インスタグラマーの闇③

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ファッションブランドの立ち上げ


次に触れたい闇は「インフルエンサーのファッションブランド」だ。

インスタグラマーとYouTuberは有名になったらすぐファッションブランドを立ち上げる。
と、時々Twitterで誰かの呟きを見てちくりと心が痛む。


かくいうわたしもファッションブランドを持っているからだ。


ここで少し自己紹介という名の言い訳をさせて欲しい。


わたしは高校生の時からずっと自分のブランドを持ちたくて、ある時昔の同級生がインスタで有名になりファッションブランドを立ち上げた経緯を見て、わたしもそこを目指そうと思いInstagramを始めた。




大学では服飾学科に進学し3年間アパレルでアルバイトをしながらこつこつ投稿を続け、ようやくブランドを立ち上げるにまで至った。

なぜ一般のアパレル企業に勤めずやや強引に個人でブランドを立ち上げたのか。
全てを自分で決めて自分の力でやり遂げたいと思ったからである。

縫製や生産は縫製工場さんに委託しているものの、
その他の商品のデザインから各寸法、生地の選定、マーケティング、ホームページの作成、広告の出し方、梱包、発送作業まで全てを1人で行っている。

事務所にも所属せず、個人事業主として行っているため何かあっても全て1人で対処しなくてはならない。誰も守ってはくれない。

「ブランドを立ち上げませんか?」と声がかかったこともあったがそれでも1人でやることにした。




企業や事務所に所属すると、そこの従業員のような形になり、思い通りに動くことができないから
というのが大きな理由だ。




インフルエンサーは悪く言えばただの広告塔であり、商品を考えたりマーケティング方針を決めるのは運営する企業や事務所がメインになる。




更に業界の人から聞いた話だと、最近ではインフルエンサー発祥ブランドが大きくなると、インフルエンサーの意志関係なく違う企業に売却してしまうのだという。




実際に調べてみると、インフルエンサーが立ち上げたブランドの商標権を事務所が持っていることもある。




つい最近、わたしに来たDMには
セレクトショップを運営する企業から届いたものもある。

その企業のアカウントを見ると、何人かのインスタグラマーが各々ブランドを持っており、それらを統括するサイトを運営しているようだった。

ショップのフォロワーは8万人を超えていた。
インスタグラマーたちは各々気に入ったお洋服をセレクトし、それを着て自らのInstagramに上げたりショップの宣伝をしていた。



驚いたのがその企業から提示された報酬だった。
詳しく書きすぎると怖いのでややぼかしながら暴露(?)するが


月に一度の宣伝とセレクトで、売上の10%+固定でウン万円というもの。


夫いわく、売上の10%のマージンというのは中小企業だと役員レベルだというし、仮に商品が売れなくても月に一度投稿していれば必ずウン万円が入ってくる。


正直、わたしは揺れた。 


現在ブランドだけでやっていけるほど収入は安定しておらず、短期契約だが時給1,000円のパートを週4日、1日6時間続けている。




この話に乗れば1ヶ月の給料分と同等くらいの報酬は確約できるというのだ。




毎日早く起きて家事を済ませ決して面白い訳では無い事務仕事を6時間してクタクタで帰ってくる毎日を送るよりも、
涼しい家の中で好きなタイミングで、それも月に1度だけ投稿し宣伝するだけで同じ金額を貰えるのなら誰もが後者を選ぶだろう。



わたしは己の欲と戦った末に断った。


時折、話題になるインフルエンサーブランドの問題。
セレクトというのは中国や韓国のショップからがメインな所がほとんどでは無いだろうか。




実際インフルエンサーブランドの商品写真をスクショしてAliexpressなどで画像検索をすると、インフルエンサーブランドの半額以下で全く同じ商品が買えたりもする。最近ではSHEINで見つけることも出来るという。


