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ルート(経路)に関するユーザーボイスを円滑に調査し、改善するための取り組み

こんにちは、バリカタです。ナビタイムジャパンでユーザーボイスの調査やサービスの改善提案を行っています。

この記事では、当社サービスで表示する「ルート」(経路)に関する様々なユーザーボイスをどのように円滑に調査し改善につなげているか、お話ししたいと思います。

当社におけるユーザーボイスの種類

各サービスではユーザーからのご意見・ご指摘(ユーザーボイス)を受け付けられるようになっており、それらを送信するフォームにはいくつかの種類があります。
具体的には、以下の通りです。

  • サービス全般について自由にご意見いただける「ご意見箱」

  • スポットの情報についてご指摘いただける「お店・施設等に関するご指摘」

  • 鉄道・バスなどの公共交通の時刻表の内容についてご指摘いただける「時刻表に関するご指摘」

  • 地図の表示などについてご指摘いただける「地図に関するご指摘」

  • ルート検索結果の内容についてご指摘いただける「ルートに関するご指摘」

※各サービスに上記に挙げた全てのご指摘フォームがあるわけではなく、サービスごとに送信可能なユーザーボイスの種類は異なります。

「ルートに関するご指摘」特有の問題

先に述べたユーザーボイスのうち「ご意見箱」は、各サービスの開発担当者が確認しています。
また、「お店・施設等に関するご指摘」「時刻表に関するご指摘」「地図に関するご指摘」も多くの場合、担当者がいます。

しかし、ルート検索結果には「列車・バスなどの時刻」「出発地から目的地までの経路(経由)」「運賃・料金」「駅〜スポットのルート」など様々な要素があるため、内容を確認しないと対応すべき部署を特定できません。
(以下の例は公共交通を利用するルートですが、自動車を利用するルートであっても同様に、ルート検索結果上には様々な要素が含まれます)

ルート検索結果に表示される情報(一例)

「ルートに関するご指摘」の確認・調査体制

「ルートに関するご指摘」の調査・分析は、以前はそれぞれのサービスごとに閉じた形で行っていました。
しかし、当社においてはあるサービスにおける改善が他のサービスの改善にもつながることがあるため、ハブとなる一次調査担当部署を設けることで、サービスを横断してユーザーボイスを管理できるようにしました。

当社のサービスは大きく分けると公共交通系のものと道路系のものがあります。一次調査担当部署を設けて、複数のサービスを横断してユーザーボイスを確認できるようになったことで、それぞれ同じ系統のサービスであれば同じように改善できるようになりました。

また、一次調査担当部署が指摘内容を確認し、どの開発部署が対応すべきなのかを切り分けるしくみとなったため、以前よりもスピーディに該当の開発部署へユーザーボイスを届けることができるようになりました。

「ルートに関するご指摘」の確認・調査体制

多岐にわたる「ルートに関するご指摘」をどう調査しているか

先に述べた通り、ルート検索結果には様々な要素が含まれるため、「ルートに関するご指摘」の内容・原因は多岐にわたります。
また、一次調査担当部署のメンバーはサービスの開発に携わっているわけではないため、はじめはサービス・データ・エンジンなどの仕様に詳しくありません。
そのような調査メンバーが、ルートに関する多岐にわたるユーザーボイスを滞りなく調査できるよういくつかの取り組みを行っていますので、ご紹介します。

機能比較表の作成

ユーザーボイスを調査するうえでは、既存の機能の不具合なのか、ユーザーが使用したサービスにはない機能の追加要望なのかを切り分ける必要があります。
そこで、サービスごとに機能の有無を一覧表にした「機能比較表」を作成しました。
この機能比較表は、一次調査担当部署のメンバーが各サービスを操作して、一つ一つの機能の有無を確認して作成しています。
機能比較表があることで、ユーザーが使用したサービスの機能を調査者がすぐに確認でき、仕様に詳しくなくても不具合か要望かを短時間で判断できるようになっています。

機能比較表(一部)

分類表の作成・更新

すべてのユーザーボイスについて指摘内容や原因ごとに分類を行いますが、調査者がスムーズに分類をできるよう、ユーザーボイスのケースごとに分類を記載した分類表を作成しています。
分類表については新たなケースが生じるたびに随時追加をしており、この数年で蓄積されたケースは600以上にものぼります。
以前にも指摘があったケースであれば、分類表を確認してすぐに分類をすることができるようになっています。

分類表(一部)

各開発担当部署への仕様の確認

これまでに起こった事象・ご指摘については分類表に多く蓄積されていますが、それでも未だ経験したことのない事象に遭遇することもあります。
その場合、指摘されている事象について仕様通りなのか、仕様通りでなく不具合なのか、わからないことがあります。
各サービスの仕様や、指摘されている事象が起こっている原因について不明点が生じた場合は、随時、各開発担当部署に確認するようにしています。
事象の原因が確認できて分類が決まったら分類表にケースを追加しており、その後同じような原因で指摘があった場合には、すぐに分類できるようにしています。

ユーザーボイス管理ツールの一元管理

「ルートに関するご指摘」は複数のサービスで投稿いただけるようになっているため、各サービスのユーザーボイスを一元管理できるよう、当社独自のユーザーボイス管理ツールを内製し使用しています。
サービスが異なっていても管理ツールは1つであることで、基本的な調査フローを統一することができ、効率的に処理をすることができるようになっています。
また、各サービスからのユーザーボイスをこの管理ツールに集約することで、複数のサービスを横断してユーザーボイスを管理することができるようにもなりました。

そのほか、当社のユーザーボイス管理ツールでできることをの一部をご紹介します。

  • ユーザーごとのユーザーボイスの時系列表示
    特定のユーザーのユーザーボイスを絞り込んで表示することができるので、そのユーザーから過去にどのような投稿があったのか確認し、過去に頂いたご意見を踏まえた対応・返信をすることができます。

  • 指摘時の探索情報の表示
    サービスからの指摘送信時に、ユーザーがルート検索を行った際の検索条件などの情報もあわせて管理ツールへ送信されるようになっており、それを閲覧できるようにしています。
    これにより、誰でも指摘内容の再現がしやすいようになっています。

  • ステータスや履歴の管理
    一つ一つのユーザーボイスを「オープン」「対応中」「クローズ」などのステータスで管理することができます。
    また、ステータスや割当メンバーの変更、メモの記載など、変更が行われた場合は履歴が残るようになっています。

  • Jiraの課題作成
    当社では多くのプロジェクトで、タスク管理にJiraを使用しています。
    そのため、ツール内の各ユーザーボイスの画面から、ユーザーボイスの内容を入力した状態のJiraの課題作成画面を簡単に開けるようにしています。

  • ユーザーボイスへの返信
    このツールを導入する前は、頂いたユーザーボイスへ返信を行う仕組みがありませんでしたが、このツールではユーザーへの返信が可能となっています。
    返信ができることで、ユーザーとの双方向のやりとりにより問題の解決をしやすくなっています。
    ※すべてのユーザーボイスに返信を行うものではありません。

ユーザーボイス管理ツールの画面

これらの取り組みにより、一次調査担当部署のメンバーが滞りなく調査を行い、各開発担当部署へユーザーボイスを届けられるようになっています。

おわりに

今回は、様々な要素が絡む「ルート」(経路)に対する多岐にわたるユーザーボイスを滞りなく調査するための取り組みをご紹介しました。
この記事が、ユーザーボイスに向き合う方のお役に立てば幸いです。

これからもナビタイムジャパンでは、ユーザーボイスからより多くの改善をみなさまに届けられるよう、調査のさらなる効率化などを行ってまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。