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PLA樹脂はゴミ埋立地よりも多くのCO2を発生する?!

PLAは生分解性樹脂として注目を集め、使用量が急増していますが、こんな内容のサイトがありました。

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ネイチャーワークスLLCによって製造されたPLA樹脂は、トウモロコシ栽培用途での安価な肥料の使用の際に発生する亜酸化窒素が、CO2の310倍、メタンガスの15倍強力な温室効果ガスであることが報告され、最近炎上騒ぎになりました。アメリカのネブラスカ州ブレアのネイチャーワークスでトウモロコシ作物を栽培するときに使用される肥料は、無水アンモニウム(尿素)または硝酸アンモニウムを使用しています。ネブラスカ州ブレアのプラントから半径30マイル以内で使用されるこれらの安価な肥料は、大量の地球温暖化の一因となっています。

トウモロコシ由来のPLA樹脂:
American Carbon Registryによると、肥料の種類によっても異なりますが、
1エーカーあたりの亜酸化窒素(N2O)の排出量は年間0.12~1.45 t CO2-eであり、分析の結果、31州の3つの作物の年間N2O総排出量は6,100万トンと推定されました。これらの排出の70%はトウモロコシ畑からのものでした。PLA樹脂製造に使用される原料はトウモロコシで、2.2kgのトウモロコシから1kgのPLA樹脂が製造されます。グローバルに見るとこれらの肥料を使うことで温室効果ガスの排出量が増えることになります。

驚くべきことに、PLA 1トンに対し100ブッシェル(2.54トン)ものトウモロコシが必要であり、トウモロコシ畑1エーカーあたり130ブッシェルのトウモロコシが植えられています。従来の農法で作られた単一栽培のトウモロコシは、通常、大量の合成肥料と農薬が使われます。それに対して安全な有機栽培のトウモロコシは有機食品に対して需要があります。PLAを作るためにトウモロコシの必要な部分は中心の核の部分のみで、それ以外はすべて廃棄物になります。ポリマー原料を作るという視点でみると、非効率的な方法でもあります。

ネブラスカ州ブレアにある現在の施設では、年間140,000,000キロのポリ乳酸を製造できます。アメリカでPLA樹脂の製造に使用されるている土地は107,692エーカーです。アメリカが仮に工場フル稼働でPLA樹脂を作るとした場合、約6,900,000エーカーもの土地が必要になります。現在、米国では毎年約200億ポンドものプラスチックを使用しています。

US Gas and Sinksによると現在ネイチャーワークスがフル稼働しているとした場合、203.3 Tg(テラグラム)のCO2相当の温暖化ガスが生産されます。これはアメリカすべてのゴミ埋立地が出す温暖化ガスよりも56 Tg多い量だと推定されます。

これは地球上で最も高い温室効果ガスを作る作物の栽培に関する肥料だけの問題にとどまりません。PLAはトウモロコシをバイオプラスチックに変え、さらに廃棄する場合は堆肥施設でコンポストすることになりますが、これは好気性分解を伴うためさらに多くのCO2を生成することになります。

トウモロコシベースのPLA樹脂は、使用されている肥料による温室効果ガス増加が膨大な量になるため、環境に対し企業によってなされる最悪の意思決定だと言えます。

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ハンパなくこき下ろしている救いがない文面ですが、私見としては、それでも地中深くから掘り起こした石油由来のポリマーに頼り続けるよりはいいのではないかと思いました。いまはそうなっていないかもしれませんが、PLAは地表の資源で循環させる仕組みを作ることができるポリマーであることは間違いありません。PLAそのものは悪ではなく、PLAをどう作るかを考えてうまく循環するように変えていけばいい。そこがまだできていないのは事実です。単純にPLAはエコ、ということだけでなく、負の側面にも目を向けて少しでも変えていくことが大事ではないかと思います。

よろしければこちらの記事もご覧ください。

PLAの生分解性プラスチックとしての誤解http://nature3d.net/explanation/pla_notreally.html

世界のPLA(ポリ乳酸)樹脂メーカーhttp://nature3d.net/explanation/pla_suppliers.html

2019年に発生したPLA樹脂の世界的需給ひっ迫についてhttp://nature3d.net/explanation/pla_resin_shortage.html

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