2021年春号・5月16日成人科 ナザレン希望誌ウェブ版

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主の命令によって死ぬ   申命記 34:1-12 
 モーセは、その死の前に、イスラエルの民に申命、再度命令します。シナイでの神との契約に倣(なら)って、モアブでも契約を結びます。モアブ契約と言われます(29章-30章)。偶像礼拝に陥らないという警戒の言葉があります(29:16,17)。ここでも歴史を回顧し、神の救いの恵みを覚え、恵みの神を愛し、仕え、み言葉に聞き従っていく者への祝福が力強く述べられています(30:2,3,6,10,16,20,)。
 申命記の終わりは、後継者ヨシュアの任命(31:1-8)、モーセの歌(31:30-32:44)、モーセの祝福(33章)が格調高い文章で綴られています。そして、モーセの死(34章)をもってこの書を閉じています。モーセはピスガの山の頂から、カナンの地を眺望したが、遂にそこに入ることは出来なかったのです。モーセは、主の命令によって死んだのです(5節)。カナン侵入は、彼の後継者ヨシュアの務めとなりました(9節)。 「モーセは死んだとき120歳であったが、目はかすまず、活力は失せてはいなかった。」(7節)とあり、また「イスラエルには、再びモーセのような預言者は現われなかった」(10節)と偉大な指導者モーセの卓越性について語っています(民数記12:6-8)。
 ジョン・キットーは、モーセについて、次のように記しています。「--彼の優れた特質を形作っているのは、意志の堅固さでも、忍耐強さでも、私心のなさでも、愛国心でも、神に対する信頼でも、柔和でも、謙遜でも、自己を顧みないことでもない。これらの一つではなく、すべてなのである。彼の数々の徳、美点は、みな同列に並んでいる。--」と。 モーセは、変貌山で、イエスとエリヤと 共に現れたことも特筆すべきことでしょう(マタイ17:2-6)。                         
 そして、最後に、神がモーセを選び、遣わした理由と目的を記して、申命記を結んでいるのであります(11,12節)。 申命記は五書のしめくくりであると同時に、ヨシュア記以下の歴史書の前提であることを示しています。
 また、申命記とヨシヤの宗教改革との関連が考えられ、ユダの王ヨシヤ(638-609BC)の宗教改革の時、その基礎となっていると言われています(列王記下22:3-23:25)。
 ヨシヤ王の第18年(622BC),王は書記官シャファンを神殿に遣わし。大祭司ヒルキヤに神殿の破損を修理するように命じました。その時、ヒルキヤは主の神殿で、「律法の書」を見つけ、それをシャファンに渡しました。その律法の書が王の前で読まれたのです(列王記下22:8-10)。この「律法の書」は、申命記の主な部分であったと考えられています。申命記の12-16章あたりであったでしょうか。ヨシヤはこれを読み、ヨシヤの時代、律法を守っていないことに気付き、律法による宗教改革を行ったと思われます。ヨシヤの宗教改革は、申命記改革と呼ばれています。 
 イエスご自身も、荒れ野でサタンの試みにあった時、申命記の言葉をもって、退けています(マタイ4:4,7,10、申命記8:3,6;16,6.13)。

設問 申命記を学んできて、あなたが大切に受けとめていきたいのはどの箇所でしょうか。分かち合ってみましょう。

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