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SIM CITY、満月の夜に
中秋の名月と満月が重なる日。下北沢ではムーンアートナイトが開催されていた。
浮かぶ巨大な月のオブジェ。束の間のマーケット。笑い声やざわめきを通り抜け、その先を目指す。
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下北沢のライブハウスADRIFTにて、企画ライブ “SIM CITY”を観た。
この日はYAMORI、Deep Sea Diving Club、Ochunism、離婚伝説の4組による対バン。
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YAMORI
2月ADRIFTでの対バン以来のYAMORIが、圧巻のヒューマンビートボックスで幕開け。
凄すぎて自然と口があんぐりあいてしまう。ビートとボーカルを織り交ぜ、緩急も素晴らしいセットリスト。
写真は撮影の可否がわからず撮らなかったが、心には強く残っている。
Deep Sea Diving Club
DSDCはリハのcinematicloveを含めると7曲。
ワンマンツアーファイナルから早くも2ヶ月が過ぎ、待ち遠しかったそのステージは熱に満ちていた。時間感覚も語彙も全部持っていかれる。
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フロアを底から揺らすベースも、シナプスが激しくスパークするようなドラムも、心高なって躍るギターも、そして場を惹きつけてさらっていくボーカルも、勿論MCも全てが良かった。
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熱いプレイのあと、両手シンバルチョークのクールなさまにフォロワーさんと思わず目が合う。笑顔が揺れる。
こういうのっていいな。なんの変哲もない日々も、躓きですらも、ここへの助走に変わる。
Ochunism
続くOchunismは音源とイメージがちょっと違う、当然いい方に!
4ピースにキーボードとサンプラーを足した編成、ジャンルも「これ」と言い切れるものではないのがいい。しかも独特のポップさがある。
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リズム隊、特にポーカーフェイスのベースがナイスグルーヴで好みのプレイヤーだった。すこぶるいい音。
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演奏しながらのステップが楽しい、そういうのはすきだな。
場所を変わってくれたり他バンドの演奏にも感想を交わすなど、ファンの人たちもとてもあたたかくて嬉しかった。音楽もファンも素敵なのは最高に幸せなことだと思う。
離婚伝説
トリの離婚伝説はほんとうにタイムスリップ感のあるグッドミュージックで、「今この音を奏でていること」に説得力があった。
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その世界が本当に好きで好きだからこそここにある、絶対的に懐かしいけれど新しい音楽。時に音楽はタイムマシンだなんて喩えられるけれど、昨夜はそれに乗ったような気がする。ギターソロ、グッときた。
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この日出会った人、偶然にも近くにいた人たちとの会話がやさしく音楽愛に満ちていて、わたしはとても幸せだった。
幸せなシェアだけがそこにあり、楽しいことを楽しいままに空気ごと持ち帰れて、やわらかいバリアを張ったみたいに身体のまわりがふわふわなのがいい──としみじみ思う。
人のあり方はそれぞれだけれど、わたしはそういうのがすき。つとめてそうありたい。
そして、自分に無理しない。この夜すてきなものを大事に持ち帰った自分のことも、大切にしていたい。そんないいライブ。
ありがとうございました、for all。
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」