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老いとバトン

人は褒められたい生き物だと、なにかの本で読んだけれど、きっとそれは老いてなおそうなんだろう。

できることが減っていく悲しみ、人の世話にならなければ歩くことも食べることもままならなくなっても死ぬまでは生きていかねばならんのに、いっぱしの大人としてのプライドは理性と共に失われていく。

不惑を迎え、物覚えの悪さや忘れっぽさ、思い出せないあれやこれやが増えたと実感し、後身に引き継いでいただくことを始めねばならぬと自覚する。

従心をして知命の君を「ひよこ」呼ばわりし、俺が俺がといつまでも譲らないその椅子に心の欲するままにしがみついたとして、月日を経るだけ離れ難くなるばかりだろうに。国も会社も反面教師は供給過多だ。

願わくば、自分で決めたリレーゾーンでバトンを渡し切るように生き、できたことはひけらかさず、人にお世話になる時には尊敬と感謝の心を忘れない老人のプロを目指したいものだ。

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