2020年秋号・11月29日成人科 ナザレン希望誌ウェブ版

目次に戻る    カリキュラム一覧に戻る

アブラハムの祝福を受け継ぐ    マタイ 1:1-17

 今回からクリスマスに向けて、イエス・キリストの御降誕に関するみ言葉を取り上げていくわけですが、マタイはまずイエスの誕生に至る必然性を明確にすることから始めます。
意味もないような系図をもって聖書の中の主だった人物の名を列記していますが、この名前の列記の中にマタイの意図をくみ取っていくことが求められます。
 1-6節は父祖アブラハムからダビデまでの歴史、6-11節は、ダビデからバビロン捕囚前の王国分裂時代を、12-16節はバビロン捕囚からイエスまでを取り上げています。今回は、テーマとしてアブラハムへの祝福を取り上げていますが、アブラハムへの祝福が何事もなく平穏に受け継がれてきたとは言えません。アブラハムへの祝福が途切れることなく、イスラエルの歴史の中で脈々と受け継がれてきたのは、ただただ神の一方的なイスラエル(人類)に対する愛ゆえであったことを物語っています。
 この系図の中には神とイスラエルの間に交わされた契約が重要な事柄として含まれていることを見落としてはなりません。神とアブラハムの間で交わされた契約は、預言者ナタンの預言によってダビデとの間で契約が更新されています(サムエル記下 7:1-17)。このダビデ契約と言われるものが、ダビデの家系からの救い主イエスの誕生につながっていくのです。この契約がイスラエルの歴史の中で神の計画として脈々と流れています。
 一方イスラエルがたどった人間の歴史という観点からこの系図を見ていくと、紆余曲折を経たイスラエルの罪の歴史も同時に見えてきます。イスラエルの民族が一点の汚点もなく歴史を形作ってきたとは言えません。人間の歴史は罪の歴史でもあるのです。3節のユダは近親相姦によりタマルを通して子をもうけています。(創世記 38章)5節のサルモンはかつて遊女であったラハブによってボアズをもうけ、ボアズのひ孫としてダビデは誕生します。ボアズと結ばれたルツは外国の女性でありイスラエルの系図の中に外国人の血が入っています。ダビデは、冷酷な手段によってウリヤの妻バト・シェバを我がものとし(サムエル記下 11章)、バト・シェバによってソロモンをもうけています。イスラエルの王国時代は、王国の分裂をはじめ、神ヤハウェを離れ他宗教に常に移行しつつ、私利私欲を極めた時代だったと言えます。この最終的結果がバビロン捕囚を引き起こしました。
 いつの時代も人間の歴史は罪の歴史であると言えます。この罪の歴史ゆえに、イエス・キリストの御降誕は人間の罪を贖うための必然であり、それは神により計画された出来事であったのです。

【設問】
1.系図の中に見えてくるものは何ですか。
2.イエス・キリストの御降誕の必然性はどこにありますか。

目次に戻る    カリキュラム一覧に戻る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?