2020年秋号・みことばカフェ ナザレン希望誌ウェブ版

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稲葉奈々

まことに、私のいのちの限り、いつくしみと恵みとが、私を追ってくるでしょう。
私は、いつまでも主の家に住まいましょう。(詩篇23:6)

 夫 稲葉の学位修得のために家族でフィリピンに移り住んでから1年が経ちました。
 最初こそ文化や生活スタイルの違いに戸惑いはしたものの、住んで半年経つころには全く気にならないようになり、今では自分たちの住処がとても居心地良く感じるようになりました。
 こちらでの生活を通して得た気づきや学びの一部をここで分かち合わせていただこうと思います。

 まず初めにびっくりしたことは、フィリピンの方たちはみんな子どもをとても可愛がることです。ちょっと怖そうなお兄さんも、小さな子どもも、道を歩いているだけで笑いかけてくれたり、積極的に一緒に遊んだり声をかけてくれます。私たちが日本人でタガログ語が通じないとわかっていても、コミュニケーションが取れないことを恐れずに、気楽に接してくれるのが印象的でした。

 悲しくなる発見もありました。フィリピンではごみのポイ捨ては当たり前で、さらにごみの分別がほとんど機能していません。
 一応は分別できるようにゴミ捨て場の区分がされているのですが、大抵の人が気にせずゴミ袋を投げ入れて、何が入っていてもまとめて収集されてしまいます。
 そして、集められたゴミの山では、たくさんの人たちが生活費を稼ぐために金属や瓶などを拾い集めているのです。
 また、ショッピングモールで食事をしていると、時々子供が寄ってきて、お金をせがんできます。しかしその子たちは本当に食べ物を買うお金が無いほど貧しいのではなく、タバコやドラッグを買うためにお金を集めているのです。なので、私たちはそんな子たちにあったらお菓子をあげようと決めています。

 学校の近くのナザレン教会に初めて顔を出したときには、現代的な礼拝スタイルに驚きました!賛美はすべてフルバンドのワーシップソング、週報も無ければ紙の聖書も誰一人持っておらず、牧師のメッセージが終わるや否や一瞬で蜘蛛の子を散らすように信徒がはけていくのです。
そして、礼拝室の後ろにはパンデサル(フィリピンの代表的な食事パン)とホットコーヒーの用意まで!しかも毎週!
 自分の中に「礼拝とはまあ大体こんな感じですよね」というステレオタイプが何となくあったように思います。しかし、私が想像するより礼拝はもっと自由で、もっと豊かなのだと気付かされた出来事でした。

 現在夫が在籍している学校では、週に2回、学生向けのチャペル礼拝が持たれています。
 その中で、夫はベース、私はキーボード演者としてバンド奏楽に参加しています。現代的なワーシップソングに触れて、若い学生たちと一緒に礼拝を作っていけることはこの上ない喜びです。

 子どもたちは学生たちに可愛がられながら、学校中の色んな所で遊んで過ごしています。
 最初は言葉が通じなくて誰に話しかけられても親の後ろに隠れていた長女は、フィリピンで4歳の誕生日を迎え、習得した語彙を駆使して子ども同士の会話を楽しんでいます。ミャンマーから来た女の子とキッズルームでおままごと遊びをしているのを初めて見たときには感動しました。

 困難と感じること以上に恵みと慈しみとが日々、私たちを追ってきています。そう感じさせてくれる環境に感謝しています。日本から祈ってご支援してくださっている皆様に、この場をお借りして心から御礼申し上げます。またお会いできる日を楽しみに、残りの期間も恵みを味わって過ごしたいと思います。

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