見出し画像

100円の恩返し

 noteの課金機能をまだ利用したことがないので、道端に今日100円が落ちていた話を記事にして100円で出したら面白いかな~なんてバス停からの帰り道。
 雨傘を片手に、雨蛙の唄を聴きながら田舎道をのんびり歩いていると、カラスが1羽バサバサッと黒い羽音を立て、そのまま頭上の電線にヒュンッと着地した。 
 
 
 ゆらゆらとバランスを取りながら、かぼそい脚で上手に乗っかっている。体操選手ならプラチナ級かしらと、つい歩みを止めて見上げていると、薄暗がりに背後から、白髪まじりの見知らぬ女性が近づいてきた。
 軽く会釈をして、通りすぎるまで見届けることにした矢先、「あなた魚いらない?」と、提げていたスーパーの白いビニール袋を開いて見せた。 
 
 ワカサギの赤ちゃんみたいな魚や、ミニミニサイズのかわいいイカがたくさんいて、めずらしい生しらすも少しだけ入っていた。ほんの数メートル先、窓枠に明かりが点っている近所のお宅への道すがらであったらしい。
 「いいんですか~」と語尾を上げながらも、魚は大好物なので、ずっしりちゃっかりビニール袋を受け取って、遠慮もなしに帰ってから唐揚げにして美味しく戴いたのであった。 
 
 さて、冒頭の100円余話は何処へ・・・・。 
 
 ーー遡ること40分ほど前。
 立ち寄った店を出てすぐ、傘を開こうと視線を落として見つけた100円玉。誰かの置き忘れかと周りを見まわしたが人影はない。手のひらに救い上げてはみたものの、雨を避けながらバス停ふたつ先の交番へ届けるほどの気概はなく、けれどもアスファルトで濡れっぱなしの姿も何だか不憫で、しばらく考えた末に、そのまま店へ戻って店員さんに渡して来たのですが、「100円恩送り」の硬貨の効果は、これイカに。 
 
 
おしまい

応援ありがとうございます✨自分なりの"いい歌詞"を探究して、これからも普遍性のあるメッセージを届けたいと思います。