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【事業責任者インタビュー】ビジネスナビタイム事業

ナビタイムジャパンというと、スマートフォンやWebブラウザ上で使うことのできる「ナビゲーションアプリ」のイメージが強い方が多いかと思います。ですが、現在当社が展開している事業のおよそ半分は、法人向け(to B)、官公庁・自治体向け(to G)のものとなっています。

今回は当社の to B向け事業の一つである、「ビジネスナビタイム事業」の事業責任者にインタビューを行いました。

【話し手】
松中 秀行 : 2007年入社。個人向け・法人向けの複数のサービス開発に携わった後、2019年からはビジネスナビタイム事業の事業責任者として、ロジスティクス分野を中心とした業務効率化に向けたサービス開発に従事している。

【聞き手】
採用チーム(あ)

「ビジネスナビタイム事業」が扱う3つの物流向けのプロダクト

ー今日はお忙しい中ありがとうございます。まずは、どのような事業なのかというところからお話しいただけますか?

まず提供しているプロダクトからお話しすると、

①トラックドライバーの方向けのナビゲーションアプリである『トラックカーナビ』

②物流・配送事業者様の運行管理者(※)の方およびドライバーの方に向けた『ビジネスナビタイム動態管理ソリューション』

③GPSのログデータをもとに、一時停止無視やスピード超過などの交通違反をしていないかを分析する『運転分析』

の3つを提供しています。
この『運転分析』というのは、運行管理者の方に向けて、ドライバーの方の運転の傾向などをお伝えして、ドライバーの方と一緒に振り返りを行い安全運転につなげていただくためのサービスです。

ー初歩的な質問になりますが、『トラックカーナビ』と『ビジネスナビタイム動態管理ソリューション』の中のドライバーの方が使う部分については、ほぼ同じものになるのでしょうか?

経路探索やナビゲーション部分については、同じ経路探索エンジンや道路データ、地図データを用いていますので、ほぼ変わらないと言っていいと思います。大きく違うのは、『トラックカーナビ』はドライバーの方ご自身が目的地を検索してナビゲーションを開始する一方で、『動態管理ソリューション』は運行管理者の方がWebアプリケーション上で組んだスケジュールがドライバーの方が持つスマートフォンアプリに共有され、ドライバーの方はその計画・ルートに従って運転していくかたちになる、という部分です。
『トラックカーナビ』についてはドライバーの方が個人で使うものなので、そのデータはアプリ内で閉じていますし、『動態管理ソリューション』についてはドライバーの方の位置情報や、到着した、配送が完了したなどの進捗状況などのステータスがWebアプリケーションに共有されるので、電話やメールなどによるやり取りをすることなく、運行管理をすることができるようになっています。

ー『トラックカーナビ』のユーザーの方と、『動態管理ソリューション』のユーザーの方には、どのような違いがあるのでしょうか?

『トラックカーナビ』のユーザーの方は中・長距離トラックのドライバーの方がボリュームゾーンになります。一方で『動態管理ソリューション』のユーザーになっているドライバーの方は、もちろん中・長距離トラックを運転される方もいらっしゃいますが、個人宅配であったり、産業廃棄物事業者様、メンテナンス事業者様、あるいは営業車を保有されている企業様など、業務の中で行き先指示や到着予想時刻の共有などが必要な事業者様にご利用いただくことが多いです。

ーなるほど。いろいろな場所を回る仕事、と考えればモノを運ぶだけではないですよね。

そうですね。例えばメンテナンス事業者様であれば、午前中の仕事の進捗により午後の予定が変わってくるようなこともありますので、管理者の方が状況を把握したいというニーズがあったりします。

医薬品の卸売業者様や、ある物流会社様については、それぞれの企業様で運用されている在庫管理や荷役管理などのシステムと当社の『動態管理ソリューション』を連携させることによって、情報共有や進捗管理をよりスピーディかつスムーズにおこなっていただいています。

ビジネスナビタイム事業が向き合う「物流の2024年問題」

ー続いて、ビジネスナビタイム事業が向き合っている社会課題、お取引先企業の課題について、教えていただけますか?

最近テレビなどでも取り上げられることが増えてきましたが、「物流危機」「物流の2024年問題」が、事業が向き合っている課題です。具体的には、「ドライバー人口の不足」と「労働時間の上限規制」の2つがあります。

まず「ドライバー人口の不足」に関してですが、配送荷物量はこの15年ほどのうちに1.5倍近くまで増えてきていますが、一方で30代以下の若年労働者数は減少の一途を辿っており、ドライバー経験が少ない方であっても安心して業務に当たれるように、安心して運転できるナビゲーションサービスを提供する必要があります。
実は、カーナビや配送システムを導入していること自体が、安心して働ける環境の整備に力を入れている、とドライバーの方々からも好意的に捉えていただけるそうで、求人情報サイトにも企業・求人のPRポイントとして書かれています。今働いている方の安全運転や負荷軽減につながるということだけでなく、ドライバーの方の新規採用にも貢献できるという側面もあったりします。
また、2022年12月に「特殊車両通行許可ルートの音声ナビゲーション機能」をリリースしています。

