2020年秋号・10月11日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■ 説教準備のためのテキスト研究
使徒言行録1:8 「イエスさまを伝えるナザレン教会」
【主題】聖霊の力により百年にわたって日本各地にナザレン教会は広がっていった。私たちも福音を伝えていこう。

 ナザレン教会の信仰の伝統はプロテスタント宗教改革、特に16世紀の英国における宗教改革を原点とし、18世紀の英国教会の司祭ジョン・ウェスレーらによる信仰復興運動に由来している。ジョン・ウェスレーは「キリスト者の生涯に対する神の恵みとしての全き聖化」を強調し、ここから聖化(ホーリネス)の教理が広がっていく。19世紀には、このホーリネスを求める運動が米国で始まり、その中で生まれたホーリネスの教会や集会、団体が少しずつ合同していった。そして1895年10月、カリフォルニア州ロサンゼルスでナザレン教会が立ち上げられた。その後、1907年10月13日に、イリノイ州シカゴで開かれていた総会でアメリカペンテコスタル教会連盟とナザレン教会の合同が決定し、現在のナザレン教会の形が始まった。このスタートを記念して、毎年10月の第2日曜日をナザレン日としている。
 様々な背景や個性を持つ教会が「聖化」を大切にする信仰によって合同して、ナザレン教会は誕生した。現在は米国だけでなく162の国または地域にナザレン教会がある。世界中に広がって福音を宣べ伝え、そこに生きる人々に寄り添い仕える、というこの働きにナザレン教会を送り出しているのは、今日の聖書の箇所で主イエスが使徒たちに約束された聖霊の力である。

 復活されたイエスは、天に昇られるまでの40日間を使徒たちと一緒に過ごされた、と使徒言行録は伝えている。確かに十字架で死なれたイエスがよみがえられて、神の国について話をしたり共に食事までなさっている、という常識を超えた出来事を体験して、彼らはいよいよ神の国が到来するのかと期待を膨らませたのだろう。「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのは、この時ですか」(使徒1:6)と使徒たちはイエスに向かって尋ねる。しかしイエスは彼らの疑問に対して「その時期はあなたがたの知るところではない」とお答えになり、続けて聖霊降臨の約束が語られる。
 「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」(使徒1:8)。希望的観測や黙示的な空想にふける代わりに、使徒に代表されるイエスの弟子たちには、イエスの「証人」となる使命が与えられている。そしてその働きは身近な場所だけに留まらず、やがて「地の果てに至るまで」広がっていくことになる、とイエスの言葉は告げている。人力では到底なし得ないこの使命のために、弟子たちには聖霊が与えられると約束された。その約束はまずペンテコステの時に成就し(使徒2:1以下)、その後も多くの機会に成就し、今もなお成就し続けている。

【参考文献】
・「ナザレン教会の信仰 Nazarene Essentials」(日本ナザレン教団 2015年12月発行)
・「ナザレン・プリーチャー 2020年夏号」(日本ナザレン教団教育委員会発行)内
 『ナザレン教会の過去と未来』(下北沢教会牧師・坂本誠著)
・「現代聖書注解 使徒言行録」(W.H.ウィリモン著、中村博武訳 日本キリスト教団出版局)
・「ティンデル聖書注解 使徒の働き」(I・ハワード・マーシャル著、富田雄治訳 いのちのことば社)

■ 中高科
使徒言行録1:8 「イエスさまを伝えるナザレン教会」
【主題】聖霊の力により百年にわたって日本各地にナザレン教会は広がっていった。私たちも福音を伝えていこう。

●準備
 10月の第2日曜日はナザレン教会にとって大切な日です。さかのぼること、112年前の1908年10月13日午前10時45分に、アメリカのいくつかの教団の教会が集まり、「今日からナザレン教会として歩んでいきます。」と宣言し、ナザレン教会が誕生した記念すべき時だからです。
 私達が属している教団の歴史を共に学びたいと思います。(詳細は日本ナザレン教団九十年史をご覧ください。)
●説教例
 10月第2の日曜日はナザレン教会にとって、とても大切な記念すべき日です。今から112年前の1908年10月13日に、アメリカのテキサス州のパイ
ロット・ポイントにいくつかの教団の教会が集まり、「今日からナザレン教会として歩んで行きます。」と宣言した日だからです。ナザレン教会が誕生した日を記念して、10月の第2日曜日をナザレン日として記念して覚えて、礼拝してきました。
 誰であっても、自分や家族や友達の誕生日を大切な日としてお祝いするように、私たちが集っているナザレン教会の誕生した記念すべき日を、私達は、しっかりと覚えておきたいと思います。
 日本においては、アメリカの設立宣言が出される前に、設立に加わった教会の中の一つから、宣教師がすでに派遣されており、京都・福知山で福音宣教がなされていたといいます。福知山での福音宣教には永松幾五郎牧師(後に宮城県の矢本教会牧師となられた方)がかかわっておられ、日本におけるナザレン教会の第一歩は京都の福知山から始まり、その後、アメリカのナザレン教会で信仰を持ち、伝道者として召された喜田川広牧師が、アメリカでの学びを終えた後、日本への宣教師として遣わされ、故郷の熊本において日本人によるナザレン教会の本格的宣教が開始されました。
 ナザレン教団の日本における最初の教会が熊本教会という事になります。その後、アメリカで召命を受けた諌山修身牧師が帰国し、喜田川広牧師と共に熊本での伝道に努めた結果、ナザレン教会は多くの人々をキリストへと導く事となりました。
 ナザレン教会は112年もの間、多くの信徒たちに祈られ、また、多くの献金が献げられて、日本はもちろんの事、世界各国にイエス様による救いの良き知らせが届けられ、今日では、全世界の162ケ国または地域にナザレン教会があり、大学、神学校、看護学校、各種専門学校、小、中、高等学校等の教育機関をはじめ、病院や様々な施設を運営しています。今、日本には北は北海道から南は沖縄に69教会があります。
 使徒言行録2章に記されている教会の始まりは、イエス様を救い主と信じた120名の者たちが祈って、聖霊が降(くだ)ってくる事を待ち望んでいた時に、父なる神様が約束されていた通りに聖霊が降(くだ)り、聖霊に満たされた人々によって、最初のキリスト教会が誕生し、そこから各地に福音が届けられるようになりました。時に大変な困難をきわめるような試練の時もありました。しかし、たとえどのような事があっても、聖霊なる神は決して私たちを見捨てられることなく、神様に信頼して歩むならば、道を開いてくださるといえます。私たちもどのような事があっても、神様を信頼して聖霊さまの助けを受けて希望を持って歩みましょう。

