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琉球新報・落ち穂掲載 第5回エッセー

「着物を纏うこと」
  
 わたしが「着物」に興味をもったのは、忘れもしない2014年。ベトナムのハノイで参加したグループ展でのことだった。ハノイ在住の友人が発起人となり開催されたグループ展だったが、現地の日本人大使館の方々に大変お世
話になった。彼女らは、いつも公式な場所(その展示会のオープニングパーティーなど)では着物を纏っていた。わたしたちグループ展メンバーも浴衣で参加した。着物がこれだけ大事にされ、誇らしく纏われている現場を目のあたりにして初めて、着物は日本人の民族衣装でありアイデンティティなのだと強く感じた。それまで、どちらかといえば敬遠していた着物に対して、大きな魅力を抱いた瞬間だった。
 2007年、独立し「紅型ナワチョウ」として1番最初に作ったのは、身近なバッグや小物だった。紅型をより多くの方に認知され、使ってもらいたかった。活動をする中で、友人の画家・梅原龍さんの影響を受け、ARTとして紅型を飾って楽しむという提案も、はじめる。その頃から県内外のギャラリーを借りて個展を開催するようになった。紅型といえば呉服・着物の世界だと価値観を、おこがましくも変えたかった。
 2012年〜海外で展示をすることに興味を持ち、フランス、韓国、ベトナムとグループ展に参加したり、個展を開催したのだが、日本から遠く離れれば離れるほど、日本の文化や自分の紅型をこれから、どう表現していきたいか
という問いが生まれた。ぼんやりと悩む中で出合ったハノイでの着物の世界。わたしは遠回りして、ようやくスタート地点に気づいたのだった。
 この記事が掲載される9月11日、わたしは東京の神楽坂で、帯をメインとした個展を開催している。果てしない歴史のある「着物」の世界に飛び込むことは怖かったのだが、それ以上に着物を纏うことに喜びを見出し、学び、紅
型と共に伝えていけたらと思っている。今、帯や着物の制作でお世話になっている方から「着物を纏うことは、礼節を尽くすことになる」と学んだ。その言葉を胸に、これからも真摯に染めていきたい。

えー、引き続き、載せられていなかった落ち穂エッセーの第5回目を、ば。

このエッセー載せられた時は個展の初日だったのですね、、もう遠い昔のようです。
9月は激動←笑 で、ほんの一週間前のことが、遠い遠いことのように思います。
濃い日々でした。

そう、エッセーにも書いた着物について。
本当にどちらかというと、苦手だってのです、着物。
様々なしきたりや決まりごと、キチッと着なければならないことやら、畳方諸々から、本当に。苦笑。今と真逆ですね。

一人で始めた頃は、着物だけじゃないんだ!!紅型は!!っと息巻くような気持ちでやっていたような…笑。
若さというかなんというか、恥ずかしいんですけどね。

そんなわたしが、遠い海外で着物の素晴らしさに触れて、ようやく目覚めるというのは、自分でも面白い経験でした。
日本から遠く離れれば離れるほど、より見えてくるものもあり。

紅型の道も、着物から遠く離れて、まわり道をしてようやく…。
まわり道をしたからこそわかること、帯を染めるときに活かせることもあり、まわり道的な時間も、やはり大事で必要だったよね、と思います。

着物に触れ、学び、もっと深めていけたらば。
今はそう思っています。