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サーナイトexから考える"捲り"のデッキ構築【シティリーグ入賞デッキ解説】

1. はじめに

アローラ!神奈川県を中心にポケモンカードをプレイしているなかね(Twitter)と申します。
今回は自身がシティリーグシーズン4で使用したサーナイトexを題材に、デッキ選択からデッキを構築するまでのアプローチについて述べていこうと思います。
採用カードについての簡単な解説も載せていますので、よければ最後までご覧ください。

前回の記事:【ポケカコラム】Fレギュの目指したゲーム体験って一体なんじゃ!?【ドンナモンジャTV】

2. メタゲーム整理

デッキ選択とその構築には兎にも角にもメタゲームの把握が前提になります。
ここでは大会直前のメタゲームを整理し、環境上位デッキがサーナイトをどのように対策しているかを確認します。

まずは大会直前のシティリーグの入賞デッキ数をしらいしさんの記事でチェックしましょう。

https://note.com/shiraishi_poke/n/n9724435e4f4f より
シティリーグ優勝おめでとうございます!

サーナイトを筆頭に、ルギアやパオジアンといったデッキタイプが僅差で続いています。
実際にこれらのデッキをプレイしてみて感じたのは、Fレギュレーション終盤のルギアのような頭ひとつ抜けたパワーを持つデッキタイプはないということでした。
それぞれが微妙な相性差を維持しており、こうした僅差のシェア率に繋がっている印象です。

自身のデッキ選択という視点では時間的な制約が大きく、複数のデッキタイプを十分に擦る事が難しいと判断したため、直近の自主大会で使用し入賞する事ができたサーナイトを第一候補として調整を開始しました。

サーナイトを取り巻く対策カード

サーナイトというデッキタイプの調整を始めてまずぶち当たる壁が、他のデッキタイプに搭載された対策カードです。
僅差であっても入賞数トップであるサーナイトは環境でもっとも注視される存在のため、新弾発売当時よりも対策の内容が複雑になっています。
対策があまりにも手厚い場合はデッキタイプの選択からやり直さなければならないため、その内容と採用されうるデッキタイプについて最初に整理する必要があると感じました。
主観ベースではありますが、環境で一定のシェアがあるデッキに搭載されうるサーナイト対策(にもなる)カードを列挙します。

・頂への雪道

サーナイトexの特性に蓋をする事ができる最強妨害スタジアム手札干渉との組み合わせは単純な戦略ながら本当に厄介です。
複数枚採用されているのはアルセウス系統、ロストギラティナ、ミュウといったデッキタイプになります。
また、サーナイトやルギアといったデッキタイプにも採用実績があるため、正直どのデッキに入っていてもおかしくないです。

・ロストスイーパー(ツールジャマー)
フワンテについた勇気のおまもりを引き剥がし、サイドレースの優位性を取り戻す対策カードです。
特にロストスイーパーは汎用性が高く、グッズであることからサーチもしやすいため注意が必要になります。
複数枚採用されているのはロストギミックを主軸としたデッキタイプに加え、ミュウあたりでしょうか。
取り回しのいいグッズなので、雪道以上にどのデッキにも搭載されている可能性があります。

・パニックマスク

ダメカンを乗せることでエネ加速を行うサーナイトexの特性を的確に対策した一枚。
フワンテだけでなくサーナイト(アルカナシャイン)やザシアンまで幅広く見ることができます
主に採用されているのは高HPを押し付けるアルセウス系統のデッキになります。
こういった全く使われていなかったカードが急に脚光を浴びるという現象はカードゲームならではですね。

・おはらいグローブ
超タイプに対するダメージが30アップする特級呪具。
ロストギラティナ、ミュウ、ミライドンといった元々の打点が高いデッキタイプに、サーナイトexをワンパンすることを目的としてたまに採用されています。

・セイボリー
ベンチをフル展開していた場合、バトル場を含めると1ターンに最大3体のポケモンがトラッシュに向かうサポートカードです。
複数枚が常に採用されているようなデッキタイプはほぼないものの、サポートをある程度打ち分けできるようなアルセウス系統やミラー意識のサーナイト、ネオラントVの特性を複数回使うことが可能なパオジアンといったデッキタイプにはよく採用されています。

・アローラロコンVSTAR

連峰の白い悪魔

ワザの追加効果が非常に強力で、各種サーナイトやザシアンなど特性を持つポケモンからの攻撃を封殺する事ができます。
アルセウス系統やパオジアンのサブアタッカーとして採用されるケースがあります。

