見出し画像

乗換NAVITIMEで運転再開予測をリリースした話

こんにちは、バケットです。ナビタイムジャパンで『乗換NAVITIME』のiOSアプリ開発を担当しています。

2022/7/7(木)に、『乗換NAVITIME』にて、「運転再開予測」機能をリリースしました(プレスリリースはこちら

運転再開予測とは?

「運転見合わせ」が発生した場合に電車が運転再開するまでの予測時間を見ることができる機能です(一部路線のみ対応)。アプリ上の運行情報画面において、運転再開までの予測時間を確認できます。また「過去の再開所要時間を見る」をタップすると、過去に運転見合わせが発生した際の運転再開までの所要時間の傾向をグラフで確認できます。

なぜこの機能を開発したのか

元々『乗換NAVITIME』では、有料会員向けに迂回ルート検索機能を提供しています。しかし、実際には迂回せずに電車が再開するまで待った方が、早く移動できるケースもあります。
そこで、運転見合わせ時に迂回すべきか、再開を待つべきか、ユーザーの意思決定をサポートできればと思い、本機能の開発に至りました。

運転再開時間のデータ集計の苦労

運転再開予測の算出は、研究開発部門の開発者が担当しました。
運転再開予測は、鉄道事業者が運営する公式Twitterアカウントの発信内容を活用し、各路線の過去約3年分の、同一理由で発生した「運転見合わせ」から「運転再開」までの所要時間を収集して平均値を算出することで生成しています。また、公式Twitterアカウントからデータが取得できない場合は、同事業者・同路線でナビタイムジャパンが独自に集計した過去事例や平均値を「ナビタイム調べ」として表示しています。

特に苦労した点を伺ってみたところ以下の回答をいただきました。

鉄道会社の公式Twitterアカウントからデータを集計する際に、鉄道事業者によって、運転再開情報の表現内容にばらつきがありました。そこで、開発担当者が各鉄道会社のツイートを手作業で整備して、正規表現に落とし込み、データを集計しました。手作業での整備は、時間がかかりとても大変でした。

手作業での整備はとても大変だったと思うのですが、ユーザーにとって有意義な情報を提供できることになり、開発担当者にはとても感謝しています。

アプリでの見せ方に工夫した点

精度の向上に努めておりますが、運転再開まで予測時間より時間がかかる可能性や、もっと早く運転再開する可能性もあります。
そこで、過去の運転再開所要時間をグラフで表示して、運転再開予測の傾向を確認できるようにすることで、運転再開時間には早く再開するケースやとても時間がかかるケースもあることをユーザーに伝えられればと思いました。

しかし、いざグラフを表示してみると、新たな懸念が発生しました。運転再開時間は、現時刻から運転再開までの所要時間を表しますが、グラフは運転見合わせから運転再開までの所要時間を表しているため、情報の違いが整理しづらいことです。さらに、情報が増えることで、一番重要な情報である運転再開予測時間を認識しづらいという懸念もありました。
そこで、「過去の再開所要時間を見る」をタップすることでグラフが表示されるようにしました。詳細な情報はワンクッション挟んでから表示することで、必要な人により詳細な情報をお届けするようにしました。

終わりに・今後の展望

今回は『乗換NAVITIME』にてリリースいたしました「運転再開予測」について紹介させていただきました。

現状の予測方法の場合、過去に同一理由での「運転見合わせ」が少ないケース(災害発生時など)では、精度が低くなる可能性があり、精度の向上を検討しています。また、対応路線の拡大も検討しています。

もし移動中に「運転見合わせ」に遭遇した場合は、ぜひ本機能をご利用いただき、「迂回すべきか」「再開を待つべきか」の意思決定にお役立ていただければ幸いです。
これからも『乗換NAVITIME』をよろしくお願いいたします!