中型辞書の見出し語全部見る あ〜お

辞書通読の簡易版をしてみようと思い、三省堂『広辞林』を見て気になった語とそれへの一言をまとめた。

はじめに

辞書通読の話を動画で観て、読むなら今だと思った。特に作詞に使えるような、綺麗な言葉を集めたい。

小学生の頃にも辞書を眺めてはいたが、知らない語は付箋を貼るには多すぎた。
小5のときには小説に難しい言葉を入れてみたが、借り物で不自然だった。
高校生の頃にも難しい語を会話に使ったが、ひけらかしになってしまった。
そこで、高校を一応終えて漢検の勉強をした今こそ、勉強よりも辞書から語彙を蒐集してみようと思う。

辞書は三省堂のかつての中型辞書・広辞林(現 大辞林)1989年 第6版。
買うと1万円以上して高いので家にあったやつ。
名前が似たのが多いが広辞苑の偽物ではない。
35年前のものなので、新しい語は載ってないし、語義は変わっているかもしれない。

中型辞書の語彙量は欲しいが、通読だと進まないので見出し語だけ目を通すことにする。
2200ページに1ページ1分で見れば、短くて35時間くらいで終わる予定。


あ〜お までの感想

・パラ読みの方が楽しいけど、それだと二千ページ中のどこまで見たか分からなくなる。
・意外とラジオを聴きながらでも見れる。
読書ほど集中せずにながら作業でできる。『ゆる学ラジオ』が150時間はたまってて消化したいので丁度いい。
・300ページまでで、ながら作業とはいえ5時間以上はかかってる気がする。
・続きは未定。辞書を開くのが重たくなったらやめる。


本編 辞書で見つけた言葉

普通は人によって違う発見があると言って、辞書を読むよう勧めるところだが、暇でもこんなことしなくていい。
私と語彙力や感性が近い人は、5時間分をここで見れる。
全てにコメントを付けたので、意味を考える必要もない。

語釈は私がざっくり書いた。

新しく知った言葉

逢初め あいそめ (男女が)初めて逢う

藍染めとのダブルミーニングで短歌にありそう。

相番 一緒に当番・勤務すること、その相手

掃除当番で仲良くなる人や、門番二人組の相手を示す語があるんだ。

相宿り あいやどり 相宿、同じ家に住む

雨宿りの先みたいな。

青嵐 あおあらし/せいらん 初夏、青葉を吹き渡る爽やかな風

あおあらしと訓読みしてもかっこいい。実在・架空で、青春のイメージから青嵐とつく学校がある。

朝髪 起きたままで梳かす前の髪

寝癖と言うよりフェティシズムがある。普段見られない姿のような。

朝涼 あさすず 夏の朝の涼しいとき

動画で知り、辞書を読むきっかけになった美しい語。

足障り あしざわり 歩くときに邪魔になるもの

目障り以外の障り。手触りは別の意味。

遊び仕事 遊び半分にする仕事

真剣ではないと悪い意味にも取れるが、好きなことで生きたいのが現代の価値観だろう。この言葉もそのうち発見・再発明されるのだろうか。

徒心・他心 あだごころ 移りやすい、浮気心
徒銭 無駄に使うお金
徒惚 惚れて甲斐のない人に恋する
徒夢 儚い夢。甲斐のない夢

徒花とつくホラーゲームがあるので、どれもどろどろした作品の題名に使えそう。

雨注ぎ あまそそぎ 雨垂れ

天から注いでると思うとおしゃれ。

雨晴れ あまはれ 雨が止んで晴れる

ありそうな組み合わせなのに、普段雨上がりとしか言わないのが不思議。

骼 あらぼね 野晒しになった骨

料理で言う魚などの荒骨・粗骨は載ってなかった。こう書くと無惨で怖い。

暴飲み あれのみ 酒を無闇に飲む

暴飲暴食の暴飲を訓読みし、あばれをあれと読む。いかにも飲んでそう。

淡海 あわうみ 湖(淡水の海)

海を知っている人からすれば、湖は淡水の海。それでも淡いと言うと綺麗。

泡塩 あわしお 真っ白な塩

泡は膨らむ、弾ける、儚い、柔らかい、洗う、と色んな面を例えに使えるが、白さを例えに使っている。しかし、他に触感抜きで白さを例えられるものが思いつかない。

暗涙 あんるい 人知れず流す涙

涙の多くは暗涙。

生き腐れ 魚などの新鮮そうに見えて腐っていること

ゾンビ? デフォルメの強い架空の奇形アイドルグループの名前らしい。別れた相手を恨む悪口として詞に書けそう。あなたなんか生き腐れよ、と。

居食い 働かずに、持っている財産で暮らすこと

労働は国民の義務というのが納得いってない。金持ちは働かないじゃない。それを居食いと言うらしい。

猪首 いくび 首が太く短いさま

鬼滅の刃の伊之助は猪首じゃない。他のゴツいキャラに言ってください。

幾久しく いくひさしく (祝いの言葉で)いつまでも変わることなく。末長く

和洋どちらの結婚式でも、神道の祝詞と聖書の翻訳両方の文脈で言えそう。

異見 人と違う考え。異議

議事録で使える。異議だと裁判っぽくなってしまう。意見ともアクセントで使い分けられる。

苛(いら)らぐ (古)

荒らぐ、流るるなど、古語はら行の違いが特徴的。

入りくり歌 文句が乱れて意味の通らない歌

名前の付いてなかったあるあるの一つ。

色悪 いろあく 歌舞伎などで、美人の敵(かたき)役

女性向け漫画っぽい。直訳タイトルを辞めたLINEマンガ。

疎疎しい うとうとしい 親しくない。よそよそしい

ひらがなだと眠そう。漢字ならスカスカ、間が開いているのが分かる。鬱陶しい(うっとうしい)と音が近い。

心(うら)恥ずかしい 心の中で、またはなんとなく恥ずかしい

心(うら)寂しい以外の使い方。心は見えないもので、裏と同源であることが分かる語。

売らん哉(かな)主義 宣伝を盛んにしてなんでも売ればよいという考え方

中国のストリーマーが思い浮かんだが、日本の政治用語っぽいかもしれない。

売り明け 無在庫販売

寧ろ隠語に使われるかも?

