ある女装者が読んだ『感じない男』
「少女になりたい」願望私が『感じない男』を読んでみようと思ったのは、現代思想『<男性学>の現在』のある論考の引用がきっかけだった。黒木萬代「少女になること」には、『感じない男』の次の一節が引用されている。
「すなわち、私の心の中にあったのは、少女の姿をした<もう一人の私>と性交することによって、私自身をもう一度、誰の手も介さずに産み直したいという欲望だったのである」*p.158
女装する私にとっては、ほとんど自明であるような「少女になりたい」という欲望のなかで、「もう一人