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無駄なもの
無駄なものの意味を調べてみると、「役に立たないもの」とのこと。
考えてみると、以前からそういうものが好きなのかもしれない。鉱物標本なんて、ただの石。けれど、それをあっちから眺めたり、触ってみたり、挙げ句の果てにそれを仕事にした。まあ、趣味の結果、生活の糧にしたわけだから、役に立ったわけだ。
今度のアラモッコンに至っては、必要に迫られてとか、役立てようとか、それがなくてはならぬとかから、一番遠い存在でして……はい。
二百年以上経った古いお家を眼前に置いて、普通なら、さっさと壊してしまおうってもんだろうなあと思うけれども、私はその屋根に惚れ込んじゃった訳で。
好きになっちゃったものに言い訳はいらない。
その屋根は今までそのお家の方達しか、見ることが出来なかったわけで、私はその屋根を皆さんに見ていただきたく、つまり、オープンな場所にするべく、手に入れる次第。
屋根は家の象徴だ。
屋根があるから、人は守られる。
人が変わっていく二百年の時の中で、その屋根を支えて、しっかりと立っていた柱や立派な梁も愛でたい。
小さい頃、小さいおうちという絵本が好きだった。神戸の母が建てた家は、50年以上経って、そういう感じのお家になっている。母もあの絵本が好きだったんだろうなあ。
と、ここではたと気が付いた。無駄なものが好きというより、私は無機物がかなり好きなのかもしれない。
無機物はしゃべらない。けど、私はそれらが持ってる思いをしっかり聴きたいと思う。
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