191118_スケールファンクション

微分音スケールを考える前に純正律を。【013】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんのお時間です


今日は微分音のコード進行の話はしてきたけど、
実際スケールが決まってないと、曲作れないじゃん!
ということで、今日は微分音スケールをいかにしてつくるか?
というお話です


1.「マカーム」を使うべきか?

微分音のスケールといえば、
アラビアの音階「マカーム」が頭をよぎります。
このマカームの体系はジンスという音列を2個、または3個接続することでスケールとするというもので
様々なマカームがあるようです。

音程もC D Ed と中3度が出現したり、
雰囲気もヘビが躍ってるような、妖しげな感じがしたりして
微分音スケールならまず、これだろう!
という感じはしました。


ですが…
マカームはいかにジンスを組み合わせるか?という部分に主軸が置かれているようで、和声ではなく旋律重視の体系のようです(僕が散見する限り…)

僕が達成したい24平均律の微分音程12種を取り込んだスケールを網羅できるか?
セミクロマチックやセスキクロマチック進行などの微分音コード進行にうまく組み込むには?
という疑問にはなかなか答えてくれなさそうでした。


ということで、
わたくし変拍子兄さんは、マカームのWiki記事をそっ閉じしました。
(旋律重視の理論を作るときにはまたくるからよ…!)


2.「ドレミファソラシド」を解体する

西洋音楽理論の要
メジャースケールとマイナースケールは非常によくできたスケールです
利点をあげるならば
・1つ飛ばしでコード(シンプルな周波数比の)ができる
・ドミナントとサブドミナントのコードトーンが含まれている
・ダイアトニックコードという7種類の和音ができる
・MOS音階である(音程幅が2種類しかない)

この2つスケールを基礎として、
今では多種多様なスケールがあるわけですが、
基礎であるこの2匹を理解できなければ、12平均律の理論に24平均律理論を差し込むことはできません

そもそもなぜこのスケールが基礎なのか?というものを理解していきましょう


鍵はやはり倍音・純正音程です

メジャースケールである
ドレミファソラシドは
ド=1 レ=9/8 ミ=5/4 ファ=4/3 ソ=3/2 ラ=5/3 シ=15/8

という純正音程で構築されています

メジャースケールJI

これもなぜ、この純正音程が選ばれたのかは謎なのです

ここで、なぜ?この純正音程が選ばれたのか?
真剣に考えていきましょう。


3.スケールファンクション


・2倍音=ピリオド

まず、倍音で最も重要度の高いものはオクターブ、2倍音です
これをスケールの1単位としているのは、何の疑問もありません
この2倍音の音程のことを「ピリオド」と呼びます。

オクターブという名前がついてるのに、どうして?と思うかもしれませんが
オクターブは音程の1種にすぎず、
スケールの単位として採用されてるだけにすぎません
一番合理的なピリオドとして、オクターブが任命されたのです

画像2

つまりピリオド→純正音程 2/1(2倍音)→オクターブ→8度という風に具体化されているのです。

・3倍音=ドミナント
次に考えるべきは、3倍音ですね「ソ」
3倍音はオクターブ内に移され純正音程3/2 となります
インターバル名はカラーノーテーションでWhite5thとしましょう

主音から3倍音を取り出すというモーションは、緊張感を高めて
倍音を元に戻すことで安心感が生まれる
3倍音があることで、主音を主音たらしめる
これは「ドミナント(属音)」と呼ばれるようになりました

画像3

おっとここで、主音という言葉がでてきましたので
彼もこの表に追加しておきましょう
主音はトニックといわれ、主音と同じ高さであると「ユニゾン」という表現がなされます
(モーション的に言うと「ホールド」ですかね、これは置いておきましょう)

画像4

・5倍音=ミディアント

3倍音ときたら、お次は5倍音ですね「ミ」が登場します
5倍音をオクターブ内に収めるので5/4になり
インターバル名はYellow3rdですね

そして、トニックやドミナントに対応する言葉があるのか…?
それは「ミディアント」という中腹を意味する役職名があるのでこれを書き足しておきましょう

画像5

…とまあこんな感じで
スケールの各音に対する役割名を考えていくのですが
名前だけでもピンと来なくなってくるので、イメージも追記しておきましょう

画像6

イメージに関しても詳しく語りたいところですが、
僕の表現で言うとこのようになります
これは倍音がこのイメージをもたらすのか?度数的な位置がもたらすのか
クオリア的な話になってきますね

