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のん気な私 日本のくらし

(2011年 夏 帰国直後のノートより発見)

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 私はのん気らしい。ということに、8年ぶりに日本で生活をする為に戻って来て、感じた。ちょこまか動き、毎朝、掃除、洗濯をする両親を見ていてそう思った。いや私は、以前日本に住んでいた時はーーつまり、渡米前はーー呑気からほど遠い10代の人間だったハズなのに。

 雨の日は、コレがコウだから(あんまり聞いてもないみたいだ)この鉢植えを中に入れなきゃならん、とか、台所のシンクは毎晩、コレとこの洗剤を使って、こっちは力を入れて、あっちは優しく磨かなきゃいかん、とか色々とルールがあるらしい。実家を出て、ちょうど10年になるので、その内にできたルールもあれば、その前にすでにあったけれど、高校生だった私はそれについて無知だったか無関心だったみたいなのだ。

 買い物に行けば行ったで、何を言わなくてもコンビニであったかい物と冷たい物と別の袋に入れてくれる。ケーキ屋さんでは、家までどの位かかるのか尋ねてくれて、それに応じて冷却材を入れてくれる。もちろん気候の違いで、日本の方が衛生面においては超過敏なのだろうが、やはり思いやりサービスみたいな点ではアメリカなんかと比べものにならないのである。

 そんな日本社会は、あったかい社会だ。皆が相手のことを思いやって暮らしている。ところが、それはウラを返せば、私もその分相手の年齢、世代、性別、生まれ故郷、好き嫌いの可能性を少ない情報から読み取って、冷静に、正確にリアクションとして返さねばならない、ということになる。しかも、その応対も、なるだけ丁重に、相手の面目をつぶさないように、なるべく尊重するように、話したり顔を作ったりしなければ「失礼な人」「社会人として機能しない人」になってしまうので、ちょっと怖い。しかし、全ての日本人はこんな心の重労働を毎日、何とも思わずにやってのける。

 私ののん気さはそんな所にも出るらしい。知らないうちにアメリカ流の受け答えで日本語でもやってみるみたいなのだ。英語の直接的表現を日本語でやってしまうので、「ずけずけ冷たい」印象を与えたり「失礼」な人間に映るらしい。少しでも線から逸脱すると、るーざーになってしまう社会、それが日本だ。そうだ。そうだった。

 アメリカに行ってのん気になってしまった私は、なるべく悪い印象を人に与えないようにがんばる反面、もっと気楽に生きたら日本人ももっとラクになるんじゃないかなあ~と、のん気に考えてしまう。

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