2020年秋号・12月6日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■ 説教準備のためのテキスト研究
「お言葉どおりに」 ルカによる福音書1:26-38 
伝えるポイント:マリアは天使のお告げに戸惑ったが、神のお言葉の通りになるようにと信仰告白した。

 この箇所はクリスマスにまつわる物語の中でも特に有名な「受胎告知」と呼ばれる場面である。
 前場面で洗礼者ヨハネの誕生を祭司ザカリヤに告知した天使ガブリエルが再び登場し、今度はイエスの誕生をその母となるマリアに告げ知らせる。
 冒頭の「六ヶ月目」(26節)はこの前部分の物語、祭司ザカリヤと妻エリザベトに男の子誕生が予告された出来事から数えて6ヶ月目という意味だと考えられている。

 ナザレはガリラヤ地方南部の小さな町であり、特に重要視されている土地ではなかった(ヨハネ1:46を参照)。このナザレの町に住むマリアは、かつてのイスラエルの王ダビデの家系に連なる男性ヨセフと婚約していた。ヨセフは大工であったと聖書の別の箇所が伝えている(マタイ13:55)。当時の婚約には法的な拘束力があり、その多くは女性がごく若いうちに家同士の間で取り決められたものであった。

 天使ガブリエルは「おめでとう、恵まれた方」(28節)という喜びの言葉で、マリアへの告知を始めた。身に覚えのないマリアが戸惑ったのはごく当たり前のことだろう。考え込むマリアに、天使はザカリヤの時と同じく(13節)安心させる言葉をかけて、これから起こる出来事が他でもない神からの恵みであることを伝えている。

 「イエス」(31節)はヘブライ語で「ヨシュア」、「主は救い」という意味の名前で、イスラエルではごく一般的な名前だった。しかし、イエスと名付けられるその男の子が、他の誰とも異なる特別な存在として生まれることを天使は続けて告知する。「いと高き方の子」(32節)つまり神の子として生まれるその子は、ダビデの王座を与えられて神の民を永遠に治めることになる。

 マリアはヨセフと婚約していたもののまだ結婚生活に入っておらず、男性と性的関係を持ったことがない自分が子どもを生むのは不可能だと考えて「どうして、そのようなことがありえましょうか」(34節)と反論している。妊娠が不可能というだけでなく、婚約者のいるマリアが結婚前に誰かの子を宿すことによって、姦淫の罪に問われて石打ちの刑を受けることになり(申命記22:23−24)、出産前に命を落とす危険性もあった。
 そんなマリアに天使は、聖霊が彼女に降って神の力が働くことを伝え、マリアの老齢の親戚であるエリザベトの妊娠を知らせる。エリザベトもまた神の目的によって選ばれ、長年の不妊を神によって覆されて男の子を生もうとしていた。マリアにとって身近な人物に起きている出来事を例に挙げて、天使は彼女に確信を与える言葉を告げる。「神にできないことは何一つない」(37節)。

 ルカによる福音書の1−2章全体を通して、マリアは思慮深くまた信仰深い従順な女性として描かれている。しかし、マリアがそれらの特質によって神から選ばれ、イエスの母として定められたのだと説明することはできない。彼女が選ばれた理由は、あくまで神の目的の中に秘められている。ここで注目するべき点は選ばれる側の条件ではなくて、「神にできないことは何一つない」(37節)という宣言と、「お言葉どおり、この身に成りますように」(38節)と神の言葉の前にへりくだって身をかがめる人間の態度である。

【参考文献】
・「現代聖書注解 ルカによる福音書」(F.B.クラドック著、宮本あかり訳 日本キリスト教団出版局)
・「ルカによる福音書 私訳と解説」(宮平望著 新教出版社)
・「ティンデル聖書注解 ルカによる福音書」(レオン・モリス著、岡本昭世訳 いのちのことば社)

■ 中高科
準備
 紀元前4世紀、ユダヤの国のナザレに住む、ヨセフのいいなずけであったマリアに、神の使いガブリエルが突然現れ、「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」との言葉を告げられました。この時、マリアは恐れいだいたといいます。今後、自分の身に起こってくるであろう出来事に恐れを持つ事は誰であっても同じであると言えるでしょう。その恐れをもったマリアに対して神の使いガブリエルは、聖霊なる神の力によって男の子をみごもった事を伝えています。何故、処女でなければならなかったのでしょうか?また、何故、婚約者としてヨセフでなければならなかったのでしょうか?そこに神様のご計画の深さを知らされます。
 イエス様が来臨なされたのは、人類の罪をあがなう犠牲としてであり、イエス様は清く汚れのない人でなければならず、これを可能としたのが聖霊を父とする誕生であり、最初の人アダムが負っていた原罪をイエスの人格が受け継ぐことが無い為であると言えます。しかし旧約の預言の成就として、ダビデの末から誕生するという事から、ヨセフのいいなずけであったマリアからの誕生となったといえます。マリアは身に覚えがない事から、私は未だ、男の人を知りませんと答えていますが、神にできないことは何一つない。と告げられた時に、「私は主のはしためです。おことば通リになりますように。」と信仰をもって受け止めたマリアの思いを心に留めて、お話したいと思います。

