ギース②

その夜、ギースは家を出、友人のルーズと親の支配から開放された。
雨が降ってきたのでルーズは傘を差したが、ギースは
「人生に傘なんていらない」と言い、ルーズが持つ傘を付き返した。
「君の気の難しさで街中がヒソヒソ声に満ちている。どうしてくれるんだ」
「ヒソヒソ声がなんだ!奴隷暮らしよりはましだ」そのギースの声が実に町中に響く声なので、ルーズは少し耳を塞ぐと、その手をギースに押し付ける。こうして二人は嵐の夜、あてもない旅に出たのだった。
この二人の浮浪児が後に世界を大きく変えるとは、誰も知るはずもなかった。
もちろん二人も気づいておらず、雨上がり、いや、嵐あがりの道を歩く。
③へつづく…

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