売(り)食い 手持ちの着物や道具などを売ったお金で生計を立てること

自転車操業とも違う、居食いの逆。持っているもので暮らすことは共通。

上汁(うわしる)を吸う 上前を撥(は)ねる

上澄みなら綺麗そうだが、上汁だと灰汁が出そう。

雲集 雲のように多く集まること
雲孫 雲のように遠い、八代目の孫
雲廊 雲のたなびいたように長く続く廊下

雲集は雲集霧散の前半。
泡塩の泡同様、雲の色んな特徴から例えている。

営々と 忙しく働くさま

栄々

詠懐 思うところを詩や歌に表すこと、その詩歌

詠嘆

枝肉 えだにく 獣肉のあしの部分

腿は太いのでその下の細い部分のことだろうか。検索すると骨の付いた吊るされた肉が出たので、枝への例え方が違っていた。

笑壺 えつぼ 笑い興じること。思う通りになってにこっとする
笑壺に入(い)る 笑い興じる

体にある笑いのツボで、笑壺に入るは企みが成功する意とコトバンクにあった。
ツボに入るより上品に言えそう。

蝦腰(えびごし) エビのように曲がった腰

猪首と合わせ、生き物に例えるシリーズ。海老反りだと逆。

老い嗄る(かる・古) 年をとってしゃがれ声になる
老い白む(古) 年をとって白髪になる
老い僻む


王業(おうぎょう) 国王が行う国家統治のわざ

往古 大昔。遠い過去

黄水(おうすい・きみず) 胃から吐き戻す黄色い液体

王父 死んだ祖父の尊称

横目縦鼻

応用無辺(おうゆうむへん)

大兄(おおあに) 長男
大嫁 兄嫁
大肌脱ぎ 両肩を脱いで肌を多く顕すこと
大札(おおふだ) 金額の大きなお札
大弱り すっかり困り果てること(隣は大喜び)

大が何を強調するか

奥意(おくい) 奥底の心。真の心

押し言(おしごと) 当て推量に言う言葉

お仕事・推し事の同音異義語。

おちゃっぴい 少女が子どもの癖に出しゃばりで、ふざけたことを言って人を笑わせたりすること

チャッピーのこと?

屋階(おっかい) 屋根裏部屋

おくかいだと普通

押っ取り刀(おっとりがたな) 取るものも取りあえず何かをすること
音骨(おとぼね) 音声(、口・喉を卑しめていう語)
音耳(おとみみ) 自然に聞こえてくる音
乙息子・弟息子(おとむすこ・古) 末、次男以降の息子
鬼鬼し(古) 鬼のよう、たけく恐ろしい。残虐である、鬼しを強めた語
鬼心 鬼のような惨い心
己様(おのさま・古) あなた
尾羽(おは)うち枯らす 落ちぶれてみすぼらしい姿となる
溺谷(おぼれだに) 谷が海になった入り江
思いの露 涙
怨讐(おんしゅう・えんしゅう) 恨み。かたき。仇
恩讐 情けと恨み。恵と仇
温習 (芸事などを)繰り返して習うこと
買いオペレーション 公開市場操作の一つ
快音 バットで打つなど、気持ちのいい音。それが調子がいいことを示す音
怪火 怪しい火。不審火
快漢・怪漢


意外な漢字

明かずの間
厭く あく・厭 あき
朝朗 あさぼらけ
彼程 あれほど
周章者 あわてもの
いけ酒蛙酒蛙と いけしゃあしゃあと
金に厭目(いとめ)をつけない
入れ雑 まぜ
嘔吐く えずく
岐路 えだみち
奥床しい おくゆかしい
お強 おこわ
怖怖 おずおず
阿多福 おたふく
阿母 おっかあ
お睡 おねむ
お負け おまけ
お見逸れ おみそれ

意外な意味

青天井 青空を天井に例えて言う。野天

ソシャゲのガチャで使う悪い意味だけでなく、文字通りの景色も言うんだ。

赤本 昔の童話、低級な本

大学入試シリーズを指すようになった。

なんじゃもんじゃ・あんにゃもんにゃ 名前を呼ばない神木

ボードゲームの『ナンジャモンジャ』は何某のことじゃなかったのか。

雲梯 昔城攻めのときなどに使った長い梯子

遊具の意味は載ってなかった。

胞衣(えな・ほうい) 胎児を包んでいる膜、胎盤

『凪のあすから』のエナってこれか!


追加 歳時記

『いちばんわかりやすい俳句歳時記』で、八千の季語を見た。
しかし、秋冬には気になるものがなかった。

春 冴返る 寒さが戻る
春 斑雪 はだれ 溶け残った雪
夏 風死す 風が止んで暑い
夏 起し絵 飛び出す絵本
夏 解夏(げげ) 仏教の修行が明ける日

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