2020年秋号・12月27日小中高科 ナザレン希望誌ウェブ版

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■ 説教準備のためのテキスト研究
「外国の学者たちの礼拝」 マタイによる福音書2:1−12 
伝えるポイント:東の国から星に導かれて学者たちはやって来て主イエスを拝した。
 
 ヘロデ王(1節)は、紀元前47年にローマ帝国を後ろ盾としてガリラヤの統治者になり、ローマによって「ユダヤの王」と称されたヘロデ大王のことである。ヘロデはおそらく紀元前4年に死去したとされており、イエス誕生の正確な年はわからない。

 「占星術の学者たち」(口語訳、新改訳、聖書協会共同訳では「博士」)は、元々はペルシャの祭司階級の名称だったが、後には魔術師や占星術師を指して広く用いられるようになった。彼らが居た東方(1、2節)の具体的な場所は定かでない。持参した贈り物(11節)はアラビアを思わせるが、占星術は特にバビロニアで発達していた。いずれにしても、この学者たちは異邦人であり、限られてはいるもののユダヤ教の知識も持っていたようである。
 学者たちが見た「星」については、惑星の会合や彗星、新星の爆発などの天文学的現象の可能性が探られてきたが、9節の記述にあるような星の移動を説明できる現象は知られていない。このことが教えているのは、マタイによる福音書が描く「星」の出来事が、人知を超えた導きをあらわす出来事だということである。

 ローマ帝国によって任命されただけで、ダビデ王の系譜に属しているわけではないヘロデが、「ユダヤ人の王」の誕生を聞いて不安になったのは無理もない。ヘロデは彼の地位が他の何者かに奪われることを恐れていた。エルサレムの人々もみな不安になった(3節)という記述は、残虐な性格のヘロデが恐怖に駆られて何をするかわからない、という不安だったのかもしれない。良くも悪くも現況が変化することに対して、人は不安を感じるものである。

 祭司長たちと律法学者たち(4節)は、聖書に精通している専門家たちであった。5節で彼らがヘロデの質問に対して出した答えは、旧約聖書のミカ書5:1(メシアが生まれる場所をベツレヘムとしている)とサムエル記下5:2(イスラエルの民を牧するというダビデの役目について述べている)を下敷きにしたものである。

 ヘロデは他の人々に知られないように占星術の学者たちを呼び寄せて、星が現れた時期を確かめて「ユダヤ人の王」として生まれた子どもの年齢を確認し、その子について詳しく報告するように依頼して彼らを送り出している(7−8節)。こうしたヘロデの行動は、彼が学者たちに告げた動機とは明らかに異なる思惑を抱いていたことを示している。

 星が学者たちを先導して進み、彼らはイエスがいる場所にたどり着いた。喜びにあふれた(10節)学者たちは星が示す家に入り、母マリアと共におられる幼子イエスにひれ伏して敬意を表した。彼らがイエスに献げた黄金、乳香、没薬という贈り物はいずれも高価で貴重なものであり、王への献上物にふさわしい(イザヤ60:6、詩篇45:9など参照)。

 マタイによる福音書1−2章において、「夢」は神の意思伝達の手段として繰り返し用いられている。夢によって啓示が与えられることは、異邦人である学者たちの文化でもごく普通に受け入れられる出来事であった。神は学者たちにご自分の意思を伝えるために、占星術や夢での啓示といった彼らの属する文化を用いられた。それは神が占星術を肯定したということではなく、それぞれが置かれている状況に合わせて出会おうとなさる神の配慮を示す出来事であると言えよう。
 
【参考文献】
・「ティンデル聖書注解 マタイによる福音書」(R.T.フランス著、山口昇訳 いのちのことば社)
・「ニューセンチュリー聖書注解 マタイによる福音書」(デイヴィド・ヒル著、大宮謙訳 日本キリスト教団出版局)
・「NTD新約聖書註解 マタイによる福音書」(1978年刊行 NTD新約聖書註解刊行会)


