2021年春号・6月13日成人科 ナザレン希望誌ウェブ版

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主は勝利へ導く    ヨシュア6:1-21
  ヨルダン川を渡ったイスラエルの民が、最初に攻め取ったのはエリコであります。エリコは、要塞のような堅固な城壁に守られ難攻不落の砦でありました。エリコの町は、イスラエルの民が近かづいたことを知り、城門を固く締めきってしまったのであります(1節)。ヨシュアは、軍将として優れていて、かつてペリシテと戦ったことがあります。しかし、エリコを攻め落とすことは、人間の知恵や経験では不可能に思えたのです。ヨシュアは、神になすべきことを聞きました。これが最善の方法と考えたのです。
 「見よ、わたしはエリコとその王と勇士たちをあなたの手に渡す。」(2節)。この「渡す」という動詞は、預言的完了形と呼ばれ、神はすでに、エリコをヨシュアの手に渡してしまっている、という意味であります。実際には渡されていなくても、神のみ業、人間の確信としてこのように言われます。
 エリコの攻略は、軍事的行為ではなく、宗教的行為でありました。武器を用いず、馬も走らせてもいない。祭司を中心にした、宗教的な行為、信仰による出来事でした。ヨシュアは神の声に従い、民はヨシュアの命令に従ったのです(3-5節)。
 ヨシュアは、祭司たちに対して「契約の箱を担げ。七人は、各自雄羊の角笛を携えて主の箱を先導せよ。」(6節)と命じ、民に対しては「進め、町の周りを回れ。武装兵は主の箱の前を行け。」(7節)と命じました。武装兵が先頭を行き、七人の祭司が角笛を吹き鳴らしながら進み、契約の箱を担いだ祭司たちが進んでゆき、民がそれに続き、最後にまた武装兵が続いたのであります。イスラエルの民は、神の言葉に従い、沈黙を守ったまま6日間同じようにエリコの城壁を回りました。そして7日目は、早く起き夜明けに、同じように町を7回回りました。その後、ヨシュアは民に「鬨の声をあげよ。主はあなたたちにこの町を与えられた。」と命令したとあります。そこで、民は叫び、祭司は角笛を吹くと、不思議にも一瞬のうちに城壁は崩れ去ったのであります(20節)。民は、エリコに攻め入り、陥落させ、ここを占拠したのであります。難攻不落を誇ったエリコは陥落したのです。エリコの陥落は、神のご計画であり、ことを成したのは、神ご自身であり、神の働きによるものでした。生ける主、全地の主なる神の御業であり、神の言葉の威力によって、難攻不落の要塞が撃破されたのであります。
 1930年から6年間エリコを発掘したイギリスの探検隊の指導者ジョン・ガルスタング教授 は次のように書いています。「二つの城壁の間には、瓦礫や焼けくずがぎっしりつまっていた。黒こげになったコチコチのレンガのかたまり、さけた石、炭化した木や灰、これらは明らかにすさまじい火事の跡を示していた。 城壁ぎわの家は焼け落ち、屋根は砕けてその上にのっていた。」 ・・・なお、ガルスタング教授 と同夫人が、エリコの町の廃墟より掘り出した土器の破片10万点を2年間念入りに調査した結果、それらは、紀元前1400年ごろのものと判明しました。…(後略)。池田敏雄「旧約聖書を読む」(p193-194より)。ここで発掘されたものが、エリコの城壁が崩壊した時のものか、それ以後のものか、見解の相違はあります。

   
 「設問」我らの人生に起こる大きな困難、激しい試練、行く手を阻むエリコのような要塞、障壁をいかにして耐え、突破してきたか、体験を分かち合いましょう。(1コリント10:13)

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