4 End/ 「web3、個に求められること」
※本まとめは、NAYUTA:東京電脳RのDiscordにて発信した、連載を再掲したものです。
「NFT事業 ⇄ IP/コンテンツ事業」
フェーズを推し進めていく上で、今後、前のめりに事業の話をする機会は減ってくると思います。本連載が終わる前に、前回言及した2つの事業について、もう少し言及していきます。
まず、どちらの事業も根幹になるものは、Steak Ninja Boy のクリエイションであるということ。事業を営むのは、Steak Ninja Boyが継続して何かを産み出す環境を整えるためにあります。Steak Ninja Boyが創造しない限りには事業は営めないし、事業として営めないとSteak Ninja Boyも継続して創造出来ない。そういう関係性にあると思っています。
そんな中、皆さんはこんな疑問をお持ちになるでしょう。「NFT事業:Mint時は盛り上がるだろうけど、Mint後はどう事業として成り立てていくの?」、「IP/コンテンツ事業:コンテンツといってもそんなに甘く無いけど、本当に出来るの?」
「心に残り続けるために」
プロジェクトが立ち上がっては、気付いたら忘却の彼方へ葬られている。残るのは、売るようにも売れないJPEGとMint時の淡い記憶だけ。そんなNFTプロジェクトがたくさん存在すると思います。「忘れられる」というのがキーワードで、人々の記憶に残り続けることは、非常に難しいと同時に、最も大事です。いかに、ひと時のランデブーではなく、心に残り続けることが出来るか。そのためには、価値がある何かを産み出し続ける、必要があると考えています。価値がある何かを産み出し続けるためには、運営チームも、息を長くして、プロジェクトを運営しなければならない。
NFTのMint後、価値がある何かを産み出し続け、忘れられないことで、NFTの価値は徐々に上がり続けるんだと思います。そうすることで、アートコレクションとしての価値が上がり、コミュニティメンバーの心にもこの集まる場所があり続け、ブランドが時と共に形成されていく。
そして、その産み出すべき価値がある何かというのが、主にコンテンツになると考えています。web3を活用したNFTがコンテンツ作りを支え、作ったコンテンツが発行したNFTを支えていく、そんな相互関係を描いていく。ただ、そうは言っても、IP/コンテンツ作りは、そう甘くないですよね。「コンテンツを作っていきます!」と言いつつ自然消滅してきたNFTプロジェクトをたくさん見てきたし、そもそも世の中には、幾多のコンテンツが存在します。有限な時間によって、人々が消費出来るコンテンツに限りがある中、その中で一際目立つコンテンツを作っていくのは至難の業です。
「自分事化できるコミュニティの力を、いかに活用できるか?」
基本に立ち返ると、まずは、「一番のお客様でもあり、ファンでもあり、パートナーでもあるコミュニティメンバーが没入し、楽しめるストーリーをどのように作り、可視化して伝えるか」というのが最も大事な論点と捉えています。そのためには、「はい、これが考えたストーリーで、可視化しておきました」と一方的にお披露目するよりは、ストーリーを作って、可視化する段階で、コミュニティの皆さんを上手く巻き込んでいく方が良い。ただ、その結果面白くないものが出来上がってしまっては、本末転倒なので、「コミュニティを巻き込む」のが目的ではなく、「良い作品を作るために、NFTをホールドすることで自分事として考えられるコミュニティの力を、いかに活用出来るか?」という点を基軸に、具体策を考えていくべきと考えています。
ストーリーを可視化する方法は、小説、漫画、アニメ、ドラマ、映画、ゲームなど様々。また、媒体に応じて、タッグを組むべきパートナーも変わってくると思います。おそらく、漫画が、画力を活かせるのと製作費を抑える観点でも現実的と現時点では考えています。漫画として可視化する段階でも、コミュニティを巻き込んで作っていく方法があるのかもしれないし、出版社とパートナーシップを結ぶ方法もあるのかもしれない。それでもまずは、可視化する手段から考えるよりも、その前手のストーリーの部分に時間を費やしていきたいと思っています。
世界観やストーリーを構築する上での具体案は、Phase 1 Kick off イベントにて共有いたします。
「コミュニティの強みの源泉となる、日本文明の力」
NFTを発行するプロジェクトは、各ホルダー及びコミュニティメンバーにとって、プロジェクトに何かしらの貢献をすることが、間接的に自分の利益に繋がるという構造を持ちます。そして、NAYUTA:東京電脳Rは、グローバルへの展開を図る日本発のプロジェクトという背景もあって、日本で生まれ育った方や、日本という国が好きな方、日本の作品が好きな方達が、ホルダー及びコミュニティのコアメンバーになっていくことが予想されます。
この二つを掛け合わせて考えると、当プロジェクトの強みの大きな一部が、コミュニティメンバーが持つ強みで形成され、その日本と馴染みのあるコミュニティメンバーが持つ強みは、日本という国が持つ強みで形成されるはず。