■ 小学科
使徒言行録1章8節 「イエスさまを伝えるナザレン教会」
【主題】聖霊の力により百年にわたって日本各地にナザレン教会は広がっていった。私たちも福音を伝えていこう。
    
●準備
ナザレンの説明と「福音を伝えましょう!」で終わってしまわないで、神さまが一人一人を教会に招いてくださったことの意味と、まず聖霊の助けを祈り求めることの大切さを考えるきっかけになるメッセージを語りたい日です。

●説教例
 今みなさんが集まっている教会は、キリスト教の日本ナザレン教団の教会、略してナザレン教会といいます。そして今日は、年に一回ナザレン教会について考えるナザレン日です。さて、じゃあ「ナザレン」っていったい何でしょう?「ナザレン」は「ナザレの人」という意味の言葉です。イスラエルのナザレという町で育ったイエスさまは、他の町や村の人たちからは「ナザレの人」と呼ばれました。いろんな場所に出て行って、そこで神さまのことを伝えて、苦しんでいる人たちを助けて、寂しい思いをしている人たちと一緒に食事をして、神さまの愛をみんなに知らせた「ナザレの人」イエスさま。そんなイエスさまの弟子として、私たちもいろんな場所に出て行って神さまの愛をみんなに伝えよう、という思いを込めてつけられたのが「ナザレン」という名前なんです。
 「ナザレの人」と呼ばれたイエスさまみたいに、いろんな場所のいろんな人に神さまの愛を伝えよう!って言葉で言うのは簡単ですが、実際にできるかどうかはなかなか難しいところです。もし私たちがよく知らない人からいきなり「神さまはあなたを愛してますよ」なんて言われても、たぶんびっくりするでしょうし、ちょっと怖いな…と思うかもしれません。苦しんでいる人を助けたくても、イエスさまみたいに病気を治す力も奇跡を起こす力も私たちにはありません。仲間外れにされて寂しい思いをしている人と仲良くなるのはとても素敵なことですが、けっこう勇気がいることでもあるでしょう。誰にどうやって伝えたらいいのか、どうやって助けたらいいのか、私たちにはわからないことやできないことがいっぱいです。それは今の私たちだけじゃなくて、イエスさまとずっと一緒にいた弟子たちも、弟子たちのリーダーとしてイエスさまに選ばれた使徒たちだってそうでした。
 十字架で死なれたイエスさまは三日目によみがえられて、その後40日間、使徒たちに神さまの国のことを教えたり一緒に食事をなさったりしていました。もう大丈夫、イエスさまはこれからもずっと一緒にいてくださって、イスラエルの新しい王さまになって働かれるんだ。そう思って使徒たちはワクワクしていたようです。でもワクワク期待している使徒たちに、イエスさまは「そうじゃないんだよ」と言われました。これからはあなたたちが私の証人になって、神さまの愛を世界中のみんなに伝えるんだ、とイエスさまは使徒たちにお伝えになったんです。それも、使徒たちが自分の知恵とか力で何とかするんじゃありません。私たち人間に働きかけてくださる神さまの霊、聖霊が降ってきて使徒たちに力をくださる、とイエスさまは約束されました。神さまの愛を伝える役目と聖霊の約束を使徒たちに預けて、イエスさまは天に昇って行かれました。
 大切なひとり子のイエスさまをくださったほど、神さまは私たち人間みんなを愛しておられる。この知らせを伝えるために、今もイエスさまは私たちに聖霊を送ってくださっています。私たちにはみんなそれぞれ、弱いところや知らないことや苦手なことがあります。完璧な人なんて誰もいません。でもイエスさまを信じて神さまの愛を受け取った一人一人に、イエスさまは聖霊を送ってくださいます。私たちが弱くても、どうしたらいいのかわからなくても、聖霊が私たちを助けて神さまの愛を伝えさせてくださるんです。ナザレン教会もいろんな国やいろんな場所の人たちが、聖霊に助けられて集まって協力してきました。迷う時も失敗する時もありましたし、これからもあるかもしれませんけれど、そのたびに聖霊が助けてくださることを信じて祈りながら、一緒にいろんな場所で神さまの愛を伝えていきます。今日こうやってナザレン教会で一緒に礼拝しているみなさん一人一人にも、それぞれの場所で、それぞれの形で、聖霊がいちばん良い方法で神さまの愛を伝えさせてくださいますように。お祈りしましょう。

■ 小学科ワーク

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