■ 中高科
「外国の学者たちの礼拝」 マタイによる福音書2:1−12 
伝えるポイント:東の国から星に導かれて学者たちはやって来て主イエスを拝した。

●準備
 イエスが誕生した時、ユダヤ人の王として礼拝する為に、東方から学者(博士)たちがユダヤの国を訪ねて来ました。ユダヤの国から見て東方とは、バビロンもしくはペルシャであり、どれほどの距離であったでしょうか?千数百キロの道のりを今日のように交通機関がない中で、学者たちがユダヤの国に救い主を訪ねて来たことに驚かされます。
 学者たちとは、宗教的祭儀に携わる人々であり、一種の知識人であり、バビロンでさかんであった占星術の知識があり、夢を解き明かしたり、占いをしたりする人々であったと思われます。
 バビロンの地は、かって、ユダヤ人たちが捕囚の民となって捕らえられていった地であり、やがてメシア(救い主)が誕生するという事をユダヤ人たちを通して聞いていたのではないかと思われます。
 学者たちは、メシアが誕生したのではないかと東の星を見て、ユダヤの国を訪ね、メシアとしてのイエスと出会う事ができました。そしてメシアとしてのしるしとして東の国から持参した献げものをしています。学者たちが千数百キロもの道のりを救い主にお会いする為に訪ねて来た、その思いが伝わるようにお話したいと思います。

●説教例
 先週、イエス様のご降誕をお祝いするクリスマスをみんなでお祝いしました。イエス様の誕生は、神様が私達に救い主をお与え下さった事を感謝する喜びの時です。
 かってユダヤの国は、ソロモン王様の後、国は北イスラエル王国と南ユダ王国に分かれ、神様の教えに逆らい、偶像を神として礼拝したことによって、北イスラエル王国はアッシリア帝国に滅ぼされ南ユダ王国はアッシリア帝国の後に誕生した新バビロニア帝国によって滅ぼされ、王や祭司や学者たちは捕囚の民として連れていかれました。それらの者たちによって、バビロンの民たちもメシアが出現されるという話を伝え聞いていたと思われます。ある時、不思議な星が夜空に輝いて見えたので、 学者たちは、ユダヤ人たちを通して伝えられていたメシアの誕生のお話を思い起し、千数百キロもの道のりを旅してユダヤの国を訪ねてきました。
 現代とは全く違う状況の中で、メシアを礼拝をするために過酷な旅をしてユダヤまでやって来た姿に学者たちの強い思いがあらわれているのではないでしょうか。
 東方の学者たちが、ユダヤの国のエルサレムに到着すると、最初に訪れたところはヘロデ王が住む王宮でした。
 学者たちが「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」と尋ねると、ヘロデ王をはじめエルサレムの人々も不安をいだいたといいます。そこで、ヘロデ王は、すぐに祭司長や律法学者たちにメシアはどこに生まれる事になっているかを調べさせると、ミカ書に記してあるベツレヘムであると答えたので、ヘロデ王は、学者たちに星の出現した時期を聞き、そしてその子が見つかったら知らせるように告げて、学者たちを送り出しました。学者たちは、ベツレヘムに向かって出かけると、東方で見た星が先立って先導してくれたので、イエス様が誕生した家を見つける事が出来ました。彼らはその時、自分たちが探し求めていたメシア、救い主に出会う事ができたという喜びに満たされたと思います。そして、家に入って、幼子と母マリアを目にして、学者たちは伏して幼子を拝み礼拝を捧げ、東方から持参した宝物を捧げました。黄金は王としてのしるしであり、乳香は祭司としてのしるしであり、没薬は香料の一種ですが、死を暗示しています。
 救い主なるメシアとの出会いは、求める心のある人に不思議な星の出現があったように、神様は求める者に不思議な御業をなして下さり、主と出会う機会を与えて下さるお方だといえます。未だ、イエス様と確かな出会いのないお友達がいたら、求めて下さい。神様は必ず応えて下さるお方です。