・ヒスイヌメルゴンVSTAR

こちらもワザの追加効果が強力であり、実質的なHPが350とサーナイトデッキに入っているアタッカーからの攻撃を大体1回は耐えてくれます
中打点との殴り合いに非常に強いため、ヌメルゴンはそれ自体がデッキのコンセプトになっています。
現状はロストギミックと組み合わせたデッキタイプが主流です。

・イベルタル(いちげきのつばさ)
非ルールでありながら、弱点をつくことでサーナイトexをワンパンしサイドレースを有利に進める事ができます。
いちげきポケモンをメインに据えたルギアにのみ採用されています。

現環境でシェア率の高いデッキタイプにはこのような対策カードが少なくとも1種類以上採用されています。
その中でもヌメルゴンやアローラロコンは相当に壁が高く、他のトレーナーズまで組みあわされると勝ち切る事が非常に難しい印象でした。
しかし、これらのアタッカーを採用したデッキとのマッチングは多く見積もっても1割程度とシティリーグの回戦数であれば割り切れる範囲であったため、各種トレーナーズを中心とした対策を乗り切ることができれば、サーナイトというデッキタイプは十分に勝率が見込めると考えました。

ここまでのまとめ
1.どのデッキタイプにも魅力があったため、デッキ選択では練度を判断材料にした
2.サーナイトの対策カードはトレーナーズが中心であり、それを乗り越えれば十分な勝率が見込めると考えた

3. "捲り"を実現するデッキ構築

今回参加したシティリーグに対するデッキ選択への考えは以上になります。
ここからは構築を行う際のアプローチについて述べていきます。

デッキ選択への考えの中で述べたように、大会直前でのサーナイト対策はトレーナーズが中心となっていたため、以下の方針で対策の対策を打つ事が可能だと考えました。

  • 頂への雪道を割ることのできるカードを多投する

  • フワンテ以外のアタッカーを用意する

  • ポケモンのどうぐを対策できるカードを採用する

まとめると、ロストスイーパーをたくさん入れてサーナイト(アルカナシャイン)やザシアンでぶん殴ればいいじゃんという話に落ち着きます。

しかし、サーナイトは2進化であることからデッキスロットが逼迫しがちで、対策の対策カードに割ける枠は他のデッキタイプと比べ明らかに少ないです。
ボウルタウンやさぎょういんなど、一枚で複数の役割を持つカードを採用していくことでなんとか60枚という枠に収まるというのが正直なところであり、欲張ってボールやエネルギーの枚数などを妥協してしまうとそもそも何にも勝てなくなるという事が悩みのタネボーでした。

デッドラインを見極める

こうした制約がある場合、メタゲームに合わせて採用すべきカードを正しく見極める必要があります。
改めて直近のシティリーグ入賞デッキを見てみましょう。

https://note.com/shiraishi_poke/n/n9724435e4f4f より

各デッキタイプのサーナイトに対するゲームプランを考えると、ロスト系統以外のデッキタイプは盤面に複数回サイド2枚以上のポケモンが登場します。(ルギアについては後述)
そのため、それらのポケモンをワンパンする事ができればサーナイト側は4回のワザ宣言でサイドを6枚取り切る事ができます
順当なゲーム展開を想定した場合、サーナイト側は後攻であっても3ターン目から攻撃を開始することでサイドレースになんとか間に合う算段です。
なので、構築の土台として2ターン目の上振れは切り捨て、3ターン目に安定してサイドを取り始めることを強く意識しました。

しかし、サーナイトに次いで勢いのある無色エネルギーをメインに据えたルギアはこの定石から外れており先手で順当に回られた場合、カビゴンを複数体押し付けドラピオンでフィニッシュするというプランに対してサイドレースが追いつかないことが課題でした。
そこで目をつけたのがレントラー(みなぎるせんこう)です。

リバーサルエネルギーされあれば、キルリアラインを温存しながらルギアVSTARをワンパンする事ができます。
また、嬉しいおまけとしてパオジアンに採用されるパルキアVTARや、アルセウス系統に採用されるそらをとぶピカチュウVMAXなども同時に対策可能です。

最後に、ロスト系統についてです。
以前は崩れたスタジアムやクレセリア(ムーンライトリバース)の2枚目を採用することで五分程度の勝率を維持できていました。

ですが、直近の自主大会の結果などを受け、ルギアやアルセウス、パオジアン系統への対策を厚くする方向に舵を切りました。
シティリーグ入賞の結果以上に、これらのデッキとは予選で対面する割合が高そうと判断したためです。
正直、これ以上に小粒のロストが増える場合は対策が間に合わないため、デッキ選択から見直す必要があるように感じます。

