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(3)ガクタメ制作!の段

こんにちは。
ノーチのかたっぽ、¥0sukeです。
お盆休みで4連休だったのですが、あっという間に最終日。
4連休まとめて書くので、今回はちょっと長めです。

この連休は10月に参加予定の博物ふぇすてぃばる(博ふぇす)の準備にあてました。
博ふぇすは、自然科学や博物学に関する作品が集うイベントで、出展者は「ガクモンからエンタメ(通称ガクタメ)」という企画に参加することになっています。

ガクタメは、例えるなら"大人の自由研究発表会"のような企画です。
学問をもっと身近で楽しいものにするため、作家たちは自分の熱中する学問や研究にまつわる作品をこぞって展示・解説します。

我々は今回博物ふぇす初出展ですし、「いきもの絵本作家」と名乗っている以上、このガクタメは絶対に手を抜きたくないところ。
しかし、挿絵やら別件の制作が忙しく、8月下旬提出なのにも関わらず、8月に入った時点で全くの未着手状態でした。


テーマ決め

まず、何についてのガクタメを作るのか、テーマを決める必要があります。
生き物をモチーフにしている他の作家さんたちは、好きな生き物についてのリサーチ結果をまとめたり、作品の作り方について解説していたりと様々ですが、共通していることは自分の得意や好きを表現していること。
我々にしか作れないガクタメっていったいなんだろう…?

僕も生き物が好きですが、「この生き物が大好き!」というような特定の種に対する愛着はあまりなく、詳しいわけでもないので、好きな生き物について語るのはちょっと違うなという気がしていました。
僕が大学で専攻するほどに生物学に興味を持ったのはむしろ、生命現象全体の漠然とした神秘性の部分が好きだったからです。

それに、生物学は研究対象のスケールが広く、ひとくくりにしてしまうにはあまりにも多様です。
生物学の学問分野が多様なのは、それだけ扱う生命現象が多様ということ。
私たちを取り囲む見慣れた景色も、絶妙なバランスの上で成立しており、その景色の中には奇跡のような生命体がうじゃうじゃいて、自分自身も全体の一部に過ぎない。
つまり、自分が生き物である以上、身の回りで起こっているほとんどのことが、疑問になりうるのです。

研究対象となる現象は身近にありふれているのに、法則性をモデル化して当てはめることが難しく、例外だらけで全体像が読めない。
確固たる基準がなく、曖昧でぼんやりとしているので、その曖昧さを受容した上で、理解しようとする。
ちょっとでもわかった気になりたければ、ミクロからマクロまでの知の蓄積を総動員する必要があります。
そこが生物学の面白いところです。
大学を卒業して2年以上経ちましたが、記憶が薄れないうちに、こうした「生物学の全体像」をイラストにまとめたいと考え、今回のテーマに選びました。


伝え方はどうするか?

次に考えるべきは表現手法。
ここでも、自分ならではの方法を考えたいところです。
さっき述べたように、僕が思う生物学の面白さは、扱う現象が多様で、かつ全体像が曖昧なことです。
観測者の存在などお構いなしに、当然のように鳥は空を飛び、サナギは蝶になり、卵はひとりでに孵る。
色んなところで、色んな不思議なことが起こっている。
ふと、これを面白いと思う自分の感覚が、幼い頃に大好きだった『ウォーリーを探せ!』に近いなと思いました。
念の為説明すると、『ウォーリーを探せ!』は、探し物を見つけて遊ぶ視覚探索系の絵本です。
ページを開くと視界いっぱいに緻密なイラストがびっしりと描かれており、不思議な世界が目の前に広がります。
注意して見てみると、いろいろな所でキャラクターたちがドタバタ劇を繰り広げていて、見る度に新しい発見がありました。
比喩ではなく100回以上は読んだ本だと思います。

生物学の全体像を、ウォーリーを探せ!みたいな絵で描きたい。

今回はこれで行くことに決めました。


アイディアをイラストに落としこむ

そうと決まれば、早速イラストを…
描き始める前に、盛り込みたい学問分野と、対応する疑問をリストアップします。

  • 分類学
    生き物の名前と、何の仲間か

  • 形態学
    どうしてその形なのか?

  • 発生生物学
    卵の中ではどんな現象が起こっている?

  • 細胞生物学
    細胞の中では何が起こっている?

  • 行動学
    なんでそんなことする?

  • 生態学
    生物同士や環境との関係、バランス

まだまだありますが、ぱっと思いつくのはこんなところ。
最低でも個体群規模〜細胞のスケール幅があるので、1枚のイラストに実験室(顕微鏡)と屋外の2場面を描く必要があると考えました。
こういったスケール幅のあるモチーフを画面に共存させたい時にらよく使われる手法として、「手前に小さいものを大きく、奥に大きいものを小さく描く」というテクニックがらありますが、今回は遠近感を無視することにしました。
パースが付くと画面に迫力が出てリズミカルになりますが、今回のガクタメでは全体をくまなく観察してほしいので。
下の画像はイラストの全体像のごく一部ですが、結構頑張って描きこんでみました。

ガクタメの一部(途中)

お盆のほとんどを返上した甲斐あって、進行度的には0%の状態から80%まで進めることができました。
iPadで作業しているのですが、朝から晩までApple Pencilを握りっぱなしだったので、仕事がある日よりも疲れた気がします…

描き上がったガクタメの一部分は、博ふぇすホームページの作家紹介ページに掲載される予定です。

全体像は博ふぇす当日にお披露目するので、お楽しみに〜

休憩がてらにホットケーキ焼いたら分量間違えてめちゃデカキノコみたいな食べ物が出来上がった

それでは。

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