね?肉や魚、野菜、牛乳、お菓子、ジュース、いろんなものを毎日私たちは食べて、その栄養が私たちの体を元気に動かしてくれています。私たちの体を神さまが作ってくださったように、私たちがいつも食べているごはんやお菓子の材料になる植物も動物もみんな、神さまが作って守って育ててくださいました。神さまは私たちを作られただけじゃなくて、私たちが生きていくためのいろんなものを与えてくださっているんです。食べ物だけじゃなくて、ぐっすり寝られる家も、寒さや暑さから身を守るために着る服も、一緒に生きていく家族や仲間も。私たちが生きていくために神さまがくださっているいろんなもの、それはみんな神さまからの恵みです。
 目に見えるものだけではありません。私たちが生きていくためにいちばん大事で必要なものは「希望」です。もし今、心配なことや嫌なことや不安なことが自分の周りで起こっていても、必ずまた安心できるときが来る。必ずまた嬉しいことや「ああ、良かった!」って笑って喜べるときが来る。そう思えたら、私たちは目の前の嫌なことや心配なことに負けないでいることができます。でも、この嫌なことがずっと続くかもしれない、良かったって笑えるときは来ないかもしれない、という気持ちが続くと、私たちは生きる力をなくしてしまうものです。神さまは、私たちの体にも心にも生きるための力、恵みを与えてくださっています。今は泣いていても、必ず笑って喜べるときが来る。今は苦しんでいても、必ず安心できるようになる。神さまは旧約聖書の時代から、ずっと私たち人間にそう約束してくださっていました。その約束を目に見える形にしてくださったのが、私たちがもうすぐお祝いするクリスマスの出来事です。神さまと私たち人間をつなぐために、神さまのひとり子のイエスさまは人間としてお生まれになりました。そして、神さまと私たちの間を引き離してしまう私たちの罪を代わりに背負って、十字架にかかってくださいました。よみがえられたイエスさまは、今も神さまと私たちの間をつなげてくださっています。「イエスさまのお名前を通して」とお祈りするとき、私たちはイエスさまを通して神さまにつながって、希望を受け取ることができます。
 ところで、私たちは自分だけ感謝できたらそれでいいんでしょうか?この世界には、食べるものがない人たちがいます。家も家族も失くして、希望を見失って悲しんでいる人がたくさんいます。神さまは、その人たちには恵みを与えておられないのでしょうか?そうじゃありません。神さまの恵みが足りないんじゃなくて、私たち人間がおたがいに欲張って、他の人の分まで取ってしまったり、助け合って分け合うより先に、自分のことだけ考えてしまうときがあります。神さまの恵みを信じられなくて、目に見えるものをたくさん抱え込んで安心したくなってしまうんです。
 だから、イエスさまを通して神さまにつながっている私たちには大事な仕事があります。神さまの恵みが、まだ届いていない人たちのところに届きますように。まだ神さまを知らない人や、神さまを信じて安心できないたちが、神さまとつながることができますように。世界中のみんなが、生きるための力を一緒に神さまから受け取ることができますように。そうお祈りすることが、私たちの大事な仕事です。神さまからいただいている恵みを感謝して、今日もお祈りしましょう。 

■ 小学科ワーク

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