言葉は私を癒さない

巨大な蜘蛛を見た。全身が痒い。不愉快だ。不愉快に満ちている。気を紛らわせるかのようにグロテスクな小説を読んだ。強すぎる音を聴きながら、音楽か小説かわからなくした。考え事と、文章、歌詞が混ざり合った。溶け合うとかではなく、一斉に押し寄せた。そんな風にして感覚を麻痺させた。息がし辛い、ずっと長い間。風が吹いているのに吹いていないかのようだ。胸が押しつぶされる。こういう時は、歌を歌うと良いことを知っていた。でも今日はそんな時間がない。人に会わなければいけなかった。会った人には、こんなことを話さなかった。話せば優しい人たちを心配させてしまう。心配されたいわけではない。こうして闇が地面に溢れる液体のように広がっていく。もう無理なのかもしれない。混乱している。意味の分からない言葉がこだまする。今日は救いがない。明日になれば大丈夫になる。読書に気が済んだら今日を終わらせてしまうことにする。正気を保て。