要求を叶えるためのアプローチ

サーナイトは2進化であるためそもそも出足が遅く、どこかでサイドレースを逆転する所轄"捲り"のデッキタイプになります。
ふしぎなアメを使用することでサーナイトexを2ターン目から立てることは可能ではありますが、環境のHPラインがexの打点と見合わないため、2ターンかけて盤面を形成する事が重要だと考えました。

サーナイトの盤面形成において、キルリアのミラージュステップは非常に優秀なワザです。
盤面にキルリア(リファイン)を揃えるだけでなく、それ以降の手札、山札の質をあげてくれます。

加えて、序盤の盤面形成と同等に重要なのが継続してアタッカーを用意することになります。
サーナイトexのダメカンを乗せてエネ加速を行うという特性のせいで、サイドレースを逆転するための非ルールのアタッカーはまず生きて帰ってきません
各対面でゲームに必要なアタッカーを整理し、それらが十分に用意可能な枚数を採用しましょう。

そして、サーナイト特有の課題として、終盤の手札干渉+雪道を筆頭とした対策カードを乗り越えなければいけません
アタッカーの供給がサーナイトexの特性に依存しているため、終盤にそれらの対策を乗り越えてワザ宣言に辿り着く必要があります。
終盤に向けたリソースの取捨選択、盤面形成や山づくりについては正直構築よりもプレイングの影響が大きいのですが、ドローサポートとしてリソースを切らないナンジャモを積極的に採用する※、といった構築のアプローチも重要になります。
※ 博士の研究を複数枚採用しリソース回復札も合わせて複数枚採用するアプローチもありますが、対策カードを詰め込む隙間がありませんでした。
スタジアムの必要枚数が減る場合はこういったアプローチは有力なものになると考えています。

ここまでのまとめ
1.環境デッキの大まかなゲームプランを把握した
2.デッキの目指す動きを明確にした
3.2進化メインは要求が多いため欲張らないことが大事

4. デッキレシピ

これまで述べたデッキ構築の方針に則り、シティリーグに持ち込んだレシピになります。
肝心の戦績はガードを下げていたアローラロコンに粉々にされ、ベスト4という歯痒い結果でした。
開催の規模も小さかったため、構築の答え合わせができたかどうかは微妙なところです。

デッキコード:dvkVdF-Cy1obR-vFkvVf

5. 採用カード解説

採用枚数やそもそもの採用の是非が分かれそうなカードについて述べます。
特にレントラーやポケギアは感触が非常に良かったため、採用を検討してもらえれば幸いです。

ポケモン

・サーナイトex
自身がアタッカーとしてバトル場に立つことはあまりないため、ハイパーボール3枚と現物2枚の採用が一番しっくり来ました
ロスト対面では高HPを活かして盤面に複数体立てたいため3枚目の採用も検討できますが、これ以上にロストが流行する場合はそもそもサーナイトというデッキタイプを選択する必要がないんじゃないかと思います。

・サーナイト(アルカナシャイン)
リバーサルエネルギーの登場で、事前の手張りがなくともVTARをワンパンできるダメージを叩き出す事ができるようになりました。
どの対面でも1〜2回は動かし、かつ返しで確実に倒されてしまうため2枚採用しています。
Vやexを中心とした対面ではザシアンがゲームを締めてくれるため、3枚目は過剰な印象です。
エルレイド(バディキャッチ)はサーナイトで戦う都合上、進化できる余裕がないと判断して採用を見送りました。

・ラルトス(メモリースキップ)
アローラロコンVSTARに最低限抗うため1枚採用しています。
HP60がミラーやロスト対面で響くこともあるため、他のカードでアローラロコンを対策できている場合はHP70のラルトスにするのが無難です。

・ミュウ
特性ふしぎなしっぽがとにかく強い
このカードがあるおかげでグッズの枚数を細かく選択することが出来ました
トレーナーズの採用カードでも述べますが、序盤のみならず中盤以降のグッズサーチがプレイをだいぶ楽にしてくれます。

・ザシアンV
トラッシュにエネルギーが落ちてさえいれば環境で見かけるほぼ全てのアタッカーをワンパンする事ができます。
スタートしてしまうリスクはありますが、ゲームを締めるフィニッシャーとしての性能が非常に高く、たねであることからその要求も低いため採用。

ザシアンと合わせて採用される空の封印石ですが、VSTARパワーを使わないと間に合わない対面が特段なかったため採用を見送りました。
ルギアが減りロストギラティナやヌメルゴンのシェアが伸びるようであればレントラーと比較することになるかと思います。

・レントラー(みなぎるせんこう)
リバーサルエネルギーを複数枚採用しているおかげで自然にデッキに入れることができました。
役割対象は主に雷弱点を持つ重量級のポケモンです。
現環境ではルギアVSTAR、パルキアVSTAR、そらをとぶピカチュウVMAXが該当します。
また、一応ロスト相手にも高HPのアタッカーとして雑に投げる事が可能です。

