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お料理に使う油の大切な話

揚げ物って好きですか?

揚げ物苦手っていう方ももちろんいらっしゃるでしょうが、一般的に、唐揚げとか、とんかつとか、天ぷらとか・・・いわゆる「うまい!おいしい!」という一時的な感情を引き起こしやすい食べ物が揚げ物ではないかと思います。

私が運営しているアトリエ内のショップで特に人気が高い売れ筋商品は「こめ油」です。
そして、お客さまが最も選択に困っているなと感じるものが調理用油です。

放っておくと次々売れていくのでショップとしてはありがたいのですが、単純に良いと思って購入されると危険な食品の代表格が油だと私は思っています。

お料理や食をテーマに仕事をしている身として、あらためて油についての私の見解を書いておかないといけないなと感じていましたので、参考にしてみていただけると嬉しいです。


食べることは身体の健康度に大きく影響します。それは、ほとんどの人が実感として知っていることだと思います。

でも、人間は健康のために食べるだけではないし、食べるという行為から、悦びや楽しさや美味しさなどの「快」の刺激を得ていたり、食という場面を通してコミュニケーションを図り、人間同士の豊かな営みへ繋がることもたくさんあります。
ですから、この食べ物が身体に良いか悪いかという視点だけで語らないように常々気をつけてきました。

ですが前述したように、油に関しては「どの油が良いですか?」と聞かれることがとても多いです。それだけみなさん油選びに迷っているんですね。

私からのアドバイスですが、「油を身体に良いという視点で摂取するのはやめたほうがよい」です。もちろん、身体に必要な栄養素であることは確かですが、普通に食事をしていれば色々な食材から勝手に油は摂取できます。

まず、食用油というモノは基本的に安定性が低いものです。ある植物や動物は一つの個体として完成されたシステムをもっています。その中から人間が便宜的に「油」という物質のみを抽出しています。それゆえ、ご存じの方も多いと思いますが、油は常に酸化するリスクを抱えています。

酸化するリスクの高いものに熱を加え(熱を加えなくても大気中に酸素はたくさん存在しています)、体内に入れているのですから、それがどういうことか想像に難くないと思います。


油選びの大切なポイントの一つに、酸化する可能性が高いか?低いか?という視点があります。

ざっくり説明しますと、油(ここでは脂質のこと)を構成している代表格中性脂肪のほとんどが3つの脂肪酸でできています。その脂肪酸には飽和脂肪酸という酸素が結びつく場所がないものと、不飽和脂肪酸という酸素が結びつく可能性がある場所が1箇所または数カ所あるものとにわかれます。

ということは、酸素が結びつく場所がない飽和脂肪酸がたくさん含まれているほうの油を選べばいい!ってことになるわけですが、ここからが難しく混乱のモトになっているところなのです。

数々の専門家や研究者が、飽和脂肪酸は血液をドロドロにして動脈硬化のリスクを高くするよ-!とか、不飽和脂肪酸(オメガ3)はアレルギー症状を抑えたり脳の働きをよくするよ-!とか、いやいや飽和脂肪酸は酸化しないしエネルギーになりやすいからリスクが低い油だよ-!不飽和脂肪酸は様々な病気の大きな原因だよ-!とかとか・・・

だいぶ端折っていますが、とにかく意見が真っ二つに分かれているのです。

こういう素人目にはどっちが本当なのかわかりにくいときに大切なのは、リスク分散することと経験と体感ベースに判断することだと私は思っています。

私は元々リサーチャー基質なので、自分と意見が合う合わないに関わらず、かならず両面の主張を見て分析し、情報の間口を一つに絞らず様々なところからとるとか、信頼できる専門家を数人見極めておくとかするんですが、笑

それはちょっとマニアックなので、みんなが同じようにできるわけではありませんよね。

そういうときは、一つに絞らず固執せずリスク分散をおすすめします。

例えばうちのアトリで取り扱っている油は2種類あります。

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こめ油と

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ココナッツオイル(無臭タイプ・・・といってもちょっとココナッツ臭あります。笑)

こめ油は不飽和脂肪酸の多い油、ココナッツオイルは飽和脂肪酸の多い油です。

先ほど言ったように、油を構成する代表格中性脂肪は3つの脂肪酸からできているので、その3つの脂肪酸の組み合わせもそれぞれバラバラなのです。

例えば、こどもさんや旦那さんが唐揚げが大好きでよくつくる場合、比較的リーズナブルでたくさん入っていて、メーカーからは製造工程や商品に酸化しない努力が感じられる「まいにちのこめ油」を使い、普段炒め物をしたり、卵焼きを焼いたりするときはココナッツオイルを使う。

もしくは、「まいにちこめ油」を使い終わったら、次は別の種類の油を買って使う。

こんな風に、使い分けてみるのはどうでしょうか。

ちなみに、アリサンのスリランカ産オーガニックココナッツオイルは蓋を開けるとココナッツの香りが少しありますが、火を入れるとほとんど感じなくなります。私も普段和食や炒め物に使いますが、家族からココナッツ臭を指摘されたことはありません。
とある有名な無臭タイプのココナッツオイルの無臭だけど残る謎の臭いが苦手と教えてくださったお客さまがいらっしゃったのですが、その無臭の謎の臭いもありません。(これ、意味わかるかな)

こめ油のほうは、揚げ物をすると油切れが良くカラッと軽く揚がり、酸敗臭もありません。

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このお魚の唐揚げはココナッツオイルとこめ油のブレンドで揚げました。

そしてもう一つ大切なことは、頭で食べないってことです。

誰か有名な人が良いと言ったから、雑誌で身体に良いって書いてあったから、テレビで美容にいいって特集されていたから・・・というもっともらしい理由で食べ物を選ばないのも大切なポイントです。

例えば、オリーブオイルがよいと聞いていつもオリーブオイルを使っているけど、なんとなくムカムカするとか、ココナッツオイルを使って料理したけどぜんぜん美味しくない!とか、それはそこにちゃんと答えがあるんです。

だって、みんな違う身体と心で生きているんですから、身体に合う食べ物が同じなわけありません。

厳密に言うと、どうして美味しくないのか?本当は身体に必要なのに食べられなくなっちゃうという状態もあったりするんですが、それはまたしっかり対話する必要があるのでここでは控えます。

とにかく、一つのものに固執したり猛進したり傾倒したりするのはとっても危険です。これを食べないとなんか怖い!不安!という感情は通常食に対して抱くものではありません。人間は毎日何かしら食べないと生きていけないのですから、食べることに縛られないで、賢く食を楽しんでください。

アトリエに来ていただけると、もう少し専門的なお話やその方のご希望に合う調味料の選び方、私自身の経験なども含めてお話できますので、お気軽に遊びに来てくださいね。うちで取り扱いの商品に限らず、良いものはご紹介いたします。

ということで、簡単ではありますが、油選びは一つに絞らず固執せず!です。そして、うちのアトリエで取り扱いの油ばかり買って使っちゃだめよ!(ありがたいけど)笑

※ここに書いている内容は、何らかの疾患や症状に対する考察は含んでいませんので、ご了承ください。

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