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【事業責任者インタビュー】ロケーションマーケティング事業

「事業責任者インタビュー」シリーズも第4弾となりました。今回は「ロケーションマーケティング事業」です。過去3回と同様に、社外の方には少しイメージしづらいと思われる、法人向けの事業・サービスについて、事業責任者にインタビューを行いました。

【話し手】
内門 智弥 : 2014年入社。エンジニアとして法人向け「店舗案内ASP」などの開発業務に従事した後、2017年にメディア事業部のマネージャーに就任。2019年より法人向け店舗データ管理クラウドサービス「NAVITIME Location Cloud」を立ち上げ、サービスの責任者を務める。2021年からロケーションマーケティング事業の責任者に就任。

【聞き手】
採用チーム(あ)

店舗情報管理の問題を解決する『NAVITIME Location Cloud』

ー今日はお忙しい中ありがとうございます。まずは「ロケーションマーケティング事業」で開発・提供されているプロダクトについてお話しいただけますか?

私たちが開発しているプロダクトは『NAVITIME Location Cloud』といいます。どのようなサービスなのかを一言でいうと、「お店を調べる体験を最適化する」ことができる、というものです。例えば、普段の生活において、外出先の周辺で飲食店を探そうというときに、知りたいことが書いていなかったり、見るサイトによって掲載されている情報が違ったりということがあります。また、雰囲気が分かる店内の写真などがうまく見つけられずに、選んでよいか不安になる、ということもあると思います。このような、間違ったあるいは不安な意思決定をすることを無くしていきたい、というのが私たちの事業が掲げているミッションです。

この問題を解決しようとしたときに、もちろん当社のサービスの中で得られる店舗情報を充実させていく、という方法もとれますが、その前提として、「正しい情報を集めてこられるか」ということがとても大事になります。やはり重要になるのは、実際に店舗運営・経営をされていて「1次情報を持っている」「正しいデータを持っている」事業者様自身がきちんと発信ができる状態を作る方が、より解決に近づけられるのではないかと考え、直接事業者様からデータをいただくことを考えました。

実際に店舗事業者様とお話ししていく中で、事業者様が「データを出したくても出せないという課題」をお持ちであることが分かってきました。というのも、多店舗展開をされているいわゆる「チェーン店」は、

・店舗データの数そのものが多い
・店舗データの中身/管理すべき項目が多い
・店舗データを連携(掲載)する先が多い

という三重苦に陥っている状態で、情報の更新作業をする際にはこれらが掛け算になって負担となってくるということが問題でした。

ある飲食店を展開されている企業様を例にとってお話しすると、自社で提供されていらっしゃるWebサイトやアプリの他、Googleなどの検索エンジンや地図サービス、グルメ系サイト、フードデリバリーサービスなど、店舗情報の掲載先が非常に多くあり、それらを担当の方が一つずつ更新したり、更新しきれない場合は作業を代行してくれる企業を探して依頼をするなど、大きな労力を掛けていました。さらに、その代行作業を行う企業も常に即時対応できるわけではなく、特に土日に変更が発生することも多いため、対応が週明けに後ろ倒しになってしまうこともありました。このように、1次情報を持っている事業者様自身でさえ、正しい情報を発信しきれていないということが現状としてありました。
このような、店舗事業者様が持つ店舗情報の管理やその発信に関わる課題を解決をするのが『NAVITIME Location Cloud』です。

ー確かに、年々SNSやフードデリバリーサービスのバリエーションが増えていくなかで、対応しなければならないメディアもどんどん拡がり、店舗事業者様の負担は大きくなっていますよね。

そうなんです。さらに、以前はGoogleなどで「近くの〇〇」と調べると、各店舗のWebサイトが表示されていましたが、最近はWebサイトよりも上の検索順位に地図と共に店舗情報が表示されるようになり、多くのユーザーがこの情報だけを見て意思決定するようになっています。この情報は店舗のWebサイトに掲載している情報とは別のツールから個別に更新・管理をしなければならず、情報管理の手間がさらにかかるようになっています。
また、最近では特に海外からの旅行客も増えてきていますが、海外の方は日本で使われるメディアとは別のメディアを利用することが多いので、また掲載管理するメディアが増え、しかも多言語翻訳まで必要になる、と人力ではとても対応しきれない状態になっています。

ー業種や業態でいうと、どのような企業様にご利用いただいているのでしょうか?

外食や小売はもちろん、複数の拠点を構えている会社であれば全てお客様になり得ます。駐車場やガソリンスタンドは当社の他サービスとの相性も良いですし、意外なところではATM設置場所を多く抱える銀行でも利用されています。金融の企業様はもちろん業務効率化という側面もあるのですが、「正しい情報が掲載されないと企業として信頼を損ねてしまう」ということへの懸念が強く、ブランドイメージを守る・向上させるという観点で、当社とのお取引に繋がっています。

ー検索サイトの店舗情報は誰でも書き込みができる仕様になっているんですよね?

