見出し画像

JICA隊員が海外に行く前に国内の地方創生に関わった話

この写真は熊本県八代市坂本町にある、葉木駅の写真だ。

私は2022年4月~6月まで、JICAのグローカルプログラムの実習生として坂本町で活動してきた。

この『活動』という言葉にずっと疑問を持っているので話をしてみたい。

このプログラムは海外に行く前にJICA隊員が地方創生にOJTとして参加できるというものらしい。『らしい』というのは、3か月も実習したのにいまだにふわふわしてつかみどころがないなあって感じるからである。

私は公衆衛生でガーナに行くかもしれない人、もともとは看護師だった。
熊本は地元だし、このプログラムは何かの縁かもなあっとあまり深くは考えずに参加したのだ。

しかし参加して思った感想は、
『え、これ私のキャパシティ越えてない?』

今まで病院の看護師だったので数人の患者を看ることが仕事だった。その人たちはそれぞれ物語があり、家族があり、文化があり、と。
自分の対応で患者や家族の反応が変わることは、コミュニケーションの能力も試されるし、面白い。患者が笑顔になってくれるのはとても嬉しかった。

そんな数人の患者の経験だったのに、数千人の地域の人のニーズを把握するというのは、大変なのは言わずもがな、、、というところなのだろうが、終わってみて私が悩んだところはちょっと違うぞ?という気になった。

感じたのは、地域の課題には正解がわからない、ということだ。
これを書くと、看護師や医療には正解があるのか?と言われちゃうのだろうが、そういうことではなくて、例えば、患者が『痛い』といえば、どこの痛みなのか、鎮痛剤は聞くのだろうかなど色々考える。そして、患者から『痛みがなくなった』と言われたり、そのあと眠っていたりするとちょっとはよくなったのかなあ?と思っていたのである。

じゃあ地域の痛みって?地域の人がなりたい方向・望むことって?

これがめちゃくちゃ難しい。なにしろ私は地元といえど坂本に住んだことはないし、水害にもあっていない。せいぜいほかの地域の人と一緒にニュースで見たくらいだ。そして、1番は、同じ地域に住んでいても向かいたい方向は人によって全く違うこと。つまり、評価が半端なく難易度高めなのだ。

そんなこんなで最初はとりあえず地域を回ってみよう!と地域を車で回ってみた。いろんな集会やご近所さんの集まり、太極拳グループなどなど。

そこから、地域の予防活動と、小中学校へのJICA授業という計画を立てた。
予防活動は、地域支え合いセンターの被災者訪問同行やイベントお手伝い、民生委員への講座、健康相談など。

民生委員への認知症と心のケア講座を講師っぽく撮ってもらった

もちろん私には医療のベースがあるのでそこからのアセスメントはできる(と思っている)。けど、なんなんだろう。医療の問題だけじゃない。というか医療の問題以外のところから、医療の問題や状況ができている気がする。今私がしているのは付け焼刃じゃない?

そこで、思った。『もう人の手を借りまくろう』
ということでほかの実習生をふくめた坂本視察会を行った。

視察会とかっこよくいったのだが、正直情報が点在しすぎて、収拾がつかなくなっていたので、新たな見方が欲しかったのである。

復興商店街の視察
エミューの餌やり
愛着が湧きそう

実習時には、坂本は道路は復旧中で一応住民や緊急車両しか通れないことになっていた。
またJRの線路は歪んだまま、浸水した家屋もそのままになっているところもあった。
ただ、農業法人や道の駅、温泉などの資源もある。人のエネルギーもすごい。

結果として、みんなの意見が聞けてものすごく私にはためになった。

・道路としては復旧中だが、坂本の位置は結構アクセスが良い
・防災学習の場として活用できるのでは?
・人が優しい

などなど。ものすごい量になったのでこれは多分50分の1程度である笑

これをもとに、最終発表と市役所報告・提案を行った。
私が大切にしたかったのは、継続性があること、現時点での資源や計画に則ってやれること、この二つだ。

あくまでも度がつく素人の提案なのでそこは了承していただきたいが、
簡単にすると、
・訪問活動への医療従事者の同行
・防災の町として教育での活用(まずは八代市内の学校から)
・大学との連携と大学生ボランティアによる農業支援
・オンラインでの特産物販路の拡大


まあ、上から目線の提案だっただろう笑
よくもこんな事を市に言えたもんだと後から思う。が、これも経験かな。

『活動』結局よくわからないのが事実。
でも何かが残っているんだろうな。

この記事を書くまでにはかなりの時間を要したのは、初体験が多すぎて飲み込むのが大変だったのだ。
今は二本松で訓練中だが、ようやく時間が経って言葉にできたのかなーとも思う。

そして、同じ実習生として仲間を得たのはすごく大きい。
ありがとう実習メンバー!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?