世界で一番美しい魔女あとがき。
おはようございます、今日も素晴らしい1日を過ごされてますか?七枝です。こちらは声劇台本台本/世界で一番美しい魔女(女1:男1:不問1) | 七枝の。 (amebaownd.com)のあとがきです。後書きから読む人は、まぁそういないでしょうけど、もしいらっしゃたらぜひ本編もみてね。なんなら遊んでね。Twitter(もうXっていうんだっけ?)に使用報告してくれたら嬉しいです。ぜったいしてねなんて言わないけど、してくれたら嬉しいです。大事なことだから二回いいました。
【シリーズ設定について】
さて、こちら方角の魔女っていう、おとぎ話と魔女と弟子の物語をミックスさせたシリーズもの台本となります。基本設定は以下の通り。
①方角の名を冠した魔女がいる。
②魔女には弟子がいる。
③モチーフとなる童話がある。
以上の設定をふまえつつ、自由に声劇台本をつくりましょ~っていう、シリーズです。なにかの企画みたいですね、企画でやればよかったですね。企画力とコミュニケーション能力がなくてできなかったやつです。いいんだ、ひとりで東西南北完成させたら、それで満足できるからいいんだ。そんでもって今回作ったのは北の魔女のお話。
【コンセプトについて】
「北」って思い浮かべると皆さんは何を思いつかれますか?
まず「北海道」とか「雪」とか「蟹」みたいなとこじゃないでしょうか。
そんなわけで今回のお話のモチーフは「白雪姫」と「氷の女王」に決まりました。片方だけでもよかったのですが、どちらにしようか悩んで、二つの物語の要素を抜き出したとき、若干かぶるとこがありました。
「美しい人外の力をもつもの」が「鏡の力をつかっている」
「実の親でないもの」が「子どもを保護する」ってところです。
白雪姫では、継母が魔法の鏡を。氷の女王では、カイの目に悪魔の鏡の破片を刺さったのが物語のきっかけでした。
じゃあ、この要素「鏡」と「子育て」を使って、おはなしつくろー!っていうのが今回の台本制作の発端です。あとは、魔女を「醜く生まれた白雪姫」弟子を「歪んだ鏡の力をもった少年」にして、どうしてそうなったか?の理由付けのために、「好奇心旺盛な悪魔」が生まれました。
氷の女王にも悪魔が(冒頭だけですが)登場するので、都合がよかったです。軽率に悪魔やら天使やら、万能の力をもった存在をだすと物語が破綻しかねないので、そうあまり使える手ではありませんが。
【キャラクター設定について】
・魔女
次に決めたのは細かなキャラクター設定です。
まず、物語の主役・魔女の解説をしましょう。
彼女の名前は「スノー・ホワイト」
本来、黒曜石のひとみ、血のように赤い唇、雪のように美しい肌をもつはずだった娘が悪魔のせいで醜く反転した存在です。彼女の場合、「醜い」と「本来と違う色をもつ」というのが設定の肝なので作中にも身体描写は何度かいれました。
血のように輝く赤い瞳、老婆のような白い髪、黒炭のような黒い肌。あと弟子のモノローグでは語られてませんが、彼女は岩石のようにボコボコの肌と福笑いのようにねじ曲がった目鼻立ちをしています。弟子の目は鏡のせいで歪んでるので、それがわからないのですね。
彼女はその醜さのせいで、生まれた瞬間から母親に疎まれ、捨てられます。それを森の賢者(先代北の魔女)に拾われ、運良くその後をついで「北の魔女」になりましたが、その醜さから友人ができません。
醜い自分を、ありのままで受け入れてくれる人に出会いたいと心の底で願いつつも、それが叶うはずないと諦めている。そんなルッキズムと孤独をこじらせてるのが魔女スノーホワイトです。
・弟子
次、弟子の「ミラ」
彼の名前はスノーホワイトがつけました。彼女は一応魔女なので、出会ったときからミラーの目がおかしいのに気づいてます。なので「鏡」のミラーからとって「ミラ」と名付けました。単純ですね。彼はスノーホワイトに拾われたその後、山奥の小屋に連れ去られ、閉じ込められます。日中は家事をして過ごし、たまにスノーホワイト同伴で山の散策をします。他の人物にあうことはありません。スノーホワイトがそれを避けていることもありますが、ミラ自身人にあうことが怖いからです。
