見出し画像

2023上半期映画ベストワースト決めようや


お久しぶりです。ナメクジみたいな熱帯夜の中如何お過ごしでしょうか。

近ごろの私はエアコンのカビで喉を傷め、それだけでなく蓄膿症を併発するという惨憺たる日々を過ごしていた。

まあ悪いこと続きだけではなく、就職も終わり、内定祝いとかこつけて友人と酒を浴びるように飲んでいた。他にも私が崇拝しているDos Monosが地元でライブをやっていたので踊り散らかし、浪人期のメンタルを支えてもらったTempalayのライブに参戦する等、陰キャの割にはそこそこ充実した日々を過ごしていた。

Tempalayライブ

という感じでnoteから少々離れていた。ストックも貯まりつつあるが、とある記事が莫大な量になってしまい作成と校閲がてんやわんやになっている。卒論の執筆もあるのでほどほどにやっていくつもりである。べ、別にめんどくさくなったわけじゃないんだから…///

言い訳はここまでにして今回の主題に入る。

コロナ禍になってから映画を観る頻度が大幅に増えた。大学入学と同時にコロナが大流行してしまい、授業の9割がリモートになった。バラ色どころか灰色のキャンパスライフを送ることとなった。

そんな生活に彩りを与えてくれたのが映画だ。幸い近所のGEOは開いており、週に10本程借りる生活を続けていた。

コロナが緩和し始めてからは映画館に足を運ぶことも多くなった。友人の会社から支給される福利厚生のお裾分けを貪ったり、割引のきく日を狙って劇場に赴いている。そんなこんなで年間100本程映画を観る卑しい生活を大学生活で続けてきた。

2023年も就活しながら合間を縫って映画を観続けた。上半期で61本の映画を観た。これは映画館で観たものだけではなく、サブスクサービス、レンタルDVDを含めた数である。公開が2023年以外のものもあるのであしからず。

この61本の中から僭越ながらワースト3とベスト3を決めたいと思う。個人的に今年の映画は豊作だと感じている。どの作品もレベルの高い合格点をオールウェイズ出している。選考は完全な独断と偏見だが、ここで紹介した作品は絶対に見てほしい。その上で皆様方の感想もお聞かせ願いたい。

ワーストの方には💩、ベストの方にはメダルをつけていく。


💩3位 逆転のトライアングル

あらすじ
モデル・人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデルカールのカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、満額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある日、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃員だった。

この順位に実写版リトル・マーメイドを入れるか迷ったが画的に見てきつかったのがこちらの作品だった。話自体はものすごく面白く、様々な箇所に散見されるアイロニーもユーモアとして昇華されていた。ただなんというか、タイトル負けしている印象があった。確かにサバイバルシーンがあってそこを大々的に宣伝していたが、この作品の本質はそこにあるのかと感じた。男と女のしょうもない衝突がこねくり回されて最終的に暴発するようなイメージで、立場が逆転する云々はまた別の問題だと思う。あと単純にとあることをきっかけに船が(表現規制)まみれになるため見ていてキツイ。食事中の鑑賞はおススメしない。


💩2位 ノック 週末の訪問者

あらすじ
森の中のキャビンで休暇を楽しんでいたアンドリューとエリック、娘のウェン。彼らのもとに、武器をもった4人組が突如押し入ってきた。抵抗虚しく人質に取られた一家に対し、リーダー格のレナードは「世界の終末を回避できるかどうか否かは貴方たちの選択にかかっている」と告げる。

シンプルに面白くない。シックス・センスやヴィジットを手掛けた、M・ナイト・シャラマンの最新作ということで胸を膨らませていったが、期待外れな作品だった。4人の使者をヨハネの黙示録に出てくる四騎士で、支配・戦争・飢餓・死をモチーフにしたものになぞらえていた。その割にはパンチが弱い。大それたモチーフを掲げるのならもっと大げさにやれというのが私の感想である。チェンソーマン二部を見習ってほしい。また、家族の構成や使者のバックグラウンドが浅すぎてあまり感情移入できなかった。その位で世界の滅亡と天秤が釣り合うと思うな。マジで金返せ。


💩1位 MEN 同じ顔の男たち

あらすじ
ハーパーは夫ジェームズの死を目の前で目撃してしまう。彼女は心の傷を癒すため、イギリスの田舎街を訪れる。そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと全く同じ顔であることに気づく。街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、木から大量に落ちる林檎、そしてフラッシュバックする夫の死。不穏な出来事が連鎖し、「得体のしれない恐怖」が徐々に正体を現し始める。

一言でいうとキショい映画。なんでこんなに気持ち悪い映画が作れるのだろうか。A24の名前使ってやりたい放題やってる映画。その割に面白くない。アリ・アスター監督と同じ系列で語っていい作品じゃないです。結局女の妄想で話が進んでいくため実態を掴めない。それに対してパプリカは夢と現実の行き違いを巧く描写していると再認識させられた。なんでもかんでもメタファーに頼りすぎだよ。ラスト30分ぐらいは人類が鑑賞するには早過ぎるエンディングだった。監督はこれ作ってるときキマってたはず。男と女で観た後の感想が違うだろうな。フェミニズムなどの観点から観るとまた違った評論ができるかな。これを観に来ていたカップルはその後どうなっただろうか。


ここで小休止として今年公開ではないが、印象的だった映画を紹介する。

セッション

あらすじ
世界的ジャズ・ドラマーを目指し、名門音楽学校に入学したアンドリューを待っていたのは、伝説の鬼教師。常人に理解できない完璧を求め、浴びせられる容赦ない罵声。やがてレッスンは狂気を帯び、加速の一途を辿る。

いやあ、本当にいい映画ですよこれは。主人公の狂気的な陶酔具合がひしひしと伝わってくる。苦しいブルーピリオドを観ている感覚かな。魚豊氏の『ひゃくえむ』に近いかな。あと普通に音楽がいい。作中で出ていたバディ・リッチは必聴。


ここからは上半期ベスト3を紹介する。

🥉 RRR

あらすじ
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。熱い思いを胸に秘めた男たちが運命に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに究極の選択を迫られることに、彼らが選ぶのは、友情か?使命か?

