さくらリポートから考えた国内経済とマーケット。


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57856600Z00C20A4EE8000/

先日公表された日銀のさくらリポート。
全ての9地域が景気判断を引き下げるのは11年ぶりのことだそうです。
前回の1月のさくらリポートから、急速に景気が悪化してきていることが分かります。
さくらリポートには今後のヒントが沢山書かれてあるので、私は毎回読んでいますが、今回は特にどんな声が届いているのか詳しく知りたくて、じっくり読んでみました。
まず想像通りだったのは、新型コロナウイルスの影響で、外食、小売に相当なダメージがでていること。
インバウンド=訪日外国人の恩恵が剥がれたことと、国内の外出も控えられていて、旅館などではすでに増築など設備投資を取りやめる動きなどがありました。
また、製造業では、中国の回復が一部でみられたり、まだ落ち込んでたりと、まちまちでしたが、ヨーロッパやアメリカの経済活動がストップしてることが影響してきていて、今後も懸念する声がありました。
一方で、巣篭もり需要が起きていて、衛生用品、加工食品などの売り上げが伸びてる他、冷蔵庫や専用の冷凍庫を購入する動き、ネットでの買い物が増えてました。しかし、これらは今後、反動減を警戒する声も散見されました。
また、5Gの設備投資などはかわらずしっかりしているという点も、やはりそうなのかと思いながら読みました。

そして、さくらリポートを読んで、先行きが心配になった分野は、雇用・所得と物価、倒産件数です。
ざっくりいうと、いまのところまだこれまでとそんなに変わってないという見方が多かったので、ここはこれから影響がさらに大きくでてくるだろうと思いました。
例えば、すでに非正規社員の契約更新を見送ったという動きが一部で見られたのですが、コロナの終息に時間がかかると、こうした動きはさらに広がるでしょう。
因みに、宿泊業などからの声で、ゴールデンウィークまで予約はキャンセルになっているが、コロナの終息にはさらに時間がかかるとみる声がいくつかあり、先行きが懸念されてました。

人手不足で福祉介護など一部の業種は求人の動きが続いてるようですが、
報道ではタクシーやバスの運転手が続々と職を失うケースも聞こえてきていますし、外出自粛が長引けば、倒産件数はこれから一気に増えてしまうことになるでしょう。

さくらリポートには書かれていなかったことで気になっているのは、フリーの人たちの話です。
例えば、音楽や舞台などアーティストの人たちの雇用・所得についてです。
イベントが開けなくなり、完全に収入がストップしてしまってると思います。
5月6日までとされる緊急事態宣言が延長されれば、そうした方々の環境はさらに悪化し、消費はさらに落ち込むことになるでしょう。

あと、先日発表された、企業物価指数は  前月比で、0.4%下落と、5カ月ぶりの下落でした。
原油安も響いてますが、世界経済、国内景気の悪化で、物価は上がらず、再びデフレの足音が聞こえてきそうだと感じました。

こうしたことから、次回のさくらリポートあたりには、この雇用・所得、倒産件数、物価に変化がでてくると思うので、注意してみていきたいです。
株式市場でもデフレ関連銘柄が再び注目され、その中でもより選別されることになっていきそうに思いました。
また、食品や医薬品、医療関連、衛生用品、ドラックストアや、ネット通販、宅配、ゲームなど巣篭もり関連、テレワーク関連などはしばらく物色されることになりそうです。

最後に、住宅投資については、まちまちでしが、弱くなってきたエリアもあったので、こちらもさらに変化していく局面を迎えるのではないかと思いました。
先日発表された、オフィス空室率は9ヶ月ぶりに上昇していた。
今回のことをきっかけに、テレワークが常態化していくことも考えられますし、
不動産が、コロナ対策で、個別で賃料支払いを一部猶予するといった措置に乗り出しているようなので、高騰してきた不動産は一服し、下落するこになるのではないでしょうか。

今でている経済対策だけでは、欧米の経済対策と比べてもぜんぜん足りないという声が多く聞こえてきていて、さらなる経済対策が待たれることになりそうです。

このところ相場は比較的落ち着いてはきていて、今日の日経平均は1ヶ月ぶりの水準を回復し、いったん2万円を試す動きにもなりそうですが、企業の赤字という文字が増えてきているのは気になるところです。
もちろん先行きはコロナの状況次第と思いますが、今のところは2万円を回復しても、しばらく戻り売りがでやすい局面になるのではないかとみています。

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