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トビー・キースとテイラー・スウィフト

アメリカン・ソルジャーの歌手と呼ばれたトビー・キースが闘病の末、62歳で亡くなりました。彼はアメリカ人として愛国的なメッセージソングをいくつも発表したり、軍の慰問も熱心にしていた歌手で、カントリーミュージック界では多くの人に愛されていました。前回、私は「テイラー・スウィフトと政治」の記事を書いたのですが、実はテイラーはトビーに見出されて、、というか、最初のレーベルの契約の後押しをしてくれた人で、彼がいなければテイラーのスタートはだいぶ遅れていたかもしれない重要な人物でした。そのレーベルとはのちにトラブルになったビッグ・マシン・レコードでありトビー・キースは株主の一人でもありました。つまり自分が関係していたレーベルにテイラーを入れてあげ、その後、2017年にそのレコード会社とテイラーが揉める事態になったわけです。また、多くのカントリー歌手と同じくトビーも共和党を支持していたのに対して、テイラーは2018年に民主党を支持することを訴え、当時ギクシャクしたという話も聞きました。そんなこともあり、世の中的には、トビーとテイラーはもう交流がないのではと言われています。

今回、トビー・キースが亡くなり、SNSでテイラーが何もコメントをだしていないと言われていますが、そういった複雑な関係性ゆえ何も言い出せない可能性もあると思います。(しかし、世の中ちょっとコメントが遅いとか出してないくらいで騒ぐ人が多すぎかと思う)

さて、トビー・キースの曲で私が印象にあるといえば、クリント・イーストウッド監督/主演最新映画『運び屋』の、エンドロールで流れるトビー・キースの「Don’t let the old man in」です。この映画はクリント・イーストウッドが年老いた運び屋の役で出てくるのですが、最後に流れるのがこの曲で「もう少し生きていたいならば、老いに身を任せずに生きろ、ドアをノックされても」という内容です。クリント・イーストウッドは現在93歳、まだ現役でエンターテイメントの世界に身を置いています。老いても生きることを説いている歌を歌うトビーが62歳で先に亡くなるのは非常に悲しい話です。

「Don’t let the old man in」Written by Toby Keith

Don't let the old man in
I wanna leave this alone
Can't leave it up to him
He's knocking on my door

And I knew all of my life
That someday it would end
Get up and go outside
Don't let the old man in

Many moons I have lived
My body's weathered and worn
Ask yourself how would you be
If you didn't know the day you were born

Try to love on your wife
And stay close to your friends
Toast each sundown with wine
Don't let the old man in

Many moons I have lived
My body's weathered and worn
Ask yourself how would you be
If you didn't know the day you were born

When he rides up on his horse
And you feel that cold bitter wind
Look out your window and smile
Don't let the old man in

老いを迎え入れるな
もう少し生きたいから
老いに身をゆだねるな
ドアをノックされても
ずっと分かっていた
いつか終わりが来ると
立ち上がって外に出よう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
妻に愛をささげよう
友人たちのそばにいよう
日暮れにはワインを乾杯しよう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
老いが馬でやって来て
冷たい風を感じたなら
窓から見て微笑みかけよう

老いを迎え入れるな
窓から見て微笑みかけよう
まだ老いを迎え入れるな
(日本語歌詞の引用はビルボードジャパンより抜粋)
トビーのようなバリトンの深みのある声って日本人ではあまり聞かないですね。


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