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「他山の石」という故事成語が思い浮かんだ今日の出来事。
そして、同業者の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいになった今日の出来事。

17歳の息子が、半月板損傷の手術を受けた。
4歳の時に扁桃腺摘出で全身麻酔手術以来の一大事。
幼稚園の時は、当たり前のように、私が同室付き添い。
簡易ベッドを入れて24時間一緒。
今回は「付き添いしようか」と声を掛けると
「なんで?」というつれない返答・・・・
まあ、予想通りの反応だけれど。

自分自身が勤務する病院での経験から、手術は普通前日に入院して
受けるものが一般的だが、今回は入院当日の手術。
朝8時半に到着し、9時から手術開始。
前日の絶食や絶飲の指示もしっかり守って。

左手の甲に点滴ルートが取られた。
しっかりいいところに入れてもらっているけれど、
「なんか痛い」とブツブツいう息子。
「ちゃんと入ってるから大丈夫」と応援。
あ、このシーン、よくあるある。
間違いなく留置針は入っているけれど、
「なんだか痛い」と訴える患者。

なんだかんだで、手術室に入る息子。
付き添う看護師さんが、「お母さん、行ってきます」って
言ってくださったので、大きく手を振る私を無視して、
入室していく後ろ姿。幼稚園の手術の時は、
何度も何度も振り返り、泣きかけ5秒前だったあの時。
私も一緒に泣きそうだった。
それに比べて、なんだ今回は。

それはさておき、1時間強で無事に手術は終了。
主治医の先生、手術室の看護師さん、麻酔科の先生、医療工学士さん、
医師事務さん、関係者の皆さんありがとうございました。

その後は、病室へ。
担当の看護師さんが、術後の息子の状態を看てくださる。
麻酔が切れて創部が痛むという声にも、真摯に耳を傾けて。
急性期治療病院の忙しさの中、看護にあたってくださり、
感謝の気持ちでいっぱい。

付き添い家族の私は、洗面用具、歯ブラシ、タオルなどを
テーブルにセッティングして、
息子の必要なもの(一番大事なのはスマホ)を手が届く範囲に
置いてやると、任務終了。
まだまだ医療機関は新型コロナウイルス感染の渦中にある医療機関。
用事が済んだ付き添い者は帰らせてもらう。
後は、スタッフの皆さん、息子のことをよろしくお願いします、と。

その後、昼食をセッティングしてもらって食事をいただいた息子。
しばらくして、LINEが入る。
何かと思って慌てて読んでみると「食べ終わったら、どうしたらいいん?
ナースコールする?待つ?」と。
「いやいや、そんなことでナースコールしないで。
来てくれるまで待つべし」と送信。
そして、ふと思う。
配膳する時に「お食事が終わられたら、またお盆をいただきにきますね」と
どの患者さんにもしっかり説明できていただろうか。


30分後にまたLINE。
なんだなんだ?
写真と共に「このピンクのやつ、何に使う?」と。
それは、容器。長さ20cm、幅10cm、高さ10cmくらいの
プラスチック製の器。
病院関係者や入院経験者なら見たことのない人はいない。
ガーグルベースン。https://amzn.asia/d/4lWYMJH

そうか。息子はそれを見たことがなかったのだ。
歯ブラシと水を入れたコップとそれを準備してもらったけれど、
どう使っていいか分からなかったのだ・・・
「歯磨き後に口をゆすいだ水をここにペッと吐き出す」と
LINEで教えてやる。
教えてやりながら、私はちゃんと患者さんに「これはこう使うものですよ」と
伝えられていただろうか、と振り返る。

夕方頃、気になって息子に私からLINE。
排尿したか否かを尋ねる。
今回の手術は時間が短いこともあり、尿道カテーテールは留置しなかった。
(尿が自然に体外へ流れ出すようにする管のこと)
術後はおむつもしていないので、
病室に入ってすぐの息子に「おしっこは、尿器で取りますから、言ってくださいね」と言っていた。

「あ、ニョウキって意味、息子は分かるかな・・・」と気にはなっていた。
私が帰った後、尿瓶を部屋に持ってきてくださったらしいが、
尿瓶を使ったことのない高校生の息子はどう使っていいか分からず、
昼間に一回車椅子でトイレに連れて行ってもらって以降、
排尿していなかった、と。

そして、思う。尿瓶なんて、病院ではありふれた道具。
私は、どの患者にも尿瓶の使い方を伝え、
しっかり理解を得ていただろうか・・・

ひとたび「病院の人」になってしまうと、
「病院に馴染みのない人」の気持ちを忘れてしまう。
専門用語やその職場特有の言葉を何気なく使ってしまう。
道具の使い方も、病院環境内での習慣も、
患者にとっては特別なのに、それに気づかなくなってしまう。
いつもとは違う視点で、「医療の現場」をみる機会になった。


担当の看護師さん、病棟の看護師さん。
今日も昼夜の激務、お疲れさまです。
多くの患者さんの看護をありがとうございます。
私もまた明日から病院で皆さんの丁寧で温かい看護を見習い、
頑張りたいと思います。
ただいま、22時37分。平和な夜勤でありますように。


おまけ
息子17歳。
17といえば、セブンティーンアイス。
48歳の私も大好き。献血の後は、美味しくいただく。
「濃い抹茶」か「ワッフルコーンショコラ生チョコ仕立て」が好き。
三連休にも献血する予定。ご褒美の味は格別。



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