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Live2D 男性キャラの顔の作り方~輪郭にこだわる~

1.はじめに

こんにちは。穂坂ナツメグと申します。
Live2Dでゲームのお仕事やVTuberモデル制作など関わらせていただいています。

顔はモデリングの中でも皆さん特に関心がある部分なのではないでしょうか。丸みのある女性でも難しいのに、立体感のあるはっきりした男性の顔は特に難しい…と感じている方も多いのではないかと思います。

そこで今回は、男性キャラの顔…特に輪郭のモデリング方法について少しご紹介しようと思いました。個人的に輪郭はとても大事だと思っていて、今回はそこに注目した記事になっています。

あくまで私の手法を公開する形ですので、一つの参考としてご覧ください。

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上記のように動くモデルの顔について(目・鼻などのパーツは省く)の制作過程を載せていきます。

■今回使用するモデルはこちら【角男性モデル】です↓


2.下準備

私の場合、モデリングに入る前に必ず事前に準備しているものがあります。それは「輪郭の下絵」です。

輪郭を綺麗に作ろうとすると、Live2D上でやりくりするのは難易度が高く、修正も多くなりがちです。その点、あらかじめ下絵を用意しておくと作業がスムーズになります。

特に骨格のはっきりした男性キャラは女性より輪郭のラインが大きく変わることが多く、それに応じて印象も変化します。ですので、カッコよく見てもらえるよう、下絵の段階から準備は入念に行っていきます。

上下・左右・斜め向き、すべての角度の下絵を用意します。
正面向きの顔であれば左右は反転で大丈夫です。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像1

この段階で顔のパーツ(目や鼻など)をどのように動かすかまできっちり決めます。下絵はほぼ図面のような扱いですね。ですので、上の画像のように細かく描いていますが、目・鼻・口をアタリ程度に入れ輪郭線だけ描くだけでもモデリングしやすくなると思います。

また、絵を描くことに慣れていない方は、下絵の手順をモデリングと逆にするのも良いと思います。先にモデリングで顔の動きをおおまかに作り、それに合わせて輪郭の下絵を描くという流れです。

ベストの輪郭線を求め、ずっとLive2D上で試行錯誤するよりは作りやすいかなと思います。下絵からいきなり顔の形を描くのは難しいという方は、この方法をお試しください。

輪郭はキャラの魅力を表現できる重要なポイントですので、絵的なカッコよさを目指して下絵を準備していきます。


3.顔のポリゴン

男性キャラは、立体感を出すために頬の影や頬骨などが描写されている場合も多いかと思います。そこで、重要になってくるのがポリゴンです。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像2

顔の縦のラインを意識してポリゴンを割っていきます。
私の場合、目の部分に意識的に縦のラインを通すようにしています。また、必ず顔の中心にラインを通しています。

自動でもよい感じにポリゴンを割ってくれますが、ここはひと手間かけて「キャラに合わせたポリゴン」を用意してあげましょう。余分なポリゴンが削除されモデルが軽くなると共に、キャラに合わせたモデリングができるようになります。


4.モデリング

デフォーマ配置など一通り準備が整いましたら、いよいよモデリングに入ります。

まずは上下・左右の向きから作っていきます。顔のデフォーマを動かして下絵に近い感じになるようにデフォーマを変形させます。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像3

ここで大事にしているのは「おおまかに形を作る」という意識です。
細かい作り込みはデフォーマでは行いません。そもそも、輪郭線をデフォーマのみで自由に整形するのは難しいです。作り込みはポリゴンをいじって行うことになります。

なお、私の場合ですが…デフォーマを動かすときは「移動量を決める」という感覚でやっています。例えば、顔の中心部分であればそこがどれだけ右や左に移動したか、グリッド(上の画像では見やすくするため非表示)も参考にしながら変形のバランスを決めています。

長くなるので詳細は省きますが、どの程度デフォーマを移動させたかを意識しながら作るクセを身に着けておくと、斜め向きの顔を作る時にも役立ちます

顔のモデリングと並行して目・鼻・口などの顔パーツのモデリングも進め、全体を徐々に作っていきます。

5.輪郭線を整える

デフォーマで顔の上下・左右をおおまかに作ったら、次は輪郭線の整えです。下絵に沿うように、顔の輪郭線のポリゴンを移動させていきます。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像6

この時のポリゴンの動かし方の注意点ですが、例えば横向きの顔の時に上下にポリゴンを動かすと、予測不能な変な動きになったり修正が難しくなったりします。

ですので、特に初心者の方は基本的に顔が横向きの時は横方向だけ、縦向きの時は縦方向だけスライドするようにポリゴンを動かすと、トラブルが少なくモデリングしやすいかなと思います。(4隅は横を基準にします)

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顔の輪郭線を整えました。ですが、動かしてみると頬のあたりの影が少しおかしいですね。動きだけでは分かりづらいかもしれませんが、ポリゴンで見ると顕著です。確認してみましょう。

まず、パラメータがデフォルトの状態で、目のあたりにある顔のポリゴンを選択してみてください。そのまま、X軸のパラメータを動かして顔のポリゴンをもう一度見てみます。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像4

目元のポリゴンが随分ズレていますね。よく見ると、目元だけでなく全体的にズレが生じています。顔に影がある絵ですと、ちょっとしたズレであっても違和感につながります。デフォーマの変形だけだとどうしてもこの辺りにはカバーできませんので、今度はポリゴンを直接整えていきます。

Live2D_男性キャラの顔の作り方_画像5

デフォルトの時の目元のポリゴンの位置を覚えておき、X軸を動かしたときもほぼ同じ位置になるよう移動させます。目元だけでなく、口元や額、鼻などの位置にあるポリゴンも、デフォルト時と同じ位置になるように動かしていきます。顔の上下・左右で同じように行います。

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影のズレがなくなり、違和感のない感じになりました。頬骨あたりの影が、目元の動きと合っているのが分かると思います。こういった作業により立体感が増していきますので、ポリゴンの調整は重要な作業です。

顔のポリゴンの整えも上下・左右が完成したら4隅を自動で作ります。あとは、これまでと同じくデフォーマを変形させ、下絵に合わせて輪郭を整えていく作業を繰り返します。


6.終わりに

顔部分の作り方のみの紹介でしたが、いかがでしょうか。説明は慣れないもので分かりづらかったらすみません。

目や口などのパーツ部分は省きましたが、顔の部分だけでもしっかり作ると男性キャラをカッコよく見せられると思います。

また、今回紹介した内容は、男性に限らず顔に影のついているキャラクターのモデリングにも通じるものがあると思います。

何かひとつでも、皆さまの参考になれば幸いです。

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なお、ものすごく個人的な趣味なんですが、今回のモデルのような顔立ちはエラの部分をしっかり描写してあげると男性の骨格らしさが出て良いかなと思っています。

絵柄によって魅力を感じるポイントも変わってくると思いますので、良ければそのキャラクーらしさにこだわってモデリングしてみてください。


■穂坂 ナツメグ(著者紹介)

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ゲーム商業、VTuberなどLive2Dモデル制作のお仕事をしています。ゲームモデルの実績多数。イラスト制作のご依頼も承っています。
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■制作したVTuberさん
原画からモデリングまで担当させていただきました。

・片瀬 いつか

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