大人の弦楽器の生徒向けには「級」があってもいいかもしれない

弦楽器を習っていて不思議に思ったことがあります。
ピアノの教材は一応バイエルから始まって、ブルクミュラー、ソナチネと進むのが一般的のようです。ようですというのは、私は習ったことがないから。国や先生により違うえしょうし、大人から始めた生徒はもっと簡略化しているかもしれません。

1.ヴァイオリンの教本

ところがヴァイオリンも実はよく分かりません。最初は解放弦・スケールの練習からでしょう。そのあとはかつては「鈴木鎮一ヴァイオリン指導曲集」がメジャーだったそうですけど、子供には1巻の後半から難しくなって挫折してしまうので、現在は「新しいヴァイオリン教本」が主流とか。「篠崎バイオリン教本」の人もいますね。それに基礎練習用として「カイザー」を併用する感じでしょうか。

2.チェロの教本

チェロはもっと訳がわからなくて、「チェロ指導曲集」(鈴木鎮一ヴァイオリン指導曲集のチェロ版)と、基礎練習用として「ウェルナー」「ドッツァウアー」「チェロ基礎教本」あたりでしょうか。先生がいうには、ロシアだと一貫したメソッドがあるらしいのですが。

ヴイオラとコントラバスに至っては、私はさっぱり分かりません。

3.実はピチカートを教わらないことも

またどの教本もピチカートがある曲がほとんど無いんですよね。実践で困るゾっと。ギターの経験がある人は戸惑わない(むしろ得意)なのですが、中には左右の手のタイミングが合わない人もいますから。また曲の途中で弓(arco)から瞬間的にピチカートに切り替えたり、その逆って最初は難しい。

その点、ヤマハオリジナルの教本はちゃんと入っていて、さすがに現役の先生方のノウハウが詰め込まれていて、侮れないなと思います。

4.客観的な自分のレベルはよく分からない

どの楽器も客観的な自分のレベルは、先生しか分かりません。一応教本の何巻まで終了したのかは目安になりますが、完成度を保証している訳ではないのです。そして発表会などで、他人の演奏と経験年数を聞いて、進度と完成度の違いに愕然とすることがしばしばです(笑)
同じ4巻を終了したといっても、あの人と私の違いはなに?

5.ひとつは要求レベルの差

理由のひとつは、先生の要求レベルの差です。きびしい先生はできるようになるまで先に進ませません。ただそれでは練習時間が限られている生徒は、いつまでも同じ曲をやり続けることになります。

上手な子供や音大受験の生徒ならともかく、社会人は士気が下がってしまいます。なのでほとんどの先生は、ある程度の仕上がりになったら、切り上げて先に進みます。先に進むといつの間にかできるようになることもありますから。

完成度の差はこうして生まれるのです。もちろん先生に厳しくしてというリクエストは可能ですよ。

6.もうひとつは客観的評価のシステムが無いこと

もうひとつの理由は、技術を評価する客観的な級や段が無いことではないかと。
例えば柔道には段があり、空手にも級・段があります。たしか講道館は柔道部に入っていなくても、先生の推薦があれば初段の審査に参加できたような記憶があります。ちなみに卓球にも段があるんですね。

ただそもそも音楽のような芸術に、級や段は相応しくない考え方は当然あるのでしょう。演奏を聴けば分かるでしょうから。
一般的には弦楽器は子供の時から始めるもので、技術は同じ師匠について習得するものですし。

ところが少子化に伴い、音楽教室は大人の市場開拓を進めました。
大人の生徒は理屈っぽいです(笑) 具体的な目標と、客観的な評価がほしい人も少なくないと思います。

7.じゃあシステムを作っちゃえば?

ですので7級の課題曲はこの中から選択して、評価ポイントはこれで、採点者者3名の平均70点以上は合格だよというシステムがあってもいいのでは?
ふだん自分の先生以外の第三者に評価される機会は無いのですから、ズバっと指摘してもらうのは、自分の欠点を改めて知るのに有効だと思うのですよ。

実際二胡(の一部の流派?)はそういうシステムがありますし、ヤマハのピアノやエレクトーンなどのグレードも似たようなものでしょう。不可能ではありません。

8.デメリットは?

ただやらないのは、デメリットも大きいってことなんでしょうね。やる気がある人は意欲的ですが、淡々と弾きたい人にとっては大きなお世話で、級の有無や上下が幅をきかす雰囲気はイヤでしょうね。アマオケの入団条件にされても行き過ぎですし。

教室にとっても、級が取れないと自信を無くしてしまう生徒がいるので、辞められては困るのです。

9.ヤマハでやらないかな

またどこが認定するかの問題もありますそんな級は認めないという先生や団体も多そうです。統一は難しくても大人の生徒に関しては、ヤマハさんあたりでやってくれないかなあ?

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