「特殊車両」は国や自治体などの道路管理者にあらかじめ申請を出した道路しか通ってはいけない、という規則があるのですが、その申請ルート通りに音声ナビゲーションをするという機能を、業界ニーズに合わせて開発しました。

続いて「労働時間の上限規制」についてですが、2024年4月に「働き方改革関連法」が物流業界にも適用され、時間外労働の上限が年960時間に規制されます。また、休憩時間、運転時間の上限も合わせて改正されることにより、ドライバーの方一人あたりの労働時間が現在と比べて強く抑制されるかたちになり、運べる荷物が減少する見込みです。これが、「物流の2024年問題」です。実際に、ある大手コンビニチェーンでは、各店舗への1日の配送回数を3回から2回に減らしたという話もありますが、これもこの問題への対応措置ではないかと思います。

こちらに関して、当社のプロダクトによる対応としては、トラックドライバーの方の労働状況を可視化するツールを開発し、提供し始めています。

また、配送経路を効率化していくことにも併せて取り組んでいます。これまではドライバーの方が経験や勘を元にルート選択をしていたものを、当社の巡回経路探索の技術を活用してより最適化することで配送効率を上げ、ドライバーの方の労働時間が短くなったとしても多くのモノを運べるようにしていこうという取り組みです。

物流業界から寄せられる期待

ー物流業界が抱える大きな問題を、さまざまな機能を開発していくことで解決していこうとしていることがよく分かりました。ここまで挙げていただいたことの他には、ナビタイムジャパンに期待されている問題解決には、どのようなものがあるのでしょうか?

例えば、届け先の共通する複数の荷主の荷物を共同で配送(=1台のトラックに乗せる)し、トラックの積載効率などを高めてコスト削減につなげようという「共同配送」というスキームがあるのですが、1台に複数の荷主の荷物が載っていることにより、通常よりも問い合わせの対応コストが掛かるという問題がありました。これに対応するかたちで、荷主の方にご覧いただく専用の確認画面を作り、都度物流会社に問い合わせせずとも荷主が直接確認できるようにした、ということがありました。開発のキッカケはお客様からのご相談だったのですが、それをしっかり伺って、期待を超えるような機能を実現することができたのではないかと思います。そのお客様とは現在も引き続き良い関係を築けています。

▲共同配送の仕組み

自分たちが直接体験できない問題を解決するモノづくりの進め方

ーなるほど。to C向けのサービスは我々ナビタイムジャパンの社員が普段の生活の中で感じたことがサービスづくりのヒントになることも多くあると思いますが、ビジネスナビタイム事業で開発しているプロダクトについては自分たちが直接モノを運んだりしているわけではないので、お客様の事業や業界知識、商慣習などさまざまなことをインプットしながら開発していかなくてはいけないという難しさがありますよね。

サービスをローンチする前の段階では、お客様となる業界を明確に設定し、該当するような企業様にヒアリングに伺う中で、必要な機能を考え開発をしていきました。ただ実際にサービス提供を開始してからは、その想定を超えてお客様になっていただける業界・企業が拡がっていきました。その理由の一つが大型車への対応で、これまで大型車での移動で困っていたお客様のニーズに刺さったということがあると思います。
もう一つは、到着予想時刻の正確性です。元々当社が提供していたカーナビアプリの中には到着予想時刻が表示される機能がありましたが、『ビジネスナビタイム動態管理ソリューション』の中では運行管理者の方にもドライバーの方の到着予想時刻が表示でき、またそれが正確だというところを評価していただいて、当社のサービスを導入いただいたケースは多いかなと思います。
これらのことから、物流業界向けにも展開ができそうという話になり、物流への理解を深めるために「運行管理者」の資格を取ろうという話が出てきました。

運行管理者の資格を取って役に立ったことは、物流会社様と同じ知識をある程度こちらも身につけられているので、サービスの仕様検討をする際にアイデアを出しやすい、当たりをつけやすいということです。あとは、お客様と商談を進めていく際にも、資格を取っていることを名刺に記載していたりするので、話題になることがありました。資格があることでお客様にも信頼していただける、ということがあったと思います。

ー最後にまとめとして、今後事業・サービスとして取り組んでいきたいことについて教えていただけますか?

今まさに取り組まなければいけないのは、ドライバー不足、労働時間の上限規制といった物流課題なのですが、同時にトラックはCO2排出量の多い車でもあるので、その削減につながるような新しいサービス、機能を作っていきたいなと思っています。物流業界でもSDGsというワードがよく出てくるようになりましたので、そこに向けたモノづくりができればと思います。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

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