転がる、落下、ネイビーブルー
もう少しだけ一緒にいたい、とわがままを言った。一歩先を歩く彼の表情を窺うことはできそうにない。
雨音が傘に当たって弾ける。湿気を含んだスカートが重たい。
公園の角にある古びれた東屋に入った途端、振り向いた彼に手首を掴まれて、緩く腰を抱かれた。
傘が音高く転がり落ちる。
頬に手を伸ばすと、上からかたい手に覆われた。そうっとペンだこを撫でる指を絡めとる。雨で濡れた指先に熱を灯すように、触れる私の爪はネイビーブルーの色を宿している。
「君は僕をひどい男だと思っているだろう」
否定も