■ 小学科
「外国の学者たちの礼拝」 マタイによる福音書2:1−12 
伝えるポイント:東の国から星に導かれて学者たちはやって来て主イエスを拝した。

●準備
 なぜ外国から学者たちがイエスさまに会いに来たのか、その意味を大事にしたい箇所です。乳香や没薬は馴染みの薄いものなので、実物や視覚教材があれば準備しておくと楽しいかもしれません。

●説教例
 先週はクリスマスでしたね。イエスさまがお生まれになって、今日はそのあとのお話です。イエスさまの誕生を知って、東の方の国から学者たちがユダヤの王さまのヘロデのところへやって来ました。
 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか?わたしたちは東の方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
 この学者たちは、夜空の星の動きや光り方を見て、世の中で起きるいろいろなことを知ろうとする人たちでした。彼らが住んでいる東の方の国の夜空に、ユダヤ人の王が生まれたという印の星が現れた。ユダヤ人の本当の王さま、神さまが約束していたこの世界の救い主が生まれた。だから、遠くから旅をして拝みに来たんだ、と学者たちは言うんです。ユダヤ人のヘロデ王は、それを聞いて喜んだでしょうか?いいえ、ヘロデ王は喜ぶよりも先に心配になりました。神さまが約束しておられたユダヤ人の王さまだって?もし本当だったら大変だ。私が王さまでいられなくなってしまうじゃないか!そう思ったヘロデ王は、ユダヤの祭司長たちや律法学者たちに「ユダヤ人の本当の王さま、メシアはどこで生まれることになっているのか?」と尋ねて調べさせました。そして、学者たちに「行って、その子のことをくわしく調べて、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言って送り出しました。
 学者たちを導いてきた星は、イスラエルの空にも輝いていました。約束の救い主が生まれたことを知らせる星は、みんなに見えるように輝いていたんです。でも学者たちの話を聞いても、ヘロデ王も祭司長たちも律法学者たちも、誰もその星を見ようとはしませんでした。誰も学者たちと一緒に行って救い主に会おうと思わなかったんです。ヘロデ王が「もし本当の王さまが生まれていたら、自分が王さまじゃいられなくなる」と不安になったように、他の人たちも「もし王さまが代わったら、いろんなことが今までと変わってしまう」と思って不安になったのかもしれません。こんな面倒くさいこと、外国の学者たちに確かめさせればいいさ。そう思ったのかもしれませんね。
違う国で違う神様を信じていた学者たちだけが、イエスさまが生まれたことを教えてくれる星について行って、贈り物をささげてイエスさまの誕生を喜んだんです。
 神さまは、神さまを信じていない人たちにもイエスさまの誕生をお知らせになりました。ユダヤ人たちだけのためじゃない、この子はすべての人のために生まれたんだ。そのことを知らせるために、東の方の遠い国にも星を輝かせられたんです。学者たちは星を見て「喜びにあふれた」と聖書には書いてあります。本当の神さまを知らなかった自分たちにも、神さまは救い主の誕生を知らせてくださった。信じていなかった自分たちのためにも、神さまは救い主を生まれさせてくださった。そのことを知って、学者たちは喜んだんです。
 今ここにいる私たち一人ひとりのためにも、星は輝いています。それは学者たちが見たような夜空に光る星ではありません。イエスさまが私たちみんなのために生まれてくださった。そのことを教えてくれる私たちの「星」は、この聖書の言葉です。神さまはあなたを愛しているよ。あなたのために救い主は生まれたんだよ、と聖書はいつでも私たちみんなに教えています。聖書の言葉を聞くのは時々大変に思えます。ヘロデ王たちみたいに、今までの自分が変えられてしまいそうで、不安になったりもします。
 面倒くさいと思うこともあるかもしれません。でも、星を見て遠くから旅をしてきた学者たちは、喜びにあふれてイエスさまに出会いました。聖書の言葉を私たちの「星」にして、私たちもイエスさまに出会いましょう。そこには必ず、神さまがくださる喜びがあります。 


■ 小学科ワーク

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