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カナデとウタ11

カラオケ

「ウタは、歌手になりたいんだよね」とカナデ

「え?」

「え、違うの?」

「なりたかったけど、いまは、、

わかんない」ウタは困ったような顔で笑った。

「そっか

こんなにうまいのに、もったいないよ」

もったいない、か。。

「そうだ!一緒に文化祭に出ようよ!」

カナデは言った。

ウタは、

一瞬、わくわくした。

けど、すぐにうつむいて、いった。

「出なくて、いいよ」

帰ろ。

ウタは、帰る準備をし始めていた。

う、うん

ちょっとまって!

カナデはいった。


家に帰って、ウタは考えていた。

おかしい

なんでだろう

昔の私なら、きっと、文化祭とか楽しそうなことは、絶対に断ったりしなかった

軽音部をやめてからだ。

やめてから、私はおかしい。

それとも、これが本当の私なのだろうか。

本当は、みんなの前で、歌ってみたい。

けど、今の私は、、、


ー自信ないよー

消極的で、うじうじしている

そんな私。


その夜、ライン電話がかかってきた。

カナデからだ。

カラオケでウタの様子がおかしかったから、心配しているのだろうか。

「もしもし」

「あ、ウタ

俺考えたんだけどさ。やっぱり文化祭出ようよ」

「むりだよ」

いまはそんな元気ない、、自信も。

「じゃあ、俺がでるよ」

「え?!」

どうゆうこと?

「ウタの代わりに、俺が歌う。歌、うまくないけど、、ウタに元気になってほしいから。」

えぇ

意味がわからなすぎて、笑ってしまった。

想像してみる。

あのなんとも間の抜けたような、カナデの歌、というよりも、「朗読」

それを大学の一番大きな野外ステージで披露している

しかも、みんなの前で、、

「やめた方がいいよ」

ウタは言った

「いやだ。」とカナデ。

「私、知らんから」

ウタは言った。 私のせいじゃないからね!カナデが勝手に出るっていったんだから。頼んでもないのに。

「もちろん!」カナデは笑った

「見に来てね」

「わかった」そう言って、ウタは電話を切った。






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