こういうのでいいんだよ。伏線もへったくれもないただ本能のままに暴れまわる画が観たいときが人間にはある。脳みそを空っぽにして観た映画はコマンドー以来だった。毎分毎分でラストシーンのような高揚感が味わえる。インド映画を観るのはこれが初めてだったが、唐突に踊り出す噂の真偽を確かめることができた。3時間あると聞いていたので身構えていたが、本当に体感30分程だった。時代錯誤的な記述になるが漢の友情はどのように表現しようと面白くなることが約束されている。以前京都で食べた、カツとカレーと炒飯を悪魔融合させたピネライスという脳筋グルメを彷彿とさせる。


🥈 怪物

あらすじ
何を書いてもネタバレになりそうなので記載なし。

滑り込みでランクイン。これまで観た日本映画で一番面白い。予告編からホラー映画と思っていたが、意外にもテイストは全く異なる。物語が進めば進むほど自分の読解力のなさを痛感してしまう。物語の大筋を話してしまうと伏線になるので何も言えない。子どもと親と先生の話とだけ言っておこう。三者三様の視点がストーリーの鍵になる。ラストの30分で話の辻褄が9割程合ってくる。残りの1割は我々の行間を読む力、所謂「想像力」に託されているかもしれない。脚本の構成だけでなく、全員の演技が上手すぎて自身を投影させてしまうレベル。永山瑛太を街中で観ると少し怖くなってしまう。劇中の音楽がBGMとして機能しつつも、邪魔しない程度で存在感を主張している。坂本龍一氏がいかに素晴らしい音楽家であったか。本当に惜しい人を亡くした。


🥇 グリッドマン・ユニバース

あらすじ
都立ツツジ台高校。放課後の教室で、響裕太は記憶の中にあるはずのグリッドマンをノートに何度も書いては消していた。かつてこの世界はひとりの少女によって作られ、壊された。その少女の心を救ったのは、異次元からやってきたハイパーエージェントのグリッドマンと、彼女が作った心をもった怪獣、そして裕太たちであった。2年生に進級し、六花と別のクラスになった裕太は告白を決意する。そんな平和になった世界で過ごす彼らの日常は、轟音と共に崩れ始める。裕太に訪れる危機の最中、突如現れるグリッドマンは語りかける。「この世界のバランスが崩れようとしている」やがて真紅の恐竜ダイナレックスや、グリッドマンの協力者である新世紀中学生、そして別世界の住人、麻中蓬たちも裕太の前に次々と現れる。六花への想いを胸に秘めたまま裕太の非日常が始まった。

「結局アニメ映画かよキモオタ」という声はシャットアウトしておく。今年これを超えられる作品は未だにない。2月。大好きな「BLUE GIANT」が映画化するということで劇場に行った。上映前にグリッドマン・ユニバースの予告編を観たとき、自分でも分からないがとんでもない映画だと直感した。ブルージャイアントはもちろん面白くボロ泣きしながら帰った。ただあの予告映像がどうしても頭から離れられなかった。YouTuberの沖田遊戯氏も紹介していたのだが、アニメ作品の続編ということを知らず鑑賞したため全く意味が分からなかったらしい。このことを踏まえ私は、就活真っ只中にも関わらず本作品の根幹の『SSSS.GRIDMAN』

SSSS.GRIDMAN

及び『SSSS.DYNAZENON』の計24話を一気に視聴し予習に励んだ。

SSSS.DYNAZENON

この間にどれほどのエントリーシートが書けただろうか。

万全な状態で映画館に向かった。予告編で100点のものを見せられたので、相当ハードルが上がっていた。結論から言うと10億点。とんでもないものを観た。たまたま買った宝くじが1等だったような満足感がある。点と点が繋がっていく様が心地良い。幼いころ戦隊ヒーローのロボットが好きだった私からすれば垂涎ものである。制作会社は『プロメア』等を手掛けたTRIGGERであり、とんでもなくデカいスケールのアクションと主人公たちの心の揺れ動きが対照的に描かれていると感じた。
あとはなんといっても曲が非常に良かった。アニメ2作と本作の主題歌を歌ったのは、アニメ『推しの子』の劇中歌などを手掛ける、アニソンシンガーオーイシマサヨシ氏である。私のギターの師匠だ。作品に対する愛しか感じない演出の仕方だった。

オーイシマサヨシ氏 御歳43歳

誰もが胸を熱くするシーンがたくさん散りばめられていて飽きがこない。が、最後は「普通」だった。

ここまで語っても作品の良さは1%も伝わらないと思われるので、四の五の言わずぜひ見てほしい。


長くなったが、以上が2023上半期ベスト3ワースト3映画(エッフェル塔調べ)である。今後も暇さえあれば映画館に足を運び、下半期もやろうと思っている。ポップコーンとジンジャーエールを携えて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?