パオジアン+パルキアに対してはゲームを楽にしてくれるカードという印象ですが、ルギア対面は後手の場合、2ターン目にルギアVSTARを倒さないとサイドレースが追いつかない事がままあるため、枠を作る価値のある1枚だと考えています。
サイドレースを無理やり誤魔化す、という意図ではやまびこホーンや空の封印石なども比較対象になりますがサーナイトライン以外の非ルールアタッカーという点を評価してこのカードに落ち着きました。

トレーナーズ

・バトルVIPパス
先攻時にもミュウで無理やり触りにいくことができるため4枚の採用です。
VIPパスを多投しない場合、ネストボール+ヒスイバスラオのような後攻特化のパッケージも検討できます。

・ふしぎなアメ
本文中でも述べたように、序盤にサーナイトexを無理やり立てる必要がないと感じたため2枚のみ採用しています。
2ターンかけて順当にサーナイトを育てても問題なくゲームはできますが、ミラージュステップ後にキルリア(リファイン)をキープしつつ各種サーナイトを立てることや、盤面からexがいなくなるといった裏目をケアしやすくなるため枠を作っています。

・すごいつりざお
2枚採用、クララやミモザとの併用など迷いましたがポケモンリソース回復札は1枚のみです。
ベンチにいる無傷のexが爆速で倒されるようなつりざお必須の展開はあまりないためなんとかなっています。

・ロストスイーパー
雪道を割れることに加えて、パニックマスクやミラーで採用される勇気のおまもりを対策できることから優先して採用しました。
他のグッズもそうですが、ミュウとのくっつきがいいのもポイントです。
多投された雪道の流行を考えるとスタジアム相当のカードは最低4枚は枠を作りたいなと感じています。

・ポケギア3.0(ナンジャモ)

ナンジャモでありボスであり虚空でもある

ナンジャモ4枚+αとして他のドローサポートを試しに試し、ポケギア1枚になりました。
最序盤で打つサポートとしてはなんだかんだナンジャモが一番強かったため、ナンジャモの5枚目としての側面が強いです。
このカードもグッズのためミュウとのくっつきがいいです。
また、序盤に温存できた場合、終盤きれいになった山札からボスやさぎょういんを探しにいくことができます。
ロストに入っているポケギアと使用感が近いです。

・さぎょういん
雪道を割りつつドローできる裏目のないカードです。
ポケギアやともだち手帖を採用していることで、ふしぎなしっぽから諸々の要求を超えやすくなっています。

・ボウルタウン
崩れたスタジアムとの選択で、足腰を強くするためこちらを採用しました。
相手に使われるのがイヤな場面では、貼ったそばからさぎょういんでトラッシュすることも視野に入れます。

エネルギー

・基本超エネルギー
採用するアタッカーによって枚数が増減する枠になります。
今回は終盤になんでも倒せるザシアンVを確実に動かすため11枚としました。
余裕を持った枚数を採用することで、終盤だけでなく序盤のかくしふだや手張りをスムーズに行うことができます。
サーナイトはどの場面でも超エネルギーの枚数がアクションに影響するため、安易に他の対策カードに枠を譲ることには否定的です。

・リバーサルエネルギー

サーナイト(アルカナシャイン)に手張りすることで出足の早いデッキタイプにだいぶ対応しやすくなりました。
超タイプ以外の色も含むおかげでレントラーを採用することもできるように。
1〜3枚まで試してみましたが、あくまでサイドレースがビハインドの状況でないと効果的に使えないため2枚のみの採用です。
中盤以降の展開を見切っているのであれば、かくしふだのコストや逃げエネとして利用してしまっても問題ありません。
他特殊エネルギーの候補として、手札干渉に強いギフトエネルギーも非常に魅力的な選択肢でした。

6. 今後のチューニング

アローラロコンやロストギラティナが流行りはじめているという風の噂を耳にしました。
現状の構築はアローラロコンへのガードがだいぶ下がっているため、こだわりベルトを採用してVポケをまとめて対策するというアプローチが有効そうに思えます。
アローラロコンはクレセリアを複数回投げることで強引に突破しましょう。ベンチに下がっていても狙撃できます。

デッキコード:Fk55vv-p59HyS-5VF51f

7. おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
サーナイトのデッキレシピは数多く出回っているので、その構築を行う上での考え方が伝われば嬉しいです。

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最後に、これまで練習してくれた方々、温かい言葉をかけてくださった皆様に感謝を述べてこの記事の結びとしたいと思います。
ではまた。

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