それは彼が幼少期にうけたひどい仕打ちのせいもありますが、一番はスノーホワイトが他人と交流することで、自分を捨てるのでは無いか、という危惧があるからです。
彼にスノーホワイトに拾われる以前の記憶はありませんが、「捨てられる」ということが無意識でトラウマになっています。
なので捨てられないように、役に立つように、と能力以上のことをして空回りしています。スノーホワイトの言いつけを破るところは試し行動も入っていますね。彼なりにどこまでやったら捨てられそうになるか探ってます。
作中前半でミラは悪魔であるブラックに懐いているそぶりをしますが、これは「ミラが唯一大切にしている友人様」という意識があるからです。媚びをうってるんですね。幼くてその意識はあまりありませんが、終盤少し辛辣になるのは「ブラックが自分の目を歪ませた」せいではなく、「スノーホワイトが自分を捨てない」と確信したからです。
庇護者をもとめるしたたかな子ども、それがミラです。なので同じように捨てられた子どもであるスノーホワイトがミラをまっすぐ育てるのは、若干荷が重いのでしょうね。スノーホワイトが知らないところで、ミラは少し歪んでしまいました。
・悪魔
最後、「好奇心旺盛な悪魔」ブラック。
彼の行動原理は単純です。「面白い人間をみたい」これにつきます。彼の会話の中で「契約をしよう」という台詞が何回か出ますが、これは面白い人間に印をつけて「おれのもんだから!」と主張したいだけで、あまり本気ではありません。本気だったら、もっとスノーホワイトやミラを追い詰めてます。彼は人間が右往左往してるのを眺めているのが好きなので、適度に難問をふっかけてきますが、陥れようとはしません。そこまでしたら、どうせ上手くいきすぎて面白くないのがわかっているからです。
スノーホワイトを友人よばわりするのは、自分のせいで醜く生まれてしまったことがわかっているのに、人恋しさからブラックを拒み切れないスノーホワイトが滑稽で仕方ないからです。
クソですね。彼は本質的に人間を対等のものだと思ってないので、ケージの中の小動物を愛でる気分で魔女と弟子に接しています。
【物語の流れについて】
コンセプトとキャラクター設定を決めたところで、あとは全体の流れをつくりました。登場人物がお互い秘密を抱えているところは決めたので、あとは日常会話→不穏な空気→事件→話し合い→結論までまとめればいいだけです。簡単ですね、起承転結というやつです。キャラクター設定とぶれそうな行動をしそうな時は都度、ご都合主義「悪魔のささやき」を入れ、真面目な会話でだれそうな時は、都度「ブラックくんのブラックジョーク」をいれました。悪魔さん、大活躍です。
ただ肝心な結論といたしましては、悪魔さんが介入する余地がないので、すれ違いの結果未解決という結果に終わってしまいました。
それを象徴するのがミラの最後の台詞「師匠は世界一綺麗ですね!」です。
キャラクター設定で記述したとおり、スノーホワイトは醜い自分をありのまま受け入れてほしいと思いながらもそれを諦めてます。ミラは逆に美醜など気にしている余裕がありません。彼はスノーホワイトに捨てられたら、また死ぬような目にあうと思ってるので、自分の居場所を確保することに必死です。
なので、オールハッピーエンドの大団円を迎えるためには、まずスノーホワイトがミラをありのまま受け入れてやり、絶対的な安心感を与えてやらねば美醜云々の話に行き着くことができません。目を治す/治さないはその後の話になるんです。
ただ、愛された・絶対的な安心感を与えられたことがないスノーホワイトにはそれをどうすればミラに与えられるかわからない、そもそも必要だということも理解してません。なので安易に「寝坊していい」やら「アップルパイ」などという甘やかしに走ってます。それをみて悪魔が笑い、ミラにいいます。
「目を捨てたくなったら契約してやる」
いつかミラが大人になり、巣立つときがくると知っているからこその悪魔のお情けです。でも伝わってません。子育てって難しいですね。
はっぴーにみせつつ、ブラックなものが書きたいな~って思って書きました。たのしく演じてもらえたらいいな。
おそまつさまでした。
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