チラリズムな約束

ぼくはこどもにうそはつきたくないので、できない嘘はいいません。
といった園長がいた。
でも例外はある。クリスマスだ。それ以外は、魔法でお菓子が出てきたよ、などと口がさけても言わない。信用できる大人に見えた。

寝かしつけられるのが嫌いだった。
やさしい声でトントンしながら歌ってくれるのに、ふと気づくとお母さんはいない。それなら最初からトントンしないで欲しかった。夢なんてみせてくれなくても良かった。

それと似た感情を、久しぶりに抱いた。
詳細は伏せるけれど、ワクワクさせておいて、でもそれはうそみたいな夢物語で、放ったらかしにされたのだ。

またか。

おとなになっても、しょうもないことは起こる。

仕方なく心に墨をばらまいて、ワクワクを消していく。だが一度色づいたワクワクはなかなか消せなくて、墨がどんどん濃くなっていく。

だからもうチラリズムな約束は、しちゃいけないんだ。と繰り返すけれど、きっとまた誰かを信じてしまうんだろうな。

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