仕入先が同じだとこういった事が度々起き、Twitterでも話題を呼び炎上したこともあった。




全く同じ商品が8,000円と1,500円だったら、安い方を殆どの人が選ぶのではないだろうか。

上記のことを知っている人は先述したように画像検索で安く買うだろうし、知らない人はその値段で購入するだろう。

しかも、1,500円の方もきっと原価では売っていないというところが恐ろしいなとわたしは思う。

服を作るために必要な生地の値段、それを縫う人に支払う縫製費など、恐らく数百円台になってしまうのではないだろうか。

ファストファッションブランドの中には外国人労働者を低賃金・長時間労働など違法に労働させているケースも見られる。

そういった事が起きているのではないかと思うと心が苦しい。

かの世界的ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」のデザイナー・川久保玲氏も過去にこのような発言をしていた。

「ジーンズ1本が何百円なんてありえない。どこかの工程で誰かが泣いているかもしれないのに、安い服を着ていていいのか。いい物には人の手も時間も努力も必要だからどうしても高くなる。いい物は高いという価値観も残って欲しい」
https://www.j-cast.com/2009/12/22056834.html?p=all


この発言の善し悪しはともかく、ファストファッションブランドの背景を知ると、
少なくともわたしはその服をわくわくした気持ちで着ることは難しいなと思う。

過去にはバングラデシュにて縫製工場のビルが倒壊し死者1,100人以上、負傷者2,500人以上という悲惨な事故が起こっている。




ここでも誤解がないように弁解させて欲しいのだが
安いものを高く売ることは悪いことではないということだ。




買う側の気持ちとしては嬉しくはないが、そういうブランディングでやっていくのはビジネス的にはありだと思う。


だけどわたしはやはり利益よりも、お金では買えない人の想いを大切にしたい。 


安かろう悪かろうの場合もあるし、今回のようなセレクトショップのケースだとインフルエンサーは宣伝のみで商品の発送は企業側が行うこともあるだろう。



在庫を常に抱えているのなら発送までスムーズだと思うけれど、
注文が入ってから商品を仕入れる無在庫販売だった場合、
商品が届くのがいつになるのかわからなかったり、悪質な企業だった場合ろくに届かない、届いても商品が粗悪だったりする場合もあるだろう。


何かトラブルにあったとき、購入者がインフルエンサーの投稿を見て購入を決めたのなら、インフルエンサーに対する不信感にも繋がるだろう。


そしてわたしのフォロワーさんたちはわたしがそのようなセレクトショップをすることを望みはしないだろうというわたしの勝手な予想だった。

わたし自身も自分にしか作れないものを作りたいと思いブランドを立ち上げた。


既成のお洋服を選ぶだけなら、わたしじゃなくてもいいと思った。



最後に


3回に分けてつらつらとただ出来事とお気持ちを述べてきたが、
インフルエンサーを疑って欲しくてこの記事を書いたわけではない。

勿論、①のステマ部分に関しては注意喚起のような気持ちで綴ったけれど、わたしが伝えたかったのはただの情報だ。

知る権利は誰にでもあるとわたしは思う。
知った上で買うか買わないか、行動するかしないかは個人の自由であるからそこに言及するつもりはない。

好きなインフルエンサーの懐を癒せるのならという意味で、ステマとわかった上で購入することはいいと思う。

問題なのは知らないことだと、知らない相手に真実を伝えず行動を促すことは極論を言うと詐欺に近いのではないかと思う。

ナイトブラやサプリで胸が大きくなることもなければ、飲むだけで痩せるお茶もなければ、塗って寝るだけで二重になるアイプチも無いのだと伝えたい。

ちなみに塗って寝るだけで二重になるアイプチは実際わたしも過去にインフルエンサーから購入して酷い目にあった。

瞼は腫れるわ二重にはならないわ、解約手続きはなかなかできないわ、勝手に定期契約になっていてとんでもない請求がくるわで散々な目にあった。


「インフルエンサー」とは「影響力のある人」を指すのだという。


わたしはこの影響力を「正しい情報」を発信するために使うべきだと勝手に思っている。


Instagramでは定期的にストーリーなどでフォロワーにこういった事実を話していたが、もっと多くの人に知って欲しいと思い今回noteに書き綴った。

そして特にインフルエンサーにこれを知って欲しいと思う。

悪徳な企業はインフルエンサーを金稼ぎの客寄せパンダか何かと思って近づいてくることもある。

お金でつられてしまいそうになる時もあるだろう、だけど自分の身を守るために、
自分を思ってくれているフォロワーさんを裏切らないように、よく考えて行動して欲しいと切に願う。

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