カナデとウタ13
「ねえ、ウタ!聞いてる?」
「あ、ごめん.きいてなかった。」
「もうー、それで結局そいつ、15日行けないとか言い出してー、」
「へー、なんで?」
「知らなーい、仕事が入ったんだって。もうやめようかな、この男。」
「ユキは、その人のこと好きなんだっけ?」
「んー、好きだったけど、わかんなくなってきたあ。
グッチのカバンも買ってくれないし。」
「あー、じゃあやめたらー?」
ウタは、学食で、大学で友達になったユキと喋っている。
なんか、くだらないなぁ
ウタは、ぼーっとカナデのことを考えた。
カナデは昔からちょっと抜けていた。
今回もそうだ。
私のために、文化祭に出るって。
なんで、私のためにあんなに頑張れるんだろう。
私なんかのために。。
ウタは、軽音部をやめてから、ずっと、おかしかった。
ほんとはこんなんじゃないのに、と心のどこかで思っていた。
後悔ばかりして辛かった。
私のせいだろうか?
それともみんなのせい?
お母さんのせい?
でも、とウタは思った。
こんな、今は、捨てたもんじゃないのかも、と。
カナデがいるから。
いまの私に残ったのは、カナデだけだ。
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