日本という国は、自然や気候には恵まれているものの、エネルギーを生成出来るような資源は少ないです。そんな状況下では、自ずと人材が主な資源となり、その人材を活かして、高付加価値型の経済を実現するためには、日本という文明の特質を活用するしか他ならないのではないでしょうか。今回は、3つの日本という文明の力をピックアップしてみます。
1. 妄想力、そして妄想を可視化する力:グローバルで支持されている日本の漫画、アニメ、ゲームなどから分かるように、日本という文明は、頭の中で妄想しているものを、可視化することに長けていると考えています。おそらく日本の規則正しさや公徳心は、世界のどの国よりも優れている。この妄想力と可視化する原動力は、ルールを守らなくてはいけない、人に迷惑を掛けたくない、という感情が働く現実社会から解き放たれ、自分が好きな世界で好きな姿になりたい、という欲求が、育んでいるのかもしれません。
2. 質を正確に追求する力:身近なところだと、交通機関のダイヤや清掃スタッフのきめ細かさなどから見て取れるように、高品質なものを正確に追求する力が備わってると考えます。その源流には、美術工芸の伝統を職人自身が継承してきたという歴史があるのかもしれません。西洋や中国では、美や品質の判断基準は君主や富豪が一手に握っていたと言います。ところが日本では、絵師には絵師の、刀匠には刀匠の命をかけた誇りがあり、美の基準、品質の基準は彼ら職人から弟子へと直接伝承されてきました。徹底的現場主義からくる、確かな技術を継承する仕組みの浸透が、このような強みに繋がっていると考察出来ます。
3. 責任を持つ力と忍耐する力:催促されなくても、自分の役割は全うする。何かが思い通りに上手くいかなくても、我慢して諦めずにやり切る。新渡戸稲造氏が唱えた「武士道」におそらくルーツは存在します。武士が重んじた価値が、近代日本人の道徳観として残されていると新渡戸氏は述べています。その中でも、「義」と「勇」に見られる、義理や義務などの従うべき正義の道理を、流されずに守り抜く勇気を持つべき、といった思想が、責任感と忍耐力を形成しているのかなと。一方で、行き過ぎると自己を犠牲にしがちな所は、気を付けるべき点です。
なお、これらの力が備わっているのは、「日本人」に限らないと思っています。これらの力は、国籍よりも、触れ合ってきた人々や考えに基づくものであり、日本が好きな人や、日本の歴史・文化に詳しい人が、同様の力を持っている可能性も大いに存在するはず。当プロジェクトの大事な要素の一つである、ホルダー並びにコミュニティメンバーが持つ強みを最大限に活かすべきかを考えていく上で、こういった日本の文明が持つ底力を理解し意識することが、ヒントになるのではないでしょうか。また、世界を舞台にする、日本発のプロジェクトとしても、こういった日本の文明の力は、プロジェクト自体の独自性に繋がると考えています。
「web3、個に求められること」
「個」に焦点があたる、web3。ブロックチェーンによって、情報が分散そして透明性を持って開示され、各個人がTokenやNFTを所有出来るようになる。このような仕組みによって、各個人へのリターンが高くなると同時にリスクも高くなります。あのIT企業のせいで、と責任をなすりつけることは出来ない。自分で判断し、自分で責任を負わないといけない。自分で自分の身は守らないといけない。そんなシビアさが、web3の世界には存在します。そんな世界で、「個」に求められることは何か。
まず、「知識」は絶対条件と考えます。何か問題が起きた時に、「そんなこと知りませんでした」は通用しない。意思決定をする前に、自分で徹底的に調べて、情報を収集し、消化する必要がある。勉強や調べる癖が無い方は、少し苦手と思われるかもしれません。それでも、組織に守られてない、且つ知識が無い個人は、必ずカモにされます。知は、最大の力となる。
次に、「帰属」する場所があるということ。「個」は、自由である反面、孤独になりがち。個の集合体だとしても、自分が所属している場所や団体をしっかり持つことが大事だと思います。それが、会社でもプロジェクトでも家族でも趣味仲間でも。「個」=「孤独」にならないように。個であることで、より良い関係性を、他人とも構築できるようにしないといけない。
そして、本来の自分を「信じる力」を持つこと。 人々や社会が作り上げた虚構に囚われるのではなく、お金や名声に執着するのではなく、大きい組織や権力を持つものに迎合するのではなく、他のものの考えを気にして流されるのではなく、自分に自信が持てずに何事も躊躇してしまうのではなく、自分の信念と正義を信じ通す力。この「信じる力」が、自信と勇気に繋がる。ただし、歪んだ信念ではなく、倫理的に正しい信念を持つことも大事と考えます。
自分を本当の意味で信じきれる人なんて、世の中でも一握りかもしれない。それでもなお、個々人が、本来自分が持っているものを、より信じれるようになると、我々が理想とするweb3の姿に近付けるのかなと思います。
(終)
by la_croix
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