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世界観#6 - Bows

技術革新により生活がみるみる変化している現代。

時代の波を乗りこなし、その恩恵を一身に受ける人々がいる一方で、変化の早さに追いつかず、物理的にも精神的にも不安定な状態に陥る人が、見逃せない程に存在した。

どれだけ技術が進み、文明が前に進もうと、人々には心の拠り所が必要である。

そう、宗教は救いだ。

世界統一政府統治下においても、信教の自由は当然認められていた。
SATOJIは、急激な変化に耐えられない人たちをサポートする存在として、宗教が重要であることを早々と理解した。
そこで、オカモト財閥が、活動資金に困ることが多かった宗教団体を支援することで、精神的にも人々の生活を支えたのだ。

そんな中、東京の端、緑豊かな田舎町を中心に、ある宗教が勢いを増していた。

光教団体 “光の救済”。

オカモト財閥による支援を受けず、独自の経済圏で発展を遂げている宗教団体。

入信するためには出家することが条件であり、自身の全財産を教団に寄付し、自分自身を全てリセットする。
白紙に戻った信者たちは、東京の中心地から隔絶されたエリアで、信者だけのコミュニティで極めて牧歌的な生活を送る。

まさに、浮世離れした集団である。

そんな彼らは”光”を救いの神として崇めている。

“光”が導くままに、現世での生活では徳を積むことに集中し、死後の世界で安住を求める。
そんな生き方に惹かれるのは、今の社会で傷ついた人々や、不条理な迫害を受けてきた人々だった。

“光の救済”は、そんな弱き者に手を差し伸べる存在なのだ。

そして、“光の救済”に入信せず罪を重ねる咎人は少なくない。
そんな咎人の未来を憂いた教祖は、咎人の救済方法を信者たちに教えた。

それは、咎人を殺害することで悪行を止めさせ、罪を重ねることを未然に防ぎ魂を救済に導くことができる、”隣人の救済”という教えである。

そう、光の救済の信者たちは、咎人を殺すことは正しい行いであり、自らの徳を高める行為だと認識しているのだ。

そんな光の救済が激しく中傷する団体がある。天下のオカモト財閥である。
オカモト財閥一強の社会に対して弓を引く存在となり、暗黒の時代への回帰を予感させるのだった。。。

(続く。。。)

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