手すりのハエトリ@仙台
ハエトリグモは種ごとに模様の差が顕著で、大きな眼のあるかわいいクモです。都市にもいる身近な存在で、様々な環境が入り交じる公園には多くの種が生息します。
ハエトリグモは「クモの巣」を作らず、獲物を探して歩きまわります。観察するには、跳ね回りやすい開けた場所(かつ隠れる所があるとよい・種類による)を好み、手すりや壁は観察しやすい構造物に挙げられます。
見られる種類は地域によってそれなりに異なっており、東北では全国的普通種のアダンソンハエトリやチャスジハエトリをそこまで見かけません。
仙台市の某都市公園にある手すりを例に、当地で見られたハエトリグモを紹介します。
1.マダラスジハエトリ
大型で美麗。森林に生息し、この一種だけで自然豊かそうだとわかる。
2.ネコハエトリ
最普通種。類似したマミジロハエトリもよく見られるが手すりには少ない。一部の地域では、この雄どうしを戦わせて遊んだのだという。
3.イナズマハエトリ
細長く、平たい。手すりにはよく見られる。白黒はっきりした模様が良い。
4.アオオビハエトリ(赤型)
色鮮やかで金属光沢を持つ。頭胸部の側面や脚に赤みを帯びる系統が生息。
5.アリグモ
アリグモの仲間もハエトリグモ科。アリに擬態した模様や構造を持つ。この場所に見られるアリグモ属3種のうち、手すりではアリグモが最も多い。
6.ヤガタアリグモ
アリグモより細長い体をしており、赤いことが多い。
7.ヒメカラスハエトリ
小さくてかわいい。大きな葉の上にいることが多い。当地ではカラスハエトリに似た色彩のタイプが多い。
8.ウデブトハエトリ
第一脚が太い。黒光りする腹を持ち、ツヤハエトリ属にとても似ている。地面付近に見られ、手すりではあまり見かけない。
9.ウスリーハエトリ
黄色の脚が目立つ草原の種類。手すりよりも草の上で見る。
10.チャイロアサヒハエトリ
透明感のある体が美しいものの、脚が長いのは嫌われる蜘蛛の形態。雄はもっと脚が長い。
11.クモマハエトリ
真っ黒の第一脚が美しい。雌は白いが見たことは無い。
12.オオハエトリ
大きくて細長い。黒い触肢を持つ。針葉樹林のある林縁に出てくる。
当地の手すりで観察された12種を紹介しました。
この手すりは周囲が開けた環境になっており、暗い所によくいるデーニッツハエトリやヤサアリグモは出てきていません。それにしても一続きの手すりを多くの種が利用しているのはおもしろいく、この場所の豊かさが感じられます。
識別は主に文一総合出版のハエトリグモハンドブックを参考にしました。
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