カナデとウタ7
ウタは楽しい毎日を送っていたが、お母さんとは仲良くなれないままだった。
部活のときに愚痴ることもあった。
「今日、練習のあとに、みんなでご飯食べにいこーよー!」
「ごめん、早く帰らなきゃいけないから」
「えーなんでー?」
「お母さんが怒るの。厳しくて。」
「えー、そっかあ、、
がんばって!」
「うん、、」
ウタの気持ちを理解できる人は、部活にはいなかった。
「ただいまー」
今日、お母さんはいつも以上にイラついているようだった。
「げー、めんどくさっ」ウタはそう思いながら、また、謝った。
「ごめん」
いつもより長いお説教が始まった。
最後に、お母さんが言った。
「部活なんて、そんなくだらないこと、やめなさい!」
「くだらなくないもん!」ウタは反射的に言った。
お母さんの前では、ウタの言葉は無力だった
なんで私の家はこんな厳しいんだろう
次の日、いつものように部活へ向かう。
部室の前までくると、みんなの馴染みのある声がきこえてきた。
「あははは!」「おーい、やめろよー!」「チョコ食べるー?」
声でもう、誰がしゃべっているのか、なんとなくわかるくらいだ。
ドアノブに手をかけた
「そんなくだらないこと、やめなさい!」
昨日、お母さんに言われたことが頭に浮かぶ。消そうと思っても消えない。
ウタは、ドアを開けれなかった。
ウタは、振り返ると、廊下をもどっていった。
みんなの声がだんだんと遠のいていく。
ウタは、家に帰って、なんで私は行かなかったんだろう、と考えた。
くだらない、といわれたのが本当に悔しかった。涙が出るほどに。私なりに頑張って見つけた居場所。お母さんからしたら、ただの部活に見えるかもしれないけど、私にとっては大切な。。
大切なものを分かってもらえないのが、悔しかったし、悲しかった。
それからウタは、部活に行かなくなった。
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