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父の夢を見ました

亡父の夢を見ました。
非常に、珍しいことです。枕元に立ったのかもしれません。
夢の中で、父は私といっしょに森の絵を描いていました。上手に木の葉を描けない私を相手に、父は後ろからいっしょに筆を握って、一枚一枚、描いてくれます。
同じような葉を描くのに飽きた私を諭すように、父は根気強く、森の木と、その葉を描くことを教えます。

そんな、夢でした。

父が亡くなって、何年か経ちます。
残念な話ですが、生前の父は夢の中のような人ではありませんでした。およそ勉強を見てくれたこともなければ、絵や音楽に造詣もない。どこにでもいる、「田舎のおっちゃん」以外何もない、そんな人でした。
周囲みんながそうしていたから家族のためにもくもくと働き、祖父母や子どもたちを養い、そして歳をとって死んでいっただけの、なんでもない人だったと言った方がいいでしょうか。

お父様がりっぱで、その思い出を大事にしていらっしゃる方は知人や仲間にもいて、私も、そんなふうに父を敬愛してみたかったなあと思ったからこその、夢だったのかもしれません。
でも、当人はそういった絵心があったかどうかも、今となってはよく分からないのですけれどもね。

そんな父は、鯨だとかナマコだとか、そういったものが大好きでしたね。鯨は刺身、ナマコは酢醤油で、ちょくちょく食べていたものです。
父の食の趣味は私とは重ならなくて、それは今となっては残念ですが、過保護なほどに絵を手ほどきしていた父がいたとすれば、ちょっと会ってみたかったかもしれない、と、そんなふうに思います。


トップ画像とも、ご近所のバラ屋敷のものです

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