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わけあって早朝調査2019を集計しました

この調査は2019年の一回のみ、大学サークルの自主企画として実施された。サークルでいつも観察している場所において鳥の個体数を記録するラインセンサスを行い、経年変化を知るための記録がされている。

調査方法

  • 調査日は2019年5月25日(土)

  • 250m×17区間のラインセンサス

  • 近い(25m以内)と遠い(25m以上)に分けて区間内の個体数を記録

  • 4時、4時半、5時、5時半発の4班が同じ場所を通る

  • 参加人数は各班3~6名の計18名

結果

出現種数

各班27-30種、計41種が記録された。

班ごとの記録種数

登場回数(最大値68)の多い鳥はヒヨドリ、ハシブトガラス、スズメが上位3種で、のべ個体数もこの3種が同じ順番に多かった。

時間との関係

時刻と種数

時刻が遅くなると、種数はやや減ったが有意ではなかった(地点内の分散が大きいため、地点を考慮しても有意にはならなそう)。

時刻と個体数

地点ごとの個体数も、時刻が遅くなるとやや減少した。

時刻ごとのハシブトガラス個体数

いくつかの種で、種ごとの解析をした。ハシブトガラスやガビチョウは時刻が遅くなると記録個体数が有意に減少した。
ただし、いくつかの種については時刻ごとに観察地点が異なることによる影響もあると思われる(後述)。

地点の違い

地点ごとの違いを調べるために、Bray–Curtis距離でnMDSを実行した。

nMDS結果を区間ごと色分け

地点ごとの違いが種組成の違いに貢献していそう。

時間と空間のどちらが種組成のBray–Curtis類似度に寄与しているかを変動分割で調べた。最も大きいのは山野の鳥が多いか水辺の鳥が多いかという地点の違いで、時間の効果は地点の効果に比べて小さかった。

変動分割
time:時刻の違い、forest-river:山・川方向の地点の違い、N-S:南北方向の地点の違い

本調査の良い点と反省点

  • 区間・時刻ごとにデータが得られており、群集データとして扱いやすい

  • 17区間・4時点の反復が得られた

  • 同じ調査を行うことで経年変化を調べることができる

反省点としてはルート設定の問題があった。

ルート概念図
  • 調査ルートは上の図のような形に設定されており、個体数推定をするには重複部分の記録が扱いづらい(ぴったり同じ場所であれば単に重複とするがそうでもない)

  • 4班すべてが同じ方向に歩いたため、時間と空間の関係を分離しづらい

時間と空間に注目した解析や、個体数推定を行うためのデータにするためにはルート設定をより工夫する必要がある。スタートから中継地点までの往復とすれば半端な重複が防がれて解析もしやすい。また「U」や「O」の形状に設定する場合は左半分・右半分の鳥が重複しないように記録したい。

また本質的では無いのだが、この調査では人員配置に若干の問題があり、調査経験の乏しい一年生が記録することになった班では記録個体数が有意に小さかった。

今回の集計中、2区間の記録が混ざっているところがあったのと、種名の誤りおよび「種名+スペース」による異なる種名の生成がされていたのでデータ整形は調査直後にしっかり行ってほしい。

これら反省を踏まえつつ、このデータと比較できるような調査を何年か後に行われることを切に願う。
(今回の集計を参考に、別の調査は実施予定です)

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