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「他人は変えられない」のは、やり方が間違っているだけ。

この言葉を聞いたことはありますでしょうか?

「他人は変えられない。変えられるのは自分と未来だけだ。」

この言葉を聞いたときに「ほんとにそうだよね」と思って、他人を変えようとしてしまっている時は、「自分を変えよう」と自分に目を向けるようにしています。

でも、この本を読み、「他人は変えられない」のは、やり方が間違っているだけとも気づきました。

『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』

CATALYST(カタリスト)とは、もともと化学反応を促す「​触媒」をあらわす言葉。他者が変わるためのキッカケをつくる人が、カタリストになります。

人や組織が変わるために「障害(ブレーキ)」となる「5つの心理的要因」があるといいます。

たとえば、人質を取っている人の心を変えて、人質を救うには?

未成年のタバコが止められなくて困っている、それを止めるには?

といった難題でも、カタリストは「障害」をとりのぞき、人々に変化をもたらすことができる。

「相手を変えよう」というおこがましい考え方ではなく、「相手が変わるのを手助けする」、そのためにブレーキをとりのぞく。そんなイメージです。

「押す」のではなく、「障害(ブレーキ)」を見つける

だれかに変わって欲しいと思うとき、たとえば親だったら、子どもに勉強して欲しいと思うとき、どうしても「押す」ことばかりしてしまう。

「勉強しなさい!」

「ゲームをやめなさい!」

この本では「押す」ことは、きっぱりと逆効果だと言っています。

アクセルを踏むのではなく、「サイドブレーキを見つける」ことが大事。ブレーキがかかった状態では、いくらアクセルを踏んでも前に進まない。むしろ、車が抵抗しちゃって壊れてしまったり、逆効果になってしまう。

このサイドブレーキ、つまり「障害」となっている「5つの心理的要因」が紹介されています。

これは人としての本能。まずは、これを理解することが大切。

①心理的リアクタンス
「自分で決めたい」と思う本能。だから他者にコントロールされると思うと拒絶する。

②保有効果
「変えたくない」と思う本能。
変化よりも現状、利益よりも損失を大きく評価してしまうという現状維持バイアスがある。

③心理的距離
「自分は正しい」と思う本能。
自分の考えにあった証拠ばかりを集める確証バイアス、つまり思い込みがある。

④不確実性
「分からないことはリスクが大きい」と思う本能。
このリスクを差し引いて考えてしまう。

⑤補強証拠
「まだ証拠が足りない」と思う本能。証拠がそろうまで前に進まない。

この5つの心理的要因であるブレーキそれぞれに、解決策が書かれています。

本を読んだときにメモを描いたので、貼っておきます。

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人質を取っている人の心を、どう変えたか?

この例では、①の「心理的リアクタンス」、つまり「自分で決めたい」と思う本能が働き、他者にコントロールされると思うと拒絶する。

人質を取っている人に対して、「やめなさい。早く出てきなさい。」と押しても、逆効果。

では、カタリストはどのような行動をとったのか?

「自分で決めたい」と思うブレーキを取るには、このような方法がある。

まず大前提として、こちらがコントロールするのではなく、相手が自分で決めることを目指す。

1. 選択肢をだす(選択肢の中から選んでもらう)
2. 命令ではなく質問を(答えを自分で見つけてもらう)
3. ギャップを明確に(相手に思考と行動のギャップに気づいてもらう)
4. 理解からはじめる(相手に理解を示すところから始める)

人質の例では、相手の「理解」からはじめることが大切。

人が変化するためには、

理解 → 信頼 → 変化 というステップが必要になるといいます。

まず相手の話を聞き、理解をして、信頼関係をつくっていく。この手法をアクティブリスニングと言い、具体的なやり方も載っていました。

相手がどんなことを恐怖に思っているか? なぜ人質を取ってしまったのか?に耳を傾け、家で帰りを待っている人たちのことを思い出させる。

カタリストであるグレッグは、いつも同じ言葉で交渉を始めるそうです。

「どうも、私はFBIのグレッグです。そちらは大丈夫ですか?」

グレッグはまず橋を築く。相手に何かを語らせる。相手の言うことを批判しない。相手の話を遮ることもない。相手は「自分が大切に思われている」と感じると、信頼関係ができていく。
あくまでも「相手を助ける存在になる」ことを目指す。

どうしても、自分の思い通りの結果にすることで頭がいっぱいになってしまい、とにかく相手を押しまくろうとする。そして、 相手の気持ちを考えることを忘れてしまう。そうではなく、「理解」からはじめる姿勢は意識していきたい。

話を親から子どもに「勉強しなさい」と言ってしまうことに戻すと、

1. 選択肢をだす 
→「今やる?」「明日の朝やる?」「やらない?」から選んでもらう
2. 命令ではなく質問を 
→ 「勉強したほうがいいと思う?」「なんでそう思うのなか?」と質問する
3. ギャップを明確に 
→ 質問をすることで「勉強はしたほうがいいよね」と子どもが気づいて、やらない自分とのギャップにも気づく
4. 理解からはじめる
→「勉強やりたくないんだよね」と子どもの気持ちを聞いてみることから

そうは言っても、それが難しい。。

という所ではありますが、これも訓練ですよね。

やりながら、試行錯誤してもがいていきたいと思います。

どうやって禁煙キャンペーンは成功したか?

未成年のタバコが社会問題となってしまっているなか、「タバコ禁止!」を言えば言うほど、逆効果。

タイ健康促進財団は、25年ものあいだ禁煙キャンペーンの活動をしていたそうですが、何を言っても喫煙者の心には響かなかった。彼らも喫煙が健康に悪いことは知っていたが、とくに行動を起こそうとはしていなかったとのこと。

では、どうやったら禁煙をしてもらうことができるのでしょうか?

まずは、この「タバコ禁止!」を言わなくしたそうです。

そのうえで、未成年が自分自身で「どうやったら禁煙できるか?」を考える団体を立ち上げて、アクションにつなげていく。

そして効果があったのが、「スモーキング・キッド・キャンペーン」。

3. ギャップを明確に(相手に思考と行動のギャップに気づいてもらう)

を実践した例です。

自分の思考と行動のあいだにギャップがあることや、自分が他人にすすめることと、自分が実際にやっていることが違うことに気づく。

子どもたちが、大人に「火を貸してもらえませんか?」と質問するキャンペーン。

これをすると、大人から言われると、あっさり火を貸すけど、子どもには「絶対に貸さないよ」と言う人もいれば、「たばこは毒だよ」と言う人もいる。

そう言われた子どもは、そっと紙を渡す。

その紙に書かれているのは、

「あなたは子どもの心配はしてくれるけれど、自分の心配はしないのですか?」

この言葉の下には、禁煙の相談ができる無料通話の電話番号が書かれていたそうです。

ポイントは、そのひと自身が「タバコをやめたい」と思うかどうか。

このキャンペーンの動画は、1週間で500万回も再生されて、禁煙者は30%も増加したとのこと。

相手が変わるのを手助けする、そのためにブレーキをとりのぞく。

これを意識していきたいです。

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