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青い鳥症候群

昨年の春、自分の中の宝箱を開いて私は酷くがっかりした。

大学を卒業し、10年間、我武者羅に頑張って集めてきたものはどれも全て社会の紛いものだった。20代前半の私が憧れたのは、他者からの理解と共感だったのだろう。

勿論それを意図していたわけではないが

本物だと思って集めていたものは完全なる社会の紛いもので、なぜならば私が社会が解らなかった為に、解ろうとして、解った気になりたくて盲目的に集めてしまったものだったんだと思うとなんとも言えない虚無感に襲われていた。


その虚脱感から1年が経とうとしている。

虚脱感に襲われるまま感情と直感だけを頼りにふらふらと社会を練り歩いた私は現代アーティストであり書家である山本尚志氏に出会った。

そしてそのまま師事いただき2020年から現代アートを始めることになる。

この半年間は初めてのことだらけだった。書道は5歳からしていたし、デザイン書道としてのデザイン師匠もいてそれなりに人より筆を持って書いてきた自信はあったけれどアート書道は全てが初めてだった。

初めての刷毛、初めての大サイズ、煤をこねて墨を自分で作ること、習字ではなく自分の字で自分の作品を作ること、全て初めてで何が起こってるかわからないまま半年間制作し続けた。

無我夢中だったと思う。その名の通り、ようやく渦中は必死でわからなかったけれど多少慣れてきて初めてあの時必死だったんだとわかる。


そのようにして無我夢中で自分だけの声を聞いて作品を作っていくと、面白いことが起こった。


例えば社会用に人格というものを何種類か用意してそれぞれ本当に自分なのだけれど都度その場の空気によって柔軟に変化していたものは作品では一律で同じ感想をいただく。

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社会的に作ってきた自分の人格像と全く異なる人格が作品から出てくる。

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