191128_機能和声

24平均律の機能和声-ハーフドミナント-【021】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア
変拍子兄さんのお時間です

中3度圏-01

ここに見慣れない5度圏がありますね
これは24平均律バージョンへと拡張した、中3度圏です

12平均律でもかなり核となって機能する「TDS」
これを24平均律でもやってみようぜ!ということで、登場するのがこの中3度圏
実は、Xenハーモニックマガジンを始める以前にもnoteで書いていたのですが、こういうできた!みたいな軽いノリでした
色々試行錯誤をした結果、中3度圏が僕の中でも馴染んできつつある、このタイミングで満を持しての登場です。

早速、解説と行きましょう

◆5度圏の復習、24平均律へ拡張!

12平均律でおなじみの5度圏というものがありました
これは3倍音の関係を円形に配置した図です

トニック、ドミナント、サブドミナントの属性分類
2平均律構造:裏コード
4平均律構造:中心軸システム
3平均律構造:コルトレーンチェンジ 
という12平均律の幾何学的構造を表してくれるグレートな代物です

以前の僕の記事でも
8平均律構造:8方位中心軸システム

画像2


といったように微分音への拡張を行いました
その最終形態ともいえるのが中3度圏です

24平均律は通常の12平均律と半々音ずれた12平均律でできています

その構造を、外側と内側の円で表すことにしました
そして外側と内側の円のズレを中3度=完全5度の中間地点にして
各音が並んでいます


◆新属性、ハーフ○○

以前の8方位中心軸システムでは
トニックとトニックの中間地点である45度方位のピッチを
ハーフトニック(T')」と名付けました

そして今回登場するのはお察しの通り
ハーフドミナント(D')」と「ハーフサブドミナント(S')」です

ハーフドミナントはトニックとドミナントの中間地点
ハーフサブドミナントはトニックとサブドミナントの中間地点です

インターバルで述べますと
完全5度の中間地点=中3度上(Neutral3rd) →Ed
完全4度の中間地点=縮3度上(infra3rd) →Ad
となります

短3度関係の音程は同じ属性という中心軸システムの話を利用しますと
色分けしたように
T'D'S'の配置がこのようになります

中3度圏-01

◆トーナルファンクション

TDS という属性のことを「機能(ファンクション)」と呼びますが
機能という言葉は汎用性が高すぎるので
トーナルファンクション」と呼ぶことにしました

新しい属性が既存の属性とどうかかわるのか知るために
TDSの3属性と5度圏の関係を紐解いていきましょう

まず5度圏では
3倍音=ドミナント というのを根幹として12音をめぐるという構造をしています
C=トニック としてスタート地点にすると
隣はG=ドミナントということになります

画像4

しかし、それだけではドミナント、ダブルドミナント、トリプルドミナント…と
ドミナントが積み重なっていくだけです

画像5

そこで5倍音=ドミナントを 第2の原理として取り入れます
ドミナントx4:ド→ソ→レ→ラ→ミ
をドミナント:ド→ミ とサイズダウンすることができます

画像6

さらに
ドミナントのサブドミナントはトニック」 という
あたりまえのような 第3の原理を用いると

画像7


という風に5倍音ドミナントから逆行が可能になり
T→D→S の3サイクルが成立します

画像8

この3サイクルを全体に広げることで、12音全員TDSの3種に分類される、
というのが5度圏・トーナルファンクション という
12平均律の真髄ともいえる構造です

5度圏-2

ちなみにTDSがサイクルとしてうまく閉じることができるのは
12平均律のなせるワザであり例えば19平均律では通用しなくなります

ここで同じトーナルファンクションを持つものは
「十字の関係」になっていることから中心軸システム
となっていくわけです

5度圏-3

◆24平均律のトーナルファンクション

さてここにハーフの奴らが登場です
3倍音と5倍音の倍音感覚では、たどり着けなかった調性の世界へ突入します

トニックとドミナントの間にハーフドミナント(D')
トニックとサブドミナントの間にサブドミナント(S')
トニックとトニックの間にハーフトニック(T')
があります

トニックをCとすると
ハーフドミナント→Ed
ハーフサブドミナント→Ad
ハーフトニック→Dd
ですから、中心軸システムを利用して、あらかじめ
同じ属性のやつらを明らかにしておきましょう

画像11

さきほどの図からみても明らかですが、このようになります

まず最初に注目すべきは
やはり7倍音・11倍音に対応するピッチ
7倍音→Aキ 11倍音→Fキ

画像12

つまり7倍音の方向に進むと「ハーフドミナント」で
11倍音の方向に進むと「ハーフサブドミナント」ということになります

7倍音と11倍音が逆向きになっているところが面白いですね

ここで倍音とトーナルファンクションの関係が決定しました
次にハーフ系のやつらの関係性を見ていきましょう

ハーフドミナントのドミナントはどちらになるのでしょう…?
Aキの3倍音はEキ(Fd)ですのでハーフトニックとなります
ということはハーフトニックのドミナントはハーフサブドミナントという風になります
つまり通常のTDSとは逆回転になっているわけですね

画像13

7倍音=ハーフドミナント 11倍音=ハーフドミナントという関係ですので
TDSのサイクルとT'D'S'のサイクルの橋渡しが7倍音・11倍音が担うというわけです

画像14

これで24平均律のトーナルファンクションの仕組みが決まりました
面白いのは
ドミナントはオトーナリティ
サブドミナントはユートーナリティとして対局の存在であったものが
ハーフではそれほど対局ではありません
ハーフドミナントは7倍音のオトーナリティでありながら11倍音のユートーナリティの側面も持ちます
このようにハーフ属性は2面性を持っています

今後はこのトーナルファンクションの同士の接続がどのようなものなのか?
これらを用いてどのように調性を構築するのか?
という話に発展していくわけです

(名称変更の痕跡が見えるので見栄えの悪い参考資料ではありますが
過去にこのような検証をしたことがあります
この検証動画も名称を整えてリメイクする予定です)


ということで今回は24平均律にも機能和声を拡張したらどうなるのか?
新しくハーフ属性を導入しよう、というお話でした
それでは!


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