説教例
 今から、約2020年程前の事です、ユダヤの国、ガリラヤ地方のナザレという村に、マリアという女性が住んでいました。マリアは将来、結婚する事を約束した、いいなづけのヨセフがいました。マリアは伝説によれば、中肉中背で淡い褐色の目をした美しい女性で、その性質は敬虔でかつ柔和であり、質素で、誠実な人であり、好んでダビデの詩を歌いすべての人から愛されていたといいます。そのマリアのところに、突然、神のみ使いであるガブリエルが遣わされ「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられます。」と告げました。マリアはこの言葉を聞き、ひどく戸惑いました。すると、「マリア こわがることはありません。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。その子は優れた者となり、いとたかき神の子と呼ばれます。また神である主は彼にその父ダビデの名をお与えになります。彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わる事がありません」と告げられました。マリアにとって思いがけなく、あまりにも突然な出来事であり、戸惑い「どうしてそのようなことがあるでしょうか?」と答えると、み使いは「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力によって、なされるのです。神様によって不可能な事は何一つありません。」と告げられました。マリアは、この天使が告げた「神様に不可能な事は何一つありません」という言葉を信仰をもって受け止め、これから自分の身に起こるであろう出来事を神様がなされる事として受けとめていく決意をしました。そして神様の偉大な御業を賛美しました。神様のご計画は、信仰をもって受け止める人々によって進められていくという事をマリアの姿から受け取っていきたいと思います。


■ 小学科
●準備
 マリアの信仰が特別だったということではなくて、「神にできないことは何一つない」という天使の宣言を受け入れる信仰が一人一人に求められているということを中心に語れるといいと思います。 

●説教例
今週はクリスマスを待つ期間、アドベントの第2週目です。今日は、イエスさまがお生まれになる、ということを天使が知らせた時のお話です。
 「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」天使ガブリエルが現れて、マリアにそう言いました。マリアは、イスラエルのガリラヤという地方にあるナザレの町に住んでいて、ダビデ家のヨセフという人ともうすぐ結婚することになっている、若い女の人でした。特別なことなんか何も起こってないのに、どうして天使がいきなりやって来て「おめでとう」なんて言うのかしら。マリアは不思議に思って考え込みました。すると、天使はびっくりするようなことを言ったのです。
 あなたは男の子を生むから、その子をイエスと名付けなさい。その子は神さまの子で、すべての人の王さまになる。
 マリアはびっくりして「どうしてそんなことがあるでしょうか。わたしはまだ結婚もしていません」と天使に答えました。この時代のイスラエルでは、結婚していない女の人が赤ちゃんを産むことは、死刑になっても文句を言えないぐらい良くないことだと考えられていたんです。もし天使が言うとおりになったって、せっかくの神さまの子どもも生まれる前にいっしょに殺されてしまう。だからそんなの無理ですよ!マリアはそう思ったんでしょうね。でも、天使はマリアに言いました。
 神さまの力があなたを包みます。神さまにできないことは何一つありません。
 そう言われて、マリアは勇気を出して「お言葉どおりになりますように」と答えました。
 さて、マリアは石を投げつけられて殺されてしまったでしょうか?いいえ、ちゃんと無事にイエスさまが生まれましたよね。神さまにできないことは何ひとつありません、と天使がマリアに言ったことは本当でした。結婚していないマリアが神さまの子どもを産むことも、マリアが殺されてしまわないように守ることも、神さまはおできになるんです。
 神さまは、すべての人にとっていちばん良いことを実行なさいました。神さまの子どもが人間として生まれて、すべての人の罪を背負って十字架で死んで、よみがえられる。私たちの常識ではとても考えられない、「ぜったい無理だよ」と言いたくなるようなことを、神さまは私たちみんなのために実現してくださったのです。
 私たち一人一人にとっていちばん良いことをするために、神さまは私たちが「ぜったい無理だよ」と思うようなことも実現してくださいます。だからどんな時でも諦めてしまわないで、何でもできる神さまを信じて、神さまに頼ってお祈りしましょう。私たちの思うとおりにはならないかもしれません。神さまがご存じのいちばん良いことを、いちばん良い時に必ず実現してくださいますから。

■ 小学科ワーク  

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