そうですね、店舗事業者様ではない誰かが情報を書き換えてしまうこともあります。もちろん、書き換えた方も善意で情報更新されていることも多いのですが、残念ながら悪意を持って情報更新されてしまうケースもあります。書き換えがあればそれを検知してアラートしたり正しい情報に修正したり、情報を守るための機能も用意しています。
各店舗の情報管理や更新は、店長や店舗にいる各担当者がそれぞれ個別にやっているように思われがちですが、本部にいらっしゃる管理部門の方が少人数で対応されているケースが多いです。なので、管理・運用体制も含めてどうしていくのが良いのか、お客様の状況を伺いながら提案していくことも多いです。

コロナ禍によりニーズが高まる

ー話を戻してしまいますが、「ロケーションマーケティング事業」のここまでの歩みについてもお聞かせいただけますか?

社内で最初に提案したのは2018年度だったと思います。それまで『店舗案内ASPサービス』の開発に長く携わっていて、店舗事業者様とお話しする中で、今私たちが取り組んでいるような課題についても伺う機会が多くなってきたという背景があり、このサービスの新規開発を提案しました。
その後2020年に入ってコロナ禍が始まり、営業時間の細かな変更対応に追われる企業様が増えたことによって、お問い合わせが増えていきました。世の中の状況が状況だっただけに、オペレーションコストをどう下げるかということに店舗事業者様の意識が向いたこともあって、事業が軌道に乗ったのかなと思います。

ーなるほど。もちろんコロナ禍以前から「店舗情報の管理コスト」という課題は存在していたものの、コロナ禍によってそれがより大きくなったということだったのですね。
『NAVITIME Location Cloud』上で情報を更新すると、対応しているさまざまなメディア上の情報が切り替わる仕組み、というお話がありましたが、どのようにして実現しているのでしょうか?

中身としては、一つひとつのメディアと連携する仕組みを作っています。やり方はいくつかあるのですが、情報更新するためのAPIを公開しているメディアについては、それを使って更新処理を構築しています。他にはファイル連携も多いですが、さまざまな通信方式やファイル形式、インフラ環境に対応できる汎用的な仕組みを構築しています。

ーメディア一つひとつによって更新手順などが違う中で、それを網羅していくシステムを開発するのは非常に手間がかかりますね・・・。

そうなんです。例えば、営業時間や休日の表現一つとっても、メディアによって異なります。あるサービスは曜日と時間がセットになって記載されていますし、飲食店は深夜営業がありますので午前2時を26:00と表現していたり、「平日◯時~△時、土日祝●時~▲時」のような書き方があったり、本当にまちまちです。それらを当社のシステム側でツールを用意して、1つのデータを用意していただければ各メディア用に自動で変換されるようにしています。言ってみれば「変換の仕組みを作っている」という感じでしょうか。
構造化されたデータであれば処理しやすいのですが、実際にはそうではなく「平日◯時~△時、土日祝●時~▲時」のようなテキストデータしかない場合もありますので、これをコンピュータが意味解釈できるようにしています。いわゆる「自然言語処理」の技術です。

ー事業・プロダクトを作っているプロジェクトでありながら、研究開発的な要素も持っているんですね。

そうですね。プロジェクトに、社内の研究開発系のプロジェクトに在籍経験もあってさまざまな技術を持っているメンバーが集まっているということもあり、またビジネス環境的にもスピード感が強く求められていたり、私たちが作っているプロダクトだけに特有の技術でもあったり、ということもあって、研究開発系のプロジェクトと連携して開発するよりも、自前でサービス開発も研究開発もやってしまう、という他とは違った動きをしている事業かもしれません。

ーさまざまなプロジェクトを経験し、幅広い技術を持つメンバーが多くいる、というのはナビタイムジャパンらしい特徴ですね。

そうですね。なので、技術的には非常にチャレンジングな環境でもあると思います。

ー最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?

一般の方々がお店を調べる際に知りたい情報としては、やはり「リアルタイム情報」なのではないかと思います。駐車場であれば満空情報、飲食店であれば空席情報、物販店であれば在庫情報など、店舗情報だけでなく商品やサービスの情報についても管理・発信できるようにしていきたいと考えています。一般の方々の検索行動を考えると、お店に行く、ということももちろんなのですが、「買いに行きたい」「食べに行きたい」という行動を伴うことが多くなりますので、タイムリーにセール情報や在庫情報、空席情報などを出せるようにしたいです。これまで、こういった時々刻々と移り変わる情報については、店舗事業者様が発信する手間・取り下げる手間を考えて、情報発信を諦めてしまうケースもあったと思います。それを私たちのサービスで支えられるようになりたいです。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

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