ネイバー

メジャースケールの根幹となるメジャーコードの把握はすんだようですが、
レファラシとまだまだ、いますね
次は3倍音を2回組み合わせた9倍音「レ」について考えていきましょう

ここで問題となるのがスケールという空間において
「レ」は9倍音として振舞っているのか?
それとも「ド」と「ミ」の間の音として振舞っているのか?
2つの解釈があります、
クラシック理論の見解では、あまり高い倍音は好みませんので「間の音」として認識されていますし、コードトーンとしてはあまり認められてはいないようです。

このことから、「レ」の役割を「ネイバー」
と呼ぶことにしました。意味はお隣さんです
(本来は上主音:スーパートニックという名前がありますが、なんだか偉そうなので避けました)

僕としては「隣音」と呼びたいところですね
純正音程であらわすと9/8となりますが
ミと比較して、下行系では10/9という純正音程もあります
まあ、ここでは数字がシンプルな9/8=レ=ホールトーン(全音)ということにしましょう

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(途中感とかにしたほうがよかったかな…?)
イメージに関しては和音的なのか旋律的なのかも適当なので、とりあえずで書いてます

・ハーモニックファンクション/スケールファンクション

そういえば、この表、項目の部分が空欄ですので
ここで名称を与えておきましょう

鍵盤に対して純正音程が対応しているわけですから、
ひとつの鍵盤は和音的な役割を持っています
これを「ハーモニックファンクション」呼び

平均律上でのポジション
旋律的な役割のことを「スケールファンクション」と呼ぶことにしましょう

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・残りの度数も埋めていく

さて、純正律の考察を進めましょう
実はここ折り返し地点になっていまして、逆を考えていく作業になります

画像9

4度は5度の逆ですから、3倍音ユートーナルを考えます
つまり純正音程 1/3 をオクターブ内に移すということですね
これは 4/3 になり
ドミナントと逆のポジションであることから「サブドミナント」と呼ばれます

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6度は3度の逆ですから、5倍音ユートーナルを考えたいところですが
これは調性感が揺らぐのかユートーナルではあまり大きい数字は使えません
クラシックの世界観では、トニックを揺るがす存在は好まれませんので
オトーナルな和音を選ぶ必要があります
(分母の素因数が大きいやつをたのむ)

しかも数字はシンプルにしないといけない
そこで、選ばれたのは純正音程 5/3 です
この選び方は結構クセがある選び方ですね、
シンプルでかつ、できるだけYellowで固めたいという意思を感じます

さてスケールファンクションですが、ミディアントの逆位置なので
「サブミディアント」と呼びます

画像11

最後は7度
これも2度の逆をつけるというネーミングポリシーですので
「サブネイバー」と呼びます
(サブトニックと呼ぶこともあるそうですが、
これはトニックとサブトニックというペアな雰囲気がでてしまうのが
良く思わなかったため、パスということになります。)

さて7度の選び方ですが
Yellow押しで、ユートナルはダメです
3倍音だけだと 1/9
5倍音をしようすると 15 がちょうどいいということで選ばれます

画像12


4.スケール構築のロジックが見えそう…?

さあ、ネーミング作業が終わりました
スケールがどのようにできているのか振り返ってみましょう

・トニック が中心となっている
・ネイバー、ミディアント、ドミナントの3つでコードの中核を作る
・これら3つのサブで間を埋める

という流れ+色の好みなどで、スケールの各音がカスタマイズされています

つまり

    /ネイバー ミディアント ドミナント
トニック
    \サブネイバー サブミディアント サブドミナント

という風に7音である理由が見えてきたわけです

そしてスケールを作るには
ネイバー、ミディアント、ドミナントをどう選ぶか?という話になってきます。
この選び方の好みを①単純化志向②リミット③対称性
という3項目で説明できそうなので、
こいつらを使って、スケール構築に関するセオリーを展開しようと思ってます。

メジャースケールの純正律は
5倍音やオトーナリティという縛りのもとで作られていることがわかりましたので、その縛りのロジックをひとひねりすることで
微分音スケール構築ができそうですね。

ということで、このあたりで一旦終わりにしましょう。

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