2020年秋号・コロナ禍における特別寄稿③ ナザレン希望誌ウェブ版

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コロナ禍の中で ~扉が閉ざされた時に、新たな窓や戸が開かれる~
国立教会 牧師 大山裕昭

【扉が閉ざされた中で】
 コロナの拡がりによって、様々なことが今まで通りに出来なくなった。東京では早くから感染が拡がり、役員会で話し合って3月1日より礼拝以外の全ての集会を自粛することにした。さらに4月7日に緊急事態宣言が出されてからは、共に集まっての礼拝も中止とした。
 共に礼拝に集まることと、主にある交わりが教会の活動の中心なので、その存在意義や在り方が問われることになった。感染拡大の中、外出するのもためらわれた。また感染させる側にならないように心を配る必要があり、いつの間にか緊張していることに気づく。これまでの活動が出来なくなったことにより、手足を縛られているように感じる。このままでよいのか?「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。」の御言葉が何度も心に迫った。
 その様な中で、この数か月間、私たちの教会が取り組んだことや、それによって与えられた恵みをお分かちしたいと思う。

【新たな窓】
◆3月末の役員会で、緊急事態宣言が出されたら教会に集まっての礼拝を閉じることと、それに代わる策が話し合われた。ビデオカメラの購入、YouTube配信を決め、慣れないことへのチャレンジが始まった。ビデオ撮影も動画編集もほとんど経験がなく、ネットの知識もあまり無いところからのスタートであった。猛勉強をした。個人情報や著作権の問題、いかに見やすい映像を作るかなど、未だに取り組まねばならない課題は多い。
 でも意外なことに最初にアップしたメッセージの視聴回数が、1週間ほどで150回を超えた。また教会員からも、「今まで夫を教会に誘うことが出来ずにいましたが、毎回一緒にYouTube礼拝を見てくれています」という嬉しい知らせが届いた。YouTubeは、今まで福音を届けることが出来なかった人たちに、届けることの出来るツールであることを知った。新しい窓が一つ開かれた。

◆また、プリントや手作り新聞等を用いてお互いの近況や情報を交換し合った。
 祈り会に集まれなくなったので『祈りの花束』と題したプリントを毎週発行した。今までは週報の一部に祈祷課題を載せるだけだったが、よりお互いの事を覚えて祈り合えるようになった。
 女性会からは『女性会新聞』のアイディアが出て、今年から女性会会長になった姉妹のリードのもと、毎週メンバーの3人ほどが、証や近況を書いてくださり、きれいな手書きのイラストと共に発行してくださった。壮年の特別寄稿もあり、教会に来られない期間の一人ひとりのストーリー、お気持ちをお聞きすることが出来た。

国立女性会新聞

【子どもたちへの戸】
 集まれない中で、一番大きな課題は子どもたちへの取り組みであった。ジョイジョイ・ジーザス(国立教会の子どもの集まり)では、スタッフ(教師)の皆さんが、なんと各自の自宅で、子ども向けのメッセージをビデオ撮影してYouTubeにアップしてくださった。また撮影には家族の協力も不可欠ということもあり、それが思いがけなく福音を聞いてもらえる機会とされたそうである。またスタッフ・リーダー(教会学校長)が、『ジョイジョイ・ジーザス新聞』を発行してくれている。子どもたちの声や、手書きのイラスト、子どもの書いたマンガがあり、それによって子どもたちと接点がなかった大人たちが、子どもたちのことを覚えてくださる良い機会となった。進級式は、子どもたちの家庭に、担任が書いたお祝いカードと進級プレゼントを届け、Zoomを通して行った。7月に開催したジュニア科イベントも、お菓子を共に食べながら、Zoomを通して交わりをした。

国立ジョイジョイ新聞

【天の窓】
 様々なプリントや新聞、週報と併せて、牧師夫人が毎週、手書きの手紙を添えてお送りした。一字一句祈りを込めて手紙を書き続けた。若い人たちにはメールやLINEを使って励ましを送った。一時は、コロナによって教会はバラバラにさせられてしまうのか?と思ったが、そうではなかった。送付したものへの皆さんのレスポンスの言葉や、ビデオや新聞作りにおける協力の姿勢に、主にある家族とされた者同志の絆を見て、私たちは大いに励まされた。主が天の窓を開き、光を降り注いでくださっていると感じる。

【地域への窓】
 さらに地域に住む方々のために何が出来るだろうかと考えた。海外のニュースで、医療従事者を励ますために虹の絵を窓に張り出す取り組みが紹介されていた。
 教会の外の掲示板に、アイキャッチになる虹の写真を掲載することにした。教会員で写真家のT兄が写真を提供してくださった。季節ごとの花や小動物、美しい風景…。それに合わせて聖書の御言葉と、YouTubeの案内、そして最後に「皆様の上に神様のご加護を祈ります」と書いて大きく掲げた。前を通る方が立ち止まって見てくださり、また掲示板の横のボックスに入れておいた『ふくいん』などのトラクトや、ギデオン協会の聖書を持って行ってくださった。

【窓と戸を開けよう】
 6月からは、礼拝と祈り会のみを再開している。消毒をして、マスクを付け、窓と戸を開けながらの礼拝である。でも同時に神様が開いてくださった「福音の可能性の窓と戸」であるビデオ配信、新聞、手紙などはこれからも続けていきたいと思っている。扉が閉じられたと思う時に、神様は新たな窓